表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/103

我儘三姉妹 6 迫りくるギロチンの刃

 話は過去に戻り、女義賊のリグは戦争孤児だった。


 長い間続いた暗黒時代が終わり、彼女のような孤児たちは孤児院や教会に拾われて暮らすが決して豊ではなかった。


 服はお古を使いまわし、食事も薄めたスープが何日も続いた。


 しかも子供たちを養うための金や食料は全て国民の税金が使われており、戦後の復興で余裕をなくしていた人々は「ただ飯くらい」「国のお荷物」など陰口を叩く物もいた。


 薄汚れた格好をして汚いと石を投げられてきたリグは「こんな暮らし、抜けてやる」と孤児院を抜け出し犯罪者組織に入った。魔法が使えない子供は捨て石にしか使えるからと危険なことをさせられたが、持前の身体能力や運でこれまで危機を乗り越えてきた。


 いつしか悪徳貴族や権力者らしか奪わない義賊の組織に入り恵まれない子供たちに奪った金品や食料を分け与えるようになった。


 そして、ダージンらに拷問で殺された後。これまで犯してきた罪で地獄に堕ち本来なら終わらない地獄を受けるはずだった。


「いいのかよ、聖女様がこんな贔屓して?」


「私はもう聖女ではありません…それに、私の力が及ばなかったせいで、あなたのような子供たちに罪を犯させてしまった…その償いがしたいのです」


 地獄をさまよっていたリグの前に邪悪な鎧を着こんだジャンヌ。

 

 国王ブオウや貴族。そして大臣のダージンらが孤児たちへの支援を打ち切り、自分たちの私腹を肥やしていたのを止めることができず、リグのような不幸な子供たちを生んでしまった罪悪感でリグに力を分け与えた。


「天国への道は開いています。もし、あなたの復讐を終えて気が済みましたらいつでも天国へ…」


 かつて少女闘技場で全てを奪われ復讐のために地獄へ残った双子に渡したのと同じ地獄の剣をリグに渡した。


「その剣を使えば地獄の力を引き出しあなたの望む地獄を作ることができます」


 ジャンヌが自分の地獄の剣を地面に刺す。すると、地震が起き彼女たちの前にダージンの屋敷が出現した。


「はははっ、こりゃすげぇ…まぁ、天国行きはクソ大臣どもを地獄に落としてから考えるよ。おっと、もうここは地獄だったか」


 リグが軽く笑い、ジャンヌは「ご武運を」と告げその場から消え去った。

 

 ジャンヌから与えられた地獄の剣によりダージンの屋敷を支配したリグ。既に三姉妹には地獄を与え、残るのは馬鹿父親ダージンとその手下達のみ。


 入り口とは反対側の窓を見ると庭があり、その中心にはギロチン台があった。

 そのギロチンはリグの仲間を処刑するのに使われた物だった。


 「よくも、私の仲間を殺しやがったな…クソ大臣」



「くそぉ!! 何がどうなっている!? 私の屋敷だぞぉ!! 誰がこんな罠を!!」


 天井や壁に潰され飛来してきた硬い物にぶつかり死んでいく手下たちを見てダージンが我先に屋敷から逃げようとしたがすでに扉は固く閉ざされていた。

 

「開けろぉ!! 私はダージンだぞぉ!! どこのどいつだぁ!! 私の屋敷をめちゃくちゃにしやがって!! 殺す、ブオウ様に言って殺してやるぅ!! ぐへぇ!?」


 扉を叩いていると置物のツボや絵画がダージンの背中に飛んできた。

 

「ぐぞぉ…な、なにが…ひぃぃ!! 」


 痛みに倒れていると今度は包丁やハサミ。飾りや警備用としておいていた武器類が飛んでくる。


 ダージンは魔法のフライで飛び逃げると、襲ってきた武器が扉に音を立て突き刺さる。


「な、な、なんだぁ、なにが起こっているんだ…?」


「ぐぁぁぁ!! だ、ダージンさまぁ!! た、たすけ…ゆ、ゆかが、俺の足がぁ!!」


 下の方を見ると、床に足がはまって動けない手下達がいた。

  

