我儘三姉妹 8 復讐の終わりと地獄をさまよう双子。
「…終わったか…」
ダージンの部屋で一人リグは地獄の剣の力で屋敷の様子を見ていた。
宝石箱の中。宝石を奪われた者の恨み言を聞かされながら宝石に潰されている長女のアン。
鏡部屋。嫉妬に狂い自分よりも美しい者を金と権力で殺して、鏡に映った被害者たちの苦痛と死を味わっている次女のデュ。
地下の厨房室。鎖につながれ、腐った味のする食べ物を無理やり食わされ肥満となったドロ。
欲にまみれた三人の姉妹はそれぞれが犯してきた罪に沿った罰を受け今も死と生き返りを繰り返している。
そして、そんな娘達を育ててしまったダージンは手下達と共に拷問用に使っていた毒蛇に食われる。
「みんな…仇とったよ…って、本当なら私もあいつらみたいに罰を受けるべきなんだよな…」
手にあるジャンヌから与えられた地獄の剣を見つめる。自身はジャンヌによる温情でダージン達のような罰は下っていない。
生前、貴族やその手下などを何人も殺してきた自分にはどんな罰下るのか?
貧しい人たちのために手を血に染めた仲間たちもこの地獄のどこかにいるのだろうか?
「…まぁ、あの聖女様も「仲間を探してはいけない」なんて言ってないだろうし…」
リグは持てるだけの金目の物を持ち屋敷を出た。
3姉妹やダージン達がこの地獄の屋敷から解放されるには屋敷を支配しているリグの地獄の剣が必要だが彼女が離れたため、もう助けは来ない。
「もう少し、地獄にいてもいいよな? 聖女様…?」
地獄の剣を携えてリグはどこかにいるかもしれない仲間を探しに地獄の旅を始めた。
△
リグが地獄の旅を始めたその頃。
「へへへっ!! 嬢ちゃんたち、迷子かい?」
「お兄さんたちが優しく案内してやるよ~~」
地獄のどこかでドワーフの男たちが二人の少女を囲んでいた。
明らかに盗賊や騎士崩れの男集団は少女の体目的で武器をちらつかせていた。
「ねぇ? あんた達…」
「ここで、何をしてるんですか?」
黒と白のドレスを着た少女の質問にドワーフ達は答えず襲いかかる。
相手はたかが人族の小娘だ。適当に足の骨を砕いてその後に楽しんでやる。
性欲に満ちた外道たち。次の瞬間に少女らの持つ漆黒の剣が振るわれ彼らの体を消滅させる。
「はぁ!!」
「せぁ!!」
二振りの剣はまるでダンスを踊るかのように無駄な動きがなく、次々とドワーフ達を屠っていく。
「ひ、ひぁぁぁぁ!!」
「このがきぃ!! ぶちこ…ぐふぅ…」
漆黒の剣は男達の持つ巨大な斧や分厚い鎧ごと跡形もなく消滅させた。
男達は魔法や岩を投げ距離を取り応戦するが、双子は剣を両手で構える。
「いくよ、アル!!」
「はい、ネロ姉様!!」
黒ドレスのネロと白ドレスのアルがそれぞれ地獄の剣を頭上に掲げた。
すると、二つの剣が一つ漆黒の光となる。
「これが…聖女様の…」
「力だぁ!!」
一筋の闇が岩ごと男達を飲み込んで、後に残ったのは大きくえぐれた大地のみだった。
「やったね、アル!!」
「はい!! これも聖女様のおかげだね!!」
地獄の闘技場にて自分たちに復讐の力を与えてくださった聖女を魂の底から崇拝する双子。
闘技場を支配していた者や好きで戦っていた者を二度と戦えない体にした後、二人は罪人を狩り始めた。
聖女様の作られた世界に汚れた存在はいらない。抹殺すべきと考え双子は地獄の剣で既に多くの罪人を虐殺していた。
「ん? 姉様、もしかして、あの空に浮かんでるのって…」
「あれが、天国への階段…」
二人が目を凝らした先にはジャンヌが作り出した天国への階段があった。
そして、階段の先には天国の風景が写りここを通り天国へ行けたのはジル・ド・レだけだった。
天国に行けば無惨に殺された両親がいるはず。
だが、二人は階段から背を向け逃げて行った男達を追いかける。
今の二人にあるのは聖女に対しての狂った妄信だった。
すぐに逃げた男達も始末し、双子は地獄をさまようのであった。




