コーディネートはお任せで
「いらっしゃいませー!」
武器を手に出来た私達は、ワンピースから旅に適した服を調達するために、衣料品をそろえた店に入った。
わぁ〜〜!!すごい!さっきの武器屋も凄かったけど、衣料をそろえた店は、元の世界との違いをあからさまに感じる。
「どういった服をお探しですか?」
店主は上品な女性だ。
「旅に適した服が欲しいんですけど。」
すると、女性は私達を上から下まで見た上で、こちらへどうぞと奥へ案内してくれる。
奥はサロンのような空間になってて、広めの試着室を備えている。
よろしければお似合いになりそうな物を見立てさせて頂いても宜しいですか?と店主が言ってくれたので、私も史絵さんもお願いしてみた。
出されたお茶を飲みながら、店内を見ると服以外にも、インナーや、下着など衣料品全般を置いているようで、ここでほとんど揃えられそうだ。
しかし、荷物増やしたくないなぁ…。という気持ちが、頭を悩ませる。
「史絵さん、いろいろ買いたいけど、荷物多くなると大変ですよね…。」
そう言ってみると、史絵さんがニヤリとして布袋を指指す。
「大丈夫。抜かりは無いわよ!後でみせてあげるから安心して買い物しましょ。」
私は、なんのこっちゃ?と思ったけど、そう言うならいろいろ買っちゃお!
そう考えていたら、店主が戻ってくる。
「こちらはいかがでしょうか。」
見せてくれたのは、私用に胸当てとフードの付いた長めチュニックと、タイツ、革製のの少しヒールの付いたニーハイブーツ。それにマント。皮のリュック。
史絵さんは、聖職者風なローブに黒い革のショートブーツ。フード付きのマントに、杖を固定できる金具の付いた斜めかけのバックだ!
「すごい!かわいい!」
「デザインも素敵だし、布も…見た事のない布ね。キレイ!」
試着してみると、誂えたようにぴったりで、見た目より軽く丈夫そうだ。
「とてもお似合いです。お2人のイメージとお持ちの武器を参考にさせていただきました。」
「とっても気に入りました!これ、着て行きます!」
「あと、インナーとかを数点買っていきます。」
「かしこまりました。ご用意いたしますね。」
これまで着ていた服をまとめて箱に入れてもらい、追加で買ったものを袋に入れてもらう。
元の世界でも、全身コーディネートとかやった事無かったから、めちゃくちゃテンション上がってしまった。
店を出ると、両手に荷物だ。これいかに。
「伊織、ちょっとこっちへ。」
横道へ入り、人の居ないのを確認すると、史絵さんが取り出したのは手荷物の中にあった謎の箱型の魔導具だ。手のひらに乗せたそれを、
「見てて。」
カチリとボタンを押すと、地面に置く。
すると、カタカタとみるみるうちに箱が折り紙を開くように開きながら、また組み上がるのを繰り返し、大きな衣装箱になってしまった。
「えええ!?なにこれ!」
「光の玉に作らせたの。これに収納すれば、また小さい箱に戻せて、手荷物が減らせるわ。」
す、すごい。光の玉と交渉してこんな物をこさえるとは…。
その衣装箱に買った物と、着ていた物をしまい、また小さい箱に戻す。
わぁ。便利!!!元の世界でも欲しかったわと思いながら、自分の箱をリュックに戻した。
「じゃあ、宿に戻りましょ!昼にはこの村を出なくては、移動が難しくなるわ。」
「そうですね。」
路地から出て、宿へと石畳の道を歩く。
今日はすっきりと晴れて穏やかな天気だ。
ジェフさんが紹介してくれるという、王都の人は一体どんな人物なのか。
不安と期待が入り交じる気持ちのまま、もうすぐ宿に到着だ。




