ラベンダーの香は
ラベンダー・・・・・・それは
————アリア様の好きな花。
いつの日か、あの方が下さった花。
アリヤ様からはいつも甘い香がする、と感じていた。貴族から香る、胃もたれしそうな程ただひたすらに甘い香ではなく、どこか清涼感のある柔らかな甘さの。不思議な香。
とはいえ、常に香っている訳でも無い。ふとした瞬間にふわりと微かに香るものだった。
いったい、何の香だろう。
「これ?」
あの方の側にいる時、無意識に口から出ていたらしい。
慌てて肯定すると、くすり、と小さく笑って教えてくれる。
「ラベンダー。・・・苦手だった?」
「い、え。好きです。あ、えっ・・・・・・好きな香り、です。落ち着くから・・・」
「そう、ならよかった」
好きです、とまるで告白の様な言葉に一人慌てていると、目の前の彼女は面白そうに目を細めて笑った。
見慣れた笑い方。笑い声のない静かな笑み。
俺はこの笑い方が好きだ。
ゆるりとその綺麗な瞳が細められて、口角が少しだけ持ち上がる。
笑っている彼女の姿は外から差し込む日の光もあって神秘的だった。
絵になるとはこういう事か、と一人納得する。
誰も彼女のこの姿を知らない、というのは勿体無いと思いつつも、俺だけが知っているという優越感を与えてくれた。
「———ねぇ、これ」
「・・・え・・・・・・」
ふわりと香ったのは柔らかい甘さと清涼感。目の前に差し出されたそれは、淡い紫を見せる綺麗な花。
「これは・・・」
「あげる」
神秘的な黒髪に映える、青色を帯びた紫がゆるりと細められた。
ラベンダー
———それはアリヤ様の纏う香。甘く、暖かく、どこか懐かしさをあたえる花。
俺を落ち着かせてくれる、どこまでも優しい花。
心の中では饒舌な彼でした。
「彼」呼びが短いし打つのも早いからこうなってるけど、一応名前あるんだよな。信じらんない。僕は既に忘れそうです。今もパッと出てこないし。本編で出てきたのも一回きりだったから印象が薄い。
作っておいてなんだけど。我ながら酷い奴だな。




