地獄で出会う少女達 1 暴漢の一団
あらゆる恐怖と苦痛が無限に続く地獄。
だが、地獄に堕ちても自らの罪を悔い改めない者もいた
「あぁ!! くそぉ!! おい人間!! 食い物はねぇのかよぉ!!」
「えぇ!? ドワーフの旦那…も、もうパンの一切れも残ってないですよ…」
様々な種族の男たちが混じった一団が地獄を進んでいた。
彼らも地獄に堕ちる前は暴力や略奪。性欲を満たすために少女の誘拐など多くの罪を犯してきた。
既に亡者達により何百回もなぶり殺されていたが欲望の大きさが異常なのか苦痛と死を繰り返しても心は折れていなかった。むしろ地獄でも生前と同じ事をして欲望を満たしていた。
「くそぉ…ドワーフの大食い馬鹿が…」
「俺たち、何日も食べてねぇのに…」
荷物持ちをさせられている人間の男達が恨み言を吐いた。能力が一番低い人族は見下されて、他のエルフやウンディーネ達は魔法で浮いて移動していた。上空には近くに襲える村がないか偵察でハーピィの集団が飛んでおり、男たちは地獄で何度も食料や女を強奪しながら天国への階段を目指していた。
「へっへへ、みたかよ? 空に写っている女ども…あぁ、早くいきてぇ…」
「あの変な階段さえ登れば、化け物どもとおさばらだ…」
エルフやウンディーネらが汚い笑みを浮かべ空に映る天国の風景を見上げる。
深紅の空に映る草木が栄え、そこに笑顔でピクニックしている子供たちの姿があった。
天へとつながる階段さえ登ってしまえば、後は食べ物も女も全て手に入る。
天国の風景を見ていると上空にいたハーピィから集落を発見したと報せを受け、男たちは食料の調達と性欲を満たすため小さな集落へ足を向けた。
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「…ふぅ、だいぶ歩いたな…」
我儘三姉妹とダージンの屋敷から旅立ったリグは生前の仲間を探しに地獄を旅していた。時折、地獄や辺獄にて食料を蓄えている集落を見つけてはダージンの屋敷から持ち出した金目の物や生活に使えそうな物を食べ物と交換してなんとか飢えずにすんだ。
「そろそろ水もやべぇか…おぉ?」
リグが目を凝らすと、小さな集落が見えた。あそこで食料と何かを交換してもらおうと足を向けるが集落の方で火と煙が上がっていた。
集落の方へ向かうと、集落の者であろう人間の男たちが無惨に殺されていた。
「ひでぇ…誰がこんな事…ちっ!!」
舌打ちをするリグ。気づくと、リグはエルフの男達囲まれてしまった。
「へへぇ、女は全員捕まえたと思ってたんだが、またいたのか…」
「ドワーフやウンディーネどもに見つかる前に俺たちで先に楽しむか…」
「逃げられないように、足をつぶせぇ!!」
エルフの魔法が飛んできた。リグは荷物を捨て身軽になった状態で魔法を避ける。リグからの魔法の反撃がないと気づき男達は余裕の笑みを浮かべる。
「へっへ!! こいつ魔法の血がないぜぇ!!」
エルフ達が喜ぶ中、リグは腰にある地獄の剣を引き抜く。禍々しい見た目の剣にエルフ達は一瞬身を震わせるが、相手は魔法が使えない小娘だと思いだす。
「おいおい、無駄な抵抗すんなよ? 」
「剣一本じゃ何もできねぇよぉ、あきらめなよ雑魚がぁ!!」
男達が叫び、リグは地獄の剣を地面に突き刺した。
剣一本ではかなうわけがないとリグがあきらめたと思いリグに近づく。
「そうそう、おまえら人間は弱いからな…俺たちがたっぷりかわいがってやる…よぉ…は?」
地面から闇の刃が出現し次の瞬間、闇の刃が男達の両足を切り裂いた。
「う、うぁぁぁ!! あ、あしがぁぁ!!」
「ひ、ひぃぃ!! わ、私の足が消えていくぅ!!」
