復讐の聖女と邪悪な神 1 天国への階段
リグと双子がヘルにより消滅された頃、ジャンヌは地獄の底で焦っていた。
「後一人…彼女は一体どこに…」
ジャンヌが探していたのは、国王ブオウと教王ガエルと共謀し聖なる衣を強奪したヘルだった。
地獄の全てを見通すジャンヌの深紅の瞳をもってしてもヘルを見つけることができなかった。
「どうして…まさか、聖なる衣のせいで?…しかし…」
かつてジャンヌが神から授かった「聖なる衣」は装着者をあらゆる攻撃や毒からも防いでくれる最強の盾でもあった。だがあくまでも衣は防御の力のみで、ジャンヌの目から逃れる力まではない。
「もしや彼女も神の道具を持っていた…? 」
ジャンヌが神からの信託を受けた際に3つの魔法道具を受け取った。
1つは念じた場所に瞬間移動できる、掌ほどの球体の「転移玉」
2つ目は魔法の血がない者にも最強の魔法の力を授ける長い白杖「魔法の杖」
3つ目が「聖なる衣」だった。
ジャンヌの知らない魔法道具があるとしたら、ヘルは一体何者なのだろうか?
そして、地獄の力をもってしても見つからないヘルの未知なる力に恐怖を感じた時、ジャンヌの瞳が天国への階段を写す。
「これは…しまった!!」
天国の階段の周辺には地獄の闇により消滅しかけている罪人たちの無惨な姿があった。
△
「た、助けてくれぇ!! あ、あんた聖女なんだろぉ!? あの白い化け物をなんとかしてくれぇ!!」
「はぁ? 近づくんじゃないわよ、ドワーフの男は臭いんだから消えろ」
天国への階段を上っているヘル。上の方から亡者に追いかけられ逃げている最中にヘルと遭遇し助けを求めたが無惨にも消されてしまった。
他にも階段を上っていた者もおり、教会を支配していたヘル「聖女様、たすけて」「私を天国へ連れてってください」と希望の声を上げたが。
「あぁ~~うるさい、うるさい。あんた達さっさと消えるか、落ちるかしてくれない?」
「なっ!? なんだとぉ!! この、人族の分際でぁ!!」
傍若無人なヘルに怒りエルフやウンディーネらが魔法で攻撃する。だが、聖なる衣の完全防御の力により飛んできた魔法は霧散した。
「ふぅん? 耳長と魚のくせにこの私に盾つくなんて…しね」
ヘルが軽く手を振ると攻撃してきた彼らの体が消滅し始めた。
「ぎゃぁぁぁ!!」
「う、うぁぁぁぁ!!」
そのまま消滅した者の最後の悲鳴を聞き「はぁ、男の悲鳴はクソつまらないわぁ」と短く言い階段を上る。階段を守護している亡者達はヘルを襲う事なくむしろ道を開けていた。
「はぁ、地獄も現世にもだいぶ飽きたから、しばらくは天国でのんびりしよう…私専用に城に可愛い子をいっぱいおいてぇ、あと美味しいワインも。飽きたらまた戦争を起こして、今度は汚くて臭いドワーフを先に殺して…」
階段を軽い足取りで上りながらヘルは天国での暮らしを考えていた。
だが、そこに復讐の鬼と化した者が行く手を阻んだ。
「見つけた…」
ヘルの目の前に地獄の闇が出現し、闇の中からジャンヌが姿を現した。




