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32話 仲間との再会

「エミリー!キャサリン!無事だったんですね!」


「ジュリ達も無事でよかったよ!」


「今までどうしてたのですか?心配してたんですよ」


「えへへ、あれから色々あってね・・・ジュリ達の方こそ、もうだめかと思ったけどよく脱出できたね?」


「それは・・・」


「話は後にしましょう。今はここから脱出するのが先決では?」


 キャサリンの言う通りです。こんなところで立ち話していては見つかってしまいます。


「だがその前にもう一つやる事がある」




 バスティアンの指示で指令室を探す事になりました。

 この国の軍事情報を可能な限り確認するためです。


 たまに徘徊しているアンドロイドやヒューマノイドを見かけますが、どうやらそれらは城内の警備をしている訳ではなく、仕事の指示待ちで各所を巡回しているだけのようでした。

 人間がいなくなって、アンドロイドやロボットたちは次の指示待ち状態になっている様なのです。


 指令室は簡単に見つかり、セキュリティロックを外して中に入る事が出来ました。


 サーバーにアクセスできる端末を探します。


「おそらくこの端末から、この国の中枢のサーバーにアクセスできるはずだ。ジュリエッタ、やってみろ」


「わたしが、ですか?」


「この中で演算性能が最も高いのはお前だ。ハッキングのスキルはインストールしてある。この国の軍用回線のハッキングも出来るはずだ」


 ・・・いつの間にわたしにそんな物騒なものをインストールしていたのでしょうか?


「わかりました。やってみます」


 わたしは端末のタッチパネルに手を当てて、システムにリンクしました。


「それではこれからシステムに侵入します」


 いざ始めてみると、その手順が頭の中に浮かんできて、半ば自動的にハッキングが進んでいきます。むしろわたしの意識は、その進捗を眺めているだけの様な感じです。


「システムへの侵入を開始しましたが、少し時間がかかりそうです。その間にお二人の話を聞かせてもらえますか?」


 ハッキングプログラムは私の意識とは関係なく処理を進めてくれるので、その間、わたしは別の事が出来るのです。


「あはは、そうだねぇ・・・まずはあの山小屋の事だよね?」


「そうだ、なぜあのような状況になっていた?」


「それは・・・二人があまりにも気持ちよさそうに寝てたものだから・・・つい、いたずらしたくなっちゃったんだよ」


 やっぱりエミリーとキャサリンの仕業だったみたいです。


「しかし、この俺が服を脱がされても気が付かないとは」


「あたくし、気付かれない様に脱がすのは得意なのです」


 キャサリン・・・それは迷惑な特技です。


「本当に恥ずかしかったんですから」


「ごめんね、ジュリエッタ。でもキャサリンが下着まで脱がそうとしていたのを止めたのはあたしなんだからね!」


「なんでそんな事をしようとしたんですか!」


 わたしはキャサリンを問い詰めました。


「あら、だって愛し合う男女に下着なんて邪魔なだけでしょう?」


「わたしとバスティアンはそういうのではありません!」


「あら?そうかしら?服を脱がせたらお互いに求め合う様に抱き合って寝てましたのに?」


「それは・・・寒かったからです」


「ふふっ、それだけかしら?・・・まあいいわ。それで二人が目を覚ました時どんな反応するか見たくって、みんなで小屋の外に出て隠れて様子を見る事にしたの。そうしたらそこにたまたま国境警備のロボットが現れたのよ」


「そこで、山小屋で眠ってる二人から注意を離すためにあたし達がおとりになって、注意を二人から離す事にしたの!」


「うまく注意を引き付けて、警備ロボットを山小屋から引き離す事には成功したのだけど・・・エミリーが足を滑らせて、それにあたくし達も巻き込まれて、雪の斜面を転がり落ちてしまったの」


「それでどうなったんですか?」


「気が付いたら警備ロボットに捕らえられていたわ」


「それで、ここに連れてこられて閉じ込められていたってわけ」


「でも、どうやって脱出したんですか?それにその恰好は?」


「キャサリンが機転を利かせて看守アンドロイドを言いくるめて檻を開けさせたのよ。その隙に看守を倒して服を拝借したってわけ」


「それで檻の中に全裸のアンドロイドが倒れていたんですね。でも二人の服はどうしたんですか?」


「それが捕まった時に身に着けている物を全部取られちゃったんだよ。うら若き乙女を全裸で牢屋に閉じ込めるなんて、この国にはアンドロイドに人権が無いの?」


「捕獲した敵のアンドロイドを全裸にして調査するのは常識だ。体に武装を埋め込んでいる可能性があるからな」


「あたしたちは戦闘用アンドロイドじゃないってば!」


「それを確かめるためだろう」


「まあ、それで向こうも油断してたんだろうけどね!まさかキャサリンがあんな行動に出るなんて!」


「キャサリンは一体何をしたんですか?」


「ふふっ、それは秘密よ。もし興味があるのなら後でジュリエッタにもこっそりしてあげるわ」




「・・・・・やめておきます」




 なんだかすごく嫌な予感がしたので、この話は追及しない事にしました。




 そんな話をしている間にシステムへの侵入が成功したようです。


「ハッキングが成功しました。軍のシステムへの侵入が可能になります」


「よし、よくやったな。ジュリエッタ。何か重要な情報は得られそうか?」


「はい、軍事拠点間の通信履歴を閲覧できそうなのでそれを確認します」


 国内の軍事拠点同士は有線の専用回線でつながっていて、それは生きているようです。


 わたしはその通信履歴を確認しました。




「・・・・・これは!」




「どうした?何かわかったか?」




「この国は・・・全ての機能が停止しています」


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