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唇が切れた。一つ又一つと。その季節の夜に貴方はいた。貴方の吐く煙は白く微温かった。丁度体温くらいだった気がする。もう覚えていないが今は冷たくなってしまった。理由を私は知っている。横目で見ていることを良しとしたのが私の罪だった。
前述した季節の或日の夜、私は近所の商店街を訪れていた。私は如何せん昼夜逆転に生活しており、商店街に訪れたのも家からコンビニよりも商店街の方が近かったからであった。その商店街だが、商店街といってもほぼ総ての店が顔を隠しており、それらを滅ぼしたであろう駅直結ショッピングセンターだけがぽつんと佇んでいた。そのような所なので必然的に私が訪れようとした所は、商店街ではなくそれになった。
だが、シャッターの下りた店の前に彼女はいた。