─〔 壱 〕─『Be ambitious , BOY???<少年よ、大志抱いてる?>』#III
「さて……作戦会議を始めるか」
局長は満足そうに言って、イスに座る。対する俺たちは……。
「何だ、お前ら。もうへばったか? 仕事はまだ、こなしていないぞ」
いやいやいや。あんたのせいだろが。玖月さんが必死のネゴシエイトをしなかったら、ホントに四時間お説教する気満々だっただろうが。
俺はそんな嫌味を言ってる表情がバレないように、机に顔を伏せた。
隣りの玖月さんは、目が平たくなっている。眠かったからな……。ルイナは涙目になっている。あくびしまくってたからな……。紅壬は頭を机にたれさせている。寝てたのバレて、局長に殴られたからな……(湯気出てそう)。
こんな感じで、み〜んな殺気立っているっていうのに……。
「……最近平和すぎて、なまったか。これから20キロマラソンを毎日す」
「みんな!局長の気がさらに狂わないうちに会議に入ろうね! ささ、起〜きた起きたァ!」
さっすが副局長! 嫌味を言いながら、過酷なサバイバルマラソンをうまく回避したな。俺はそっと玖月さんの方を向いた。それを察知したのか、
「イヴンは言ったらマジでやるからね。君と似てるよ」
と、冷笑しながら小声でいった。
イヴンというのは、うちの局長さんだ。Even Silrain<イヴン シルレイン>。玖月さんや紅壬を支局の一員として迎えいれた張本人。ちょっと、むちゃくちゃな性格をしている。
類が変な友を呼んじまったヤツだよ……。
そんな局長の友の一人が、顔を上げて言った。
「で、何だよ。今回のお偉いサンの頼みごとはよ」
「……上層部も苦戦している事件なのだが」
局長はそこで言葉をきり、ルイナの方を見た。ルイナは一つ溜め息をついて立ち上がると、ブラインドをしめた。
「すまない」
「いいですよ。いろんな意味でアッシーには慣れましたから」
すんませんね。俺が学校ある日、おつかいに行かせちゃってますからね。
ルイナが席に戻ったところで、部屋の電気を消した。不気味に暗いリビング。それを増させるかのようにプロジェクターがつけられ、白い壁に画像が写し出された。
「ありがとう、玖月」
「別に。毎回やらされてるから、お礼なんていいよ」
すごい。みんなここぞとばかりに嫌味言ってる。
「そうか。本題にはいる」
でも、局長は気にしていないみたいだ。俺もあんな風に生きたい! ……誰かに呪い殺されるの覚悟でやらなきゃなぁ。
局長が画像の位置の調節をしたのか、俺の顔に光がかすめた。
「よし。よく見えるようになった」
さほど変わってねぇですぜ?
「この映像をみて欲しい」
恒例のお言葉ですな。俺はそう思いながら、壁の方を見た。
「あ〜あ、怖い顔しちゃって。即死じゃない? この人」
玖月さんが相変わらずの眠たそうな目を映像に向けながら、言った。
「あぁ、言う通りだ。最近連続で起きている変死事件だ。しかも針のようなものが無数に刺さって即死状態の、な」
「タチ悪いっすなぁ、最近の犯罪は」
紅壬がイスにぐったりもたれて言った。
「しかし、犯人はあがっている」
「変わったヤツですねぃ」
ルイナが頬づきをしながら言った。いやいやルイナ。その道の人は、みんな個性が強い変わったヤツだと思うぞ!
……てか、やる気ねぇ〜ッ!
「で、何すんのさ。待ち伏せでもして、袋叩きにすんの?」
「正義の鉄拳でもくらわすのか?」
それって今、局長にしたいことっすよね?
「いや、陽動作戦をおこなう。内容はこれからだ。ちなみに囮は尭良だ」
「って、それはもう決定してんのかよッ!」
四人の目がいっせいにこっちを向く。
「ななななな何すか?!」
「頑張ってくれ」
「頑張れ!」
「頑張ってね!!」
「頑張れや」
お前ら……全員呪い殺してやる。