両足が消滅し地面に倒れたエルフに向けリグは冷たい目を向けて「死ね、屑ども」と言い放つ。地獄の剣から発せられた闇の刃は地面に這いつくばっている男達の首を切り落とした。
「く、くそぉ!! この女!! なんなんだよ、その剣は!?」
「お、おちつけ!! どうせ死ねば元に戻るんだ!! がっ…」
頭だけになりこれまで生き返りと死を繰り返してきたエルフ達は自ら舌を噛みきり死亡する。これまでの地獄の生活で腕や足を失ったらさっさと死んで生き返った良いと気づいていた。
だが、地獄の剣で傷つけられた物は死んでも戻らない。
エルフ達は頭だけの状態で生き返り絶望の声を上げる。
「な!? なんで元に戻んねぇんだよぉ!?」
「あ、あ…いやだぁ!! いやだぁ!! 返せ!! 私の体をかえせぇぇ!!」
頭だけになり地面に転がっているエルフ達はリグに向け「助けて」「体を返せ」と泣き叫んだ。こんな状態では自分では食うもとも戦うこともできない。
「そこで飢えて死んでろクソエルフども…」
エルフたちを放置してリグは走った。集落の生き残りがいないか辺りを見渡すが人間の男性の死体ばかり転がっていた。彼らは時間が立てば生き返るが、ここでリグは女性の死体が一つも無いのに気づく。
「変態どもがぁ…」
生前若い女性を狙った奴隷商らがやる「人狩り」とやり方が似ているのに気づいて、
リグは苛立った。地獄に堕ちても性欲にまみれた者に怒り、集落の中心にいくと人間の女たちが集められていた。
「なんだよ…ここは人間しかいねぇのかよ…ちくしょう、エルフの女がいればもっと楽しめたのに…」
「まぁ、人間でも女は女だ。たっぷりと楽しませてもらうかな」
人間の女性たちを前にエルフ以外のドワーフやウンディーネの混合した一団が笑う。
一団のボスらしき大柄のドワーフの周りには荷物持ちをさせられていた男達が愛そう笑いをしてご機嫌をとっていた。
荷物持ちの男達は普段は奴隷のように扱われていたが、時折集落を襲撃して手に入れた食料や女の「おこぼれ」がもらえ味を覚えてしまった。
男達は文句を影で言いながらドワーフ達の小判鮫となっており、目の前にいる同族の女性らの助けの声を無視した。
「くそぉ…地獄に堕ちても屑は屑かよぉ…」
ジャンヌの作り出した地獄で全く反省しない男の集団に殺意を向け、地獄の剣を握りしめる。先ほどのエルフたちと同じように首を切り落としてやろうと思ったその時、上空をハーピィ達が通り過ぎて慌てて身を隠した。
「た、たすげでぇぐれぇ!!」
ドワーフらの前に慌てて着地したハーピィ達。
集落から人間の女が逃げてないか偵察に飛んでいたハーピィ達は手足など体一部が欠損していた。しかも欠損した箇所から黒い煙が上がり徐々にハーピィ達の体を消滅させていった。
「へ、へんな人間のガキに切られて、仲間が消された!!」
「う、うぁぁぁ!! いやだぁ!! いやだぁ!! 俺の体が消えてくぅ!! う、うぁぁぁぁ!!」
大柄のリーダードワーフ達の前で断末魔を上げながら消滅していくハーピィ達。死ねば生き返るはずだが、死体すらなくハーピィ達は全滅した。目の前で仲間が消えたことでドワーフとウンディーネ達は警戒していると。
「ぐげぇ!! ぎ、ぎいやぁぁぁ」
「ぐぇ!! な、なんだぁ? ごれは…?」
どこからか2本の黒い刃が伸びてドワーフとウンディーネ達を貫いた。そして、刃に貫かれた男達は死体も残らず消滅した。
隠れていたリグはドワーフ達を貫いた刃の先を見ると黒と白の少女の姿があった。
しかも彼女たちに手にはリグと同じ地獄の剣があった。
「汚れた者たちが…お前達など」
「聖女様の創られたこの世界にいらない!!」
かつて闘技場で見世物とされ地獄でジャンヌに地獄の剣を与えられた双子のネロとアルが性欲に汚れた男共を粛清し始めた。




