免疫力求厶!!!
「なんか…凄まじい破壊力のイケメンでしたね…。」
ベッドに腰掛けて、はぁ…。とため息をつくと、ようやく落ち着いてきた。
窓の外は日が沈み始めて夕焼け色に染まっている。
「あんなの、38年生きてきて初めて見たわ…。」
史絵さんもとなりのベッドにバフりと倒れ込んで完全に脱力モードだ。
あの後、何故か女将のマーサさんに「何だかすまなかったね!」と謝られてしまい、呆然としていた私には、「部屋を離して貰いたい。」と言われた事になのか、知り合いとおぼしき超絶イケメン2人のオーラにあてられた事になのか、何がなんなのか分からないまま、「いえ…。そんな事ないです…。大丈夫です。」と上の空のままに答えていた。
「晩御飯の支度が出来たら部屋まで声をかけに行くから、それまでゆっくり休んでいておくれ!」
と、伝えられたが、まさか晩御飯をあの2人と同じ空間で頂くのだろうか…。という、期待してしまう様な、恐れおののいてしまうような、なんとも複雑な気持ちになってしまった。
「あ!そうだ!史絵さん、明日は武器や旅の装備をある程度揃えに行きましょう!」
今日、ひと通り歩いてみた感じだと、小さいながらも品揃えの良さそうな店があったし、今の2人は、膝下まである地味なワンピースに、編み上げの革のロングブーツ。荷物は布袋のみ。明らかに旅向きとは言えない格好だ。布袋の中身は村までの道中軽く確認したが、何やら謎の魔導具の様なものが数点と、お金とおぼしきコインの入ったお財布のみ。史絵さん曰く、今の所持金でも、ある程度の買い物や、数週間程度の宿泊は出来るが、残金はこの世界で言うところの銀行のような施設に入れておくように光の玉に言ってあるらしい…。
私がステータスとスキルを設定している間に、光の玉といったいどのような交渉が行われた…いや…これ以上は考えるのはよそう…。
コンッコンッコンッ。
部屋のドアがノックされて、女将さんに晩御飯の支度が出来たからと、階下へ促された。
すぐ行きます!と返事をして、髪や、ワンピースのシワを整え直す。
いや!違うから!!イケメンを意識してるとかじゃなくて!!一応身だしなみを整えるのは女性の嗜みというか!!と、自分に言い訳をしていたが、チラリと、隣りのベッドを見れば、史絵さんが髪をサイドにまとめて編み込んでいる。
じっと見ていたら、
「っ!!いや!違うから!意識してるとかじゃなくて!!!!下ろしたままじゃ食べにくいかなって!!」
と顔を真っ赤にして否定し始めた。
アラフォーにして男っ気の欠片もなくなり、更にはイケメンに対する免疫力が皆無だった2人の行動は、中学生かよ!!と言わんばかりに分かりやすく似通っていたのであった…。