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絵馬と受験生
『○×高校に合格しますように』
震えた手で書いた夢を、絵馬掛所へと持っていく。
偏差値が足りない。先生にも「私立でもいいんだよな? じゃあ一応、受けてみる?」と記念受験を勧められた。
どうしても公立ってわけじゃないし、レベルを下げてもいい。だけど挑みたいのは、幼馴染の女の子がその高校の推薦入試を確実にパスするだろうから。
同じ高校に行きたいから。
先生だって、親だって、友達もきっと気づいてる。知らないのは彼女だけ。
絵馬を結び、手を合わせてお祈り。
顔を上げた時、彼女の名前が目に映った。
『○×高校に合格しますように! 幼馴染と、二人一緒に!』
絵馬にかけた彼女の願い事。
ぐるぐると、思い出が蘇った。
友達はいる……けど、間違いないよな?
小さい頃からずっと付き合ってるのは、幼馴染は俺だけだよな?
二つ並んだ絵馬を撮影し、そそくさと神社を後にした。
願いが叶ったら、告白しよう。
そう決意して、数式を呟きながら自宅へ急いだ。