22話 旅の支度
隣国への遠征に行く前に、わたしとエミリー、それにキャサリンは必要なスキルをインストールする事になりました。
相変わらず無線通信が使えないので、メンテナンスベッドでインストールを行う事になります。
・・・とりあえず、バスティアンともう一度キスをする事にならなくて良かったです。
・・・あれっ?・・・ほっとした気持ちと一緒にほんの少しだけ別の気持ちがあったのは・・・一体何なのでしょう?
「ジュリエッタ、うちがキスしてインストールしてあげてもいいけど、どうする?それともバスティアンの方がいいのかな?」
「ベッドでお願いします!」
メンテナンスルームに行ったらパトリシアにからかわれました。
「ふふっ、それじゃあ三人とも服を脱いでベッドに横たわってね」
メンテナンスルームにはベッドが三つ用意してあり、三人同時にインストールを行うみたいです。
他の人に裸を見られるのは、以前は何の抵抗もなかったはずですが、最近は恥ずかしいという感情が沸き上がってくるのです。
でもそれを悟られるわけにはいかないので、仕方ないので服を脱いでいきます。
エミリーとキャサリンは何とも思っていないのか、サクサクと裸になっていきます。
「あれっ?ジュリエッタ、恥ずかしがってるの?」
やっぱり裸を見られるのが恥ずかしくて脱いだ服で前を隠してると、そんなわたしに気が付いたエミリーがこちらににやってきました。
エミリーも全裸ですが、何も隠そうとせず普通にしています。
「そんな風に恥ずかしそうにされると、かえって気になっちゃうなあ・・・えい!」
わたしが体を隠していた服をエミリーが剥ぎとってしまったのです!
「おお!いい体してるねぇ!」
「何するんですか!」
わたしは慌てて胸と足の間を手で隠しました。
「ええっ、隠さないでよ、もったいない」
「恥ずかしいのでほんとにやめてください」
「あはは、ごめんね、ジュリ。でもジュリの体、本当にきれいだよ。隠すなんてもったいない」
「ジュリエッタがそんな風に恥ずかしがるのは、お嬢様の指示なの?」
「・・・はい、お嬢様から女の子は常に恥じらいを持つようにと言われていましたので」
本当は、本気で恥ずかしいのですが、ここはその様に振舞っている事にしておきます。
「ふうん?でも、そんな風に恥ずかしがられると、かえってそそられちゃうな!」
「あたくしも殿方の相手をする時はそのように振舞った方が喜ばれるのでそうしますね。こんな風に」
キャサリンが片手で胸を隠し、もう一方の手を太腿の間に挟んで、体をくねらせ恥ずかしそうな表情ををすると、途端に色っぽくなりました!
「うわぁー!本当だ!キャサリン滅茶苦茶色っぽい!あたしもやってみよう!」
エミリーが両手で胸を隠し脚をクロスさせて大きく前かがみになり、恥ずかしそうな表情で上目遣いでわたし達を見ました。
「どう?このポーズ、そそられるでしょ?」
「う、うん。かわいいかも」
元アイドルだけあって、かわいく見える仕草は得意みたいです。
「エミリー、そんなにお尻を突き出していると、後ろから大事なところが丸見えですよ?」
いつの間にかエミリーの背後に立っていたパトリシアが呆れた顔でわたし達を見てました。
「やだ!後ろから見ないでよっ!」
エミリーは慌てて両手でお尻を隠しました。
「エミリーはそこから直接データをインストールしてあげよっか?」
「それはやめて!美少女アイドルとしての尊厳が!」
エミリーは両手を組んでパトリシアに懇願しています。
「冗談よ。うちにもそんな趣味は無いわ。三人とも、遊んでないで早くベッドに寝て下さい」
「はーい、わかりました」
キャサリンは胸を隠したまま、色っぽい仕草でベッドに歩いていきます。
わたしとエミリーもなんとなく胸を隠しながらベッドに向かいます。
そして三人はメンテナンス用のベッドに横になりました。
カバーが閉まって液体が満たされていきます。
液体が満たされると、液体を通じてメンテナンスシステムと通信が確立されます。
「では新しいスキルのインストールを開始します。主に諜報活動のために必要なスキルだけど、キャサリンとエミリーはついでに全身の点検と戦闘スキルのインストールも行います」
「えっ?あたしたちも戦うの?」
「万が一の為よ。基本は諜報活動だけど、いざという時は強行突破しなければいけない可能性もあるからインストールだけでもしておくようにバスティアンから言われているの」
「でもそういった運動系のスキルって、インストールするだけではなくってボディに合わせてチューニングが必要ですよね?」
「そうね、キャサリン。高レベルなスキルになる程ボディに合わせたチューニングが必要になってくるわ。それについては現地に着くまでの間にバスティアンがトレーニングするそうよ」
「そういえば、ジュリは実戦の最中にインストールしてその場ですぐに使いこなせたんだよね?」
「あっ、あの時は夢中だったので!」
「あはは、ジュリってば、いつも人間っぽいこと言うよね?」
そうです・・・アンドロイドのシステムは根性や気力でどうにかなるものではありません。
「ジュリエッタの人工脳はうちらの物よりハイスペックだからね」
「そっか、さすが高級品だね!」
「もう、茶化さないで下さい」
「でも、実際に、フレーム強度やアクチュエータの出力も、二人はジュリエッタより劣るから。万が一戦闘になったとしてもジュリエッタと同じ様には戦えるわけじゃないから、そのつもりでね」
「はーい、あたしたちは戦うつもりはないけどね」
「いざという時はお願いね。ジュリエッタ」
「はい、お二人はわたしが必ず守ります」
何かあったら二人を守るためにわたしが頑張らないといけません。