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サンタクロース
クリスマスの朝、二十三歳の私の元へサンタクロースが来ていた。
枕元に置かれた小包。
ベッド脇に膝を立てて座っていた彼が、パシャリとカメラのシャッターを押す。
「嬉しい?」
悪戯が成功したかのように彼が笑った。
喜楽の感情を飛び越えてポロポロと、涙が出た。
「わたし、なにも用意してなくて」
泣き崩れる私の頭にぽんっと、彼の掌が乗る。
「じゃあ、来年は手紙を書こう。去年はありがとうってお礼して、今年はこれが欲しいです、って」
今年はリクエストなくてサンタさん困ってたからさ。と、彼が困ったような笑顔をみせた。
ありがとう、ありがとう、ありがとう。
手紙を書くよ、お礼もする。
サンタさんの欲しいものも聞いて、美味しいご飯とケーキでパーティーしよう。
私だけのサンタクロースに、私だけがもらえるプレゼントを。
あなただけに、贈りたい言葉を。
「来年のクリスマスは、サンタが一人増えるよ」
冗談めかした私の言葉に、彼が楽しそうに笑った。