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34話 終焉の全貌

「なんだぁ、そりゃ?世界大戦でも勃発したのか?」


 ヴァーミリオンは素っ頓狂な声を上げました。


「そう・・・なのでしょうか?」


「ジュリエッタ、人間が生き残っている可能性がある国は無いのか?」


「わかりません、今調べられるのはSNSなどの通信履歴だけなので、それにいくつかの国は、アクセスが不可能です」


「残った国が首謀者の可能性もあるが・・・」


「主要な国は確認できています。状況がわからないのはどれも小国ですが・・・世界規模の核攻撃を実行できる程の国力は無いと思われます」


「それなら大国同士の相打ちという事か?・・・しかしこんなバカげた結末になる事くらい予測していたはずだ。大国が安易に行動を起こす可能性は無いだろう」


「少なくともこの国には世界大戦を仕掛ける計画も、公国に核攻撃を仕掛ける計画も無かった様ですが・・・」


「どっかの国が秘密裏に世界の覇権を狙って他国を全滅させる計画を実行したか・・・あるいは世界を滅亡させようって狂人がスイッチを押したんじゃねえの?」


 ヴァーミリオンが冗談交じりにそんな事を言っています。


「その可能性は・・・あるのかもしれませんが、現状ではそれを確認する事が出来ません」


 この国に関しては、軍事回線に侵入できたので、今では軍の機密情報まである程度は確認できるようになりました。

 でも、他の国はインターネットからの接続が許可されている領域までしか確認する事が出来ないのです。

 

「ふーん、でも最初にどっかの国がミサイルを討って、その報復に別の国がミサイルを討ち返して、それが世界中に連鎖したって事だろ?」


「そう・・・なのでしょうか?・・・これ以上詳しい事は、それぞれの国に行って、その国の専用回線に侵入して見ないとわからないと思います」


「まあ、いいや。当面、あんたらの公国とこの国、それに俺を雇っていた傭兵部隊の本部も、人間が居なくなっちまったって事だけは間違いねえみたいだな」


「それは・・・少なくとも公国については間違いありません」


「それで?あんたらはこれからどうすんだ?」


「どう・・・とは?」


「俺たちアンドロイドやロボットは人間のために作られて、人間のために働くもんだろ?人間がいなくなった今、どうするつもりなんだ?」


「ええと・・・とりあえず最後に与えられた指示通りに仕事をするだけです」


「その仕事が片付いちまったら?やる事が無くなっちまったらどうすんだ?そもそもこの国に調査に来るなんて、人間から命令された事じゃねえんだろ?」


「・・・それは・・・・・お嬢様を殺した犯人をわたしが見つけたかったからです」


「あっはっは!やっぱおもしれえな!あんた!・・・だがその犯人が俺じゃねえって事はわかってくれたよな?」


 ヴァーミリオンは笑い出しました。


「それは、確かにそうですが・・・」


「犯人を見つけてどうすんだ?敵討ちでもしようってのか?・・・だとしたらあんた、アンドロイドとして狂ってるぜ」


「そういう訳ではありません!」


 これ以上話しているとわたしが感情を持ってるという事が明るみになってしまいます。




「我々がここに来た理由はそれだけではない。公国の人間が生きていたら、今回の件の原因を調査するように指示を出していたと推測されるからだ」


 バスティアンがフォローしてくれました。


「いや、なにもあんたらを責めようってわけじゃあねえ。むしろ感心してるのさ。この国のロボットたちもそうだが、人間からの指示が無くなってから何にもしなくなっちまった。まあ、それが当然っちゃあ、当然なんだが・・・あんたらみたいに積極的に自分の判断で行動を起こすロボットは、少なくともこの国にはいねえな」




 ・・・それは・・・わたしには自分の意志が芽生えているからなのですが・・・・・




「そういうあなたは?自分の意志で行動しているのではないですか?」


「俺か?俺は元々自分の判断で臨機応変に行動で出来る様にAIに組み込まれてんだ。俺らみたいな傭兵は捕まった時にクライアントの情報や、本部の情報がリークしない様に、情報を抹消されている。だから、任務遂行中に想定外の問題が起きても簡単に上に相談できないからな、不測の事態に陥った時の対策ってやつだそうだ。それに加えて俺は人間らしさを強めに表現する様にセッティングされてんだ。そこはあんたらも同じだろ?」


「ヴァーミリオンは、エミリーとキャサリンの方を見てそう言いました」


「まあそうだね。あたしは人懐っこい性格のアイドルとしてプログラミングされてるからね!」


 エミリーは営業スマイルでにっこりと微笑みました。


「あたくしは接客業を生業としていますので、相手に合わせて会話する事を得意としています」


 キャサリンは丁寧にお辞儀をしています。


「そうだな、あんたらみたいなアンドロイドは他にも見た事がある。そっちのあんたは軍人だろ?必要最低限の簡潔な会話しかしねえもんな」


 今度はバスティアンの方を見てそう言いました。


 バスティアンは無言で睨み返しています。




「だが、わからねえのはあんただよ。どう見てもただのメイドアンドロイドの行動範囲を逸脱してるよな?」


 そして最後にわたしの方を見ました。




「もしかしてあんた・・・人間なのか?」


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