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男はスマホの画面を見つめた。彼が、新星白が写っている。
小学1年の入学式。あの日は桜が舞っていた。例年通りならすでに散っているはずなのに、あの年だけなぜか開花が遅かった。男は思う。
(きっと世界が、彼の門出を祝っていたのだろう)
隣で眠る彼女が身じろぐ。画面光が眩しかったか、と様子をうかがうと、どうやら寝返りを打っただけのようだ。んん、と小さな声を出してまた穏やかに寝息を立てる。
男は小さく笑ってまた画面を見やった。ああ、彼が笑っている。
(太陽のようだ……)
素敵だ。男は胸いっぱいに息を吸った。
夜明けまではまだ遠い。