 手下達は宙に浮いているダージンに向け手を伸ばし助けを求める。

だが、手下達の足元に向け庭にあったはずの巨大なギロチンの刃が向かっていた。


「う、うぁぁぁ!! 」


 手下達は巨大ギロチンに向け魔法で攻撃するが、かつてリグの仲間を斬首したギロチンの刃は動けない手下達の足を刈り取ってしまった。

 膝から下を無くした手下達は足を失った苦痛と悲しみにうめき声をあげ、ダージンに助けを求めた。


「た、たすけ、て…だーじん、さまぁ…ぎぁぁぁ!!」


 大量の血を流して床を這いずる手下達に向かってギロチンの刃が床をえぐりながら進む。まるで海で獲物を見つけたサメのように一人、また一人と斬殺していく。


「あ…あ…あぁぁ…」


 眼下で手下達のバラバラ死体を見てダージンは逃げだした。

 ギロチンの刃が飛んで逃げるダージンに向かって飛ぶ。


「うぁぁぁ!! くるなぁ!! あ、ぁぁ…アン!! デュ!! ドロ!! どこにいるんだぁ!! 助けてくれぇぇぇ!!」


 娘達の名を叫び助けを求めるクズな父親ダージンは屋敷中を飛んで逃げ続けた。


「うぁぁぁ!! くるなぁ、くるなぁぁ!! ファイヤボール!! ファイヤボール!!」


 手下の無惨な死を目の当たりにして宙に浮かびながら襲ってくるギロチンの刃に魔法で攻撃するが迫りくる刃が止まる気配がなかった。

 

「ファイヤボール!! ファイヤボール!!」


 後ろを向きながら迫りくる死神の刃に向け魔法を放つダージン。そこに、頭上から絨毯が落ちてきてダージンを拘束した。


「うぉっぷ!! く、くそぉぉぉ、な、なんだぁ!!」


 動く絨毯に拘束され動けなくなる。追いかけてくるギロチンの刃から逃げるため絨毯に向け魔法を放つ。だが、絨毯に大量にしみ込んでいた油に気づかず、


「ファイヤボール!!」


 絨毯を焼き払うため放ったファイヤボールで絨毯は燃え盛る。


 ボゥゥゥ


「あじぃぃぃぃ!!」


 燃え盛る絨毯の中でダージンはのたうちまわる。

 急いで絨毯の中から逃げようともがき頭だけが出た。

 そこにギロチンの刃が迫りーー


 ザンッ


「うぁぁぁ!! 」


 首から上が床に転がり落ちた。

 体は燃え盛る絨毯の中に残り、感覚まだ残っているのか暴れている。


「体がぁ!! 私の体ががぁ!! ひぃ、いっひひひ!! あ、づぃぃぃ!! だ、だずげでぇ!! アンぅぅ!! ドュゅゅゅ!! ドロぉぉぉぉ!! 」


 娘達の名を叫ぶが彼女たちはそれぞれ自分の部屋で地獄を受けている。

手下達も屋敷の罠で全員死んでおり誰も助ける者はいない。体が焼かれ精神が壊れ初めているダージンに誰かが近づく。


「よぉ、どうだ? 首を切られた気分は?」


「だ、だれだぁ!?」


 ダージンを見下ろしていたのはリグだった。地獄の剣をダージンに向け殺気を向けている。


「だ、だれだぁ、きさまは!? ひぃぃ!! わ、わだじを、だづげろぉぉぉ!! わ、わだしは、ダージンで、ごのぐにぃの…あ、づぃぃ」


 精神が壊れているからか、それとも拷問したリグに向け助けを求める。

 もちろんリグは助ける気などなく、ダージンをどう始末しようか考えていた。


「ブオウざまぁぁぁ!! たすげでぇぇぇ!!! ブオウざまぁぁぁ!! わだじは、こごにいまずぅ!!」


「うるせぇ、このクソ大臣」


「ぐぇ!!」


 国王であるブオウに助けを求め始めてリグはダージンの頭を蹴り飛ばす。

 そして、絨毯の中で燃え盛っているダージンの体に地獄の剣を突き刺す。


「いだぁぁぁあ!! や、やめでぇぇ!! ひぃぃぃ!! わ、わだしのからだ、からだぁぁ!!」


 地獄の剣に刺されたダージンの体は黒い煙を出し消滅した。地獄の闇から作られたこの地獄の剣は、切った物を消滅させる。これでダージンは死んでも肉体は再生されず、永遠に首だけの状態になった


「あ、あぁ…あれ…からだがぁ…私のからだだぁは~~? あっははは!! うごけないぃ!! アン!! デュ!! ドロ~~ どこにいるんだぁ? 父はここだぞぉ!!」


 精神が本格的に壊れ白目をむき口から唾液を垂れ流す。


「あっはは!! ブオウさま~~お金ちょうだぃ!! また奴隷と娘たちへプレゼントするからぁ~~あっはは!! 私はなんて良い父親なんだぁ~~ あっはは!!」


「こいつ…気持ちわりぃ…」


 自分を拷問して殺した相手の醜い姿を見てリグは吐き気すら覚えた。

 仲間たちの仇もうち、あとはダージンを永遠の地獄へ叩き落とすだけだ。


 地獄の剣で地面に穴をあけ、ダージンの頭を穴に蹴落とした。


「…手下どもとそこで永遠に食われてろ」


 リグが取り出したのはダージンの部屋にあった毒蛇の入った瓶だった。

 その瓶をダージンの落ちた穴へ落とした。


「そんでもって、もう二度と出てくんじゃねぇ」


 地獄の剣を床に刺し、ダージンの落ちた穴に向けタンスや重い鎧などが動いて穴をふさいでしまった。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