免疫力求厶!!!再び
「へっ!?」
ジェフさんの、呆気にとられた声が食堂に響いた。
「お嬢さんがた…。自分のいる国も分からず旅してんのかい!?」
「まぁ…その…いろいろ事情がありまして…。」
ゴニョゴニョと語尾を濁す私達に、ジェフさんの深〜〜〜いため息が、信じられないという気持ちを言わずとも語っていた。
「まぁいい…。人間、語れない話もあるのは理解するが、女性の2人旅なんだ、身の危険を感じる事だって起きる事もある。それは理解できるだろう?」
うんうんっと、史絵さんと私の動きがリンクする。
「しかし…。国の名前すら知らないんじゃ、旅する以前のお話だ。」
よしっ。とジェフさんが、私達の後ろを見てニヤリとする。
「ランスロット、ちょっとこのお嬢さんがたに、この世界の国や、各都市の特徴について授業してやってくんねぇか!」
ん"っ!!?ゴホッゴホッゴホッ
後ろの席から、盛大にむせる声がした。
こ、これは…この流れはアカン!!!!
「2人とも丁度、前菜が終わったところだし、4人同じテーブルで食事をしながら、教えて貰うといい。ランスロットは優秀な男だ。俺が保証するよ。」
いやあああああああああああぁぁぁ…
「なっ!いいだろう?ランスロット!」
勝手に話を進めるジェフさん…。
ギギギっと首を回して後ろを確認すれば、苦虫を噛み潰したような顔をした麗しい美丈夫がこちらを見ている。うわぁめっちゃ嫌そ〜〜〜〜。この世界について知りたいという気持ちはある!だが何故あの人から教わる流れなのか!!ジェフさんじゃダメなんでしょうか!?
「初対面の方にご迷惑なのでは…。」
史絵さんも食いさがる!いいぞ!もっと言え!
「誰だって最初は初対面だろ。」
何言ってんだ?というジェフさんの心底不思議そうな顔!!あああこの人コミュニケーションおばけか!!コミュ障とは正反対の生き物…!くうぅ…こんな所に生息しているなんてっ…!
すると、別な方から声がした。
「いいじゃないか、ランスロット。お嬢さん達の旅の安全の為にも、僕らでひと肌脱いでやろう。」
「…!!アルバートまで!」
後ろを再び振り返れば、アルバートさんの方が、ガタリと席から立ち上がり、ニコニコとした表情で、向かいの席のイスを引いて、さぁどうぞと促してくれている。
(もう逃げられない…。)
「…。ありがとうございます。」
かくして、イケメン2人と同じテーブルで向かいあって座る事になってしまい、もう既にキャパオーバーをしてしまいそうな私達は、勧められたイスがまるで死の宣告のように感じて、何かを悟ったかのような穏やかな表情でカウンター席から立ち上がるしかないのであった。