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ループ・繰り返し・過去改編な作品

ただ大好きな人達を幸せにしたかっただけなのに

作者: リィズ・ブランディシュカ



 大好きな人達には、幸せになってほしかったんだ。

 不幸になってほしくなかったんだ。


 だから、俺は頑張って皆を幸せにしてきた。


 なのに、なぜ。

 皆は、そんな顔をしているのだろう。


 悲しまないでくれ。

 泣かないでくれ。

 嘆かないでくれ。


 幸せになったんだから、喜んでいられるはず。笑っていられるはず。希望にみちているはず。

 それなのにどうして? 


 頭が良くて聡明な先輩には、お似合いの婚約者を紹介してあげたのに。

 だって、馬鹿な人間と一緒になったって幸せにできるとは限らないじゃないか。


 夢見がちな幼なじみには、安定した会社を紹介して堅実な道を歩かせてあげたのに。

 だって競争率の激しい職につくなんて、無謀だ。夢だけで人は食ってはいけないじゃないか。


 誤解されがちだけど気の良い友人には、人気者になれるように、弱き者を助けるヒーロー、なんてシナリオをプレゼントしてあげたのに。

 だっていつも一人ぼっちでいるなんて、寂しいじゃないか。


 皆どうして、そんな顔をして、俺を見ているんだよ。


「私は君が好きだったんだよ。どんな素晴らしい地位を持った婚約者よりも、君の方が良かった」

「たとえ挫折してしまうものだとしても、応援して欲しかったな。現実だけを見て過ごすのは窮屈だった」

「僕は一人でも不幸なんかじゃなかった。自分だけの時間で、自分だけが見える世界を大切にしていたかったのに」


 先輩は、猟奇趣味があった婚約者に殺されてしまった。

 幼なじみは、急成長中の大手のブラック会社に使い潰された。

 友人は、多くの人たちのリーダとなった事で、不祥事の矢面に立たされて解雇された。


 何がいけなかったのだろう。


 お金があれば人は幸せになれるはずなのに。

 安定した会社に入れば、将来の心配はしなくてすむはずなのに。

 人気者になれば、困った時でも多くの人が手を貸してくれるはずなのに。


 お金に物をいわせた犯人が、犯罪の証拠を隠滅し、

 大きすぎる会社は権力を使って、一人の人間の末路をもみ消した。

 たくさん人がいても所詮は赤の他人。我が身可愛さで目も向けてくれない。


 行き詰った、袋小路。

 ここからの挽回は不可能。

 取り返しなんてつきはしない。


 一体俺はどこで、何を間違えてしまったんだろう。



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