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45話 個々の要求

「あの、パトリシアって女医、おそらく何かを知ってるみたいだが、故意に話題を逸らしてはぐらかしていたな」


 あの後、わたしとヴァーミリオンはさりげなく、アンドロイド研究の件についてパトリシアが何か知っていないか探りを入れてみたのですが、のらりくらりと話をそれされて、結局はっきりとした情報は得られなかったのです。


「とりあえず他の人の話も聞いてみましょう」




 わたし達は次にバレッタのところに行きました。


「お、なんだ?またやるのか?」


 バレッタはヴァーミリオンを見るなりいきなり臨戦態勢です。


「おいおい、勘弁してくれよ。こっちはリミッターがかかったままなんだぜ?」


「先日はリミッターがかかったままで自分と互角に渡り合っていたではないか。丁度いい、ジュリエッタ、そいつのリミッターを限定で解除してやってくれ」


「ダメです!そんな事をしたら怒られます」


 ・・・それに・・・リミッター解除にはキスをしなければいけません。


「自分にはリミッター解除シーケンスが実行できない。ジュリエッタならできるのだろう?・・・それに、自分はそいつとキスなどしたくない」


「わたしだってしたくありません!」


 バレッタはさりげなく嫌な事を私に押し付けようとしていました。


「そうなのか?ジュリエッタはそいつに好意を持っていると思ったのだが?」


「違います!なんでそうなるんですか?」


「いや、自分には二人がお似合いだと見えただけだ。無口なボスよりそいつと付き合った方が楽しいのではないか?」


「バスティアンともそういう関係ではありません!」


 どうしてみんなわたしと誰かをくっつけたがるのでしょう?


「まあいい、自分はそいつと戦えればいいだけだ。自分と互角に戦えるのはボスとそいつ、それにジュリエッタだけだからな」


「何ならあんたら二人で戦ったらいいんじゃねえか?」


「わたしは別に戦いなとしたくありません」


「いいじゃねえか?相手してやれよ」


 ヴァーミリオンはそう言って、いきなり私にキスをしました。


 わたしの意識の中にヴァーミリオンが侵入してきます。


 慌ててファイアーウォールを強化しようとしましたが、突然の事だったので間に合いませんでした。

 前回よりも侵入が速かったのです。


 それでも何とか更なる侵入を食い止めようとしてるところに・・・いきなりヴァーミリオンとキャサリンが行為を行っている時の映像がなだれ込んできたのです!


 それを見た途端、一瞬頭の中がパニックになって思考が止まってしまいました。

 その隙にバーミリオンが更に深部へと侵入してしまったのです。




「ほら、リミッターを解除してやったぜ」


 リミッターが解除された事によって腕力の増加したわたしは、力づくでヴァーミリオンを引きはがしました。


「何するんですか?いきなりあんなものを見せて」


 少しだけ興奮状態になってしまったわたしは、息を切らしながらヴァーミリオンを睨みつけました。


「あの光景を見せたらあんたがパニックになって隙が出来ると思ってな。狙い通りだったぜ」


 ・・・そうです。キャサリンとバーミリオンのあられもない姿とその時の感覚情報を流し込まれたわたしは、パニックになって、ファイアーウォールの強化が一瞬止まってしまったのです。


「普通のアンドロイドならこんな事でパニックにはならないんだが、あんたならうまくいくと思ったぜ」


「うっ・・・それは・・・」


「それで?・・・どうだったか?俺とキャサリンの行為を疑似体験した感想は?」


「どうもこうもありません!こういうのはもうやめてください!」


「へへっ、その反応は、ちっとは快楽を感じちまったみてえだな」


「もう!この話はやめてください!」


「それよりもジュリエッタ、リミッターが外れたのなら自分と模擬戦をしようじゃないか」


「だから、わたしは戦うつもりは・・・」


「これから何が起きるかわからい世の中になった。技を磨いておくに越した事はない。そうすればもっとボスの役に立てるぞ」


「・・・それはそうですが・・・」


「では行くぞ!」


 バレッタはいきなり私に殴りかかってきました。


「えっ、ちょ、ちょっと!」


 わたしは慌ててそれを躱し側転してバレッタの背後にまわります。


「今の拳を躱すとは流石だな」


 バレッタはすかさず後ろ回し蹴りをわたしの頭に叩き込みます。


 わたしもハイキックでこれを受け止めます。



 ・・・あれっ?わたし今・・・メイド服ですよね?


「いいぞ!かわいい下着、見せてもらったぜ」


 ・・・やっぱり、ヴァーミリオンの角度からスカートの中が丸見えでした。


「ちょっと待って!わたし今メイド服で・・・」


「実践ではそんな事言ってられませんよ。普段の服装で戦う訓練は重要です」


 バレッタは聞き入れてくれません。

 次々と技を繰り出してきます。


 足を振り上げたくないので腕だけで対応しているのですが、バレッタの攻撃が激しすぎてカバーしきれません。

 どうして時々足をあげる必要があるのです。


「いいぞ、そいつにもっと足を使わせろ!」


 ヴァーミリオンが謎の声援をバレッタにかけます。


 さっきから何度もヴァーミリオンに下着を見られてしまっています。


 わたしは出来るだけヴァーミリオンからスカートの中が見えない角度に回り込んでバレッタに攻撃を仕掛けます。


 しかし、その攻撃は全てバレッタに読まれていました。


「そんな事を気にした攻撃パターンでは容易に動きが読めるぞ」


 こうなったら一気に勝負をつけるしかありません。


 徹底的にバーミリオンの死角から攻撃を続けていたわたしは、絶好のタイミングで敢えてヴァーミリオンにスカートの中が丸見えになる角度でバレッタの頭にハイキックを入れたのです!


 そこから攻撃が来るとは思っていなかったバレッタは、まともにその攻撃を食らったのです!



 

 バレッタは回転しながら大きく飛んでいったのでした。


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