我儘三姉妹 3 嫉妬の次女デュ。ドレスや化粧が彼女を破壊する
ジャンヌが現世で処刑された後、平民に重税を課して貴族たちは毎日パーティーを開いていた。本来国の政治や環境を整えるのに使われるはずの税金は豪華な食事や着飾るために消費されていく。
「デュ様、そのお召し物素敵です」
「肌も白くお綺麗です、どこの化粧を使われているのですか?」
他の国との合同パーティーの中。お気に入りのドレスや装飾。商人に無理をさせて手に入れた化粧品を身に着けパーティーの中心に立つ三姉妹の次女デュ。
「どうも、ありがとうございます。」
適当な返事を返すデュ。見た目は淑女だが、心の中は嫉妬深く醜くかった。自分を褒めて言い寄る人間たちは自分の心と名声を高めるための砥石程度しか見ていない。
(ふふふっ、そうよ。私以外に綺麗な人間なんて必要ないわ…だから、あの女どもを消さないと…)
デュの目先には若い令嬢たちがおり、男たちを魅了していた。彼女たちは自堕落なデュとは違い自ら畑の手伝いや子供たちに勉強を教えるなど仕事をして平民からも信頼されていた。
(あの女ども…低い身分のくせに…ぐちゃぐちゃにしてやる…)
自分は大臣の娘であるのに、あの女どもは調子に乗っている。歯ぎしりをしながら怒りと嫉妬に満ちたデュはパーティーから抜け出した。
やがてパーティーが終わり、参加者たちはそれぞれ馬車で帰宅している中。
「きゃぁぁぁ!!」
「ぞ、賊だぁ!! うぁぁぁぁ!!!!」
会場から出た馬車が盗賊に襲撃され次々と人が倒れていく。
「な、なに…ぐぇ、や、やめ、てぇ…」
デュに一方的に目の敵にされた少女が首を絞められ数秒後には冷たくなっていた。他の場所でも目の敵にされた少女とその両親や従事者たちが殺された。そして死体は裸にされ主のいない馬車と共に燃やされてしまった。
令嬢の乗った馬車のみ襲撃されたこの事件はすぐに知れ渡り大規模な捜索が行われたが、犯人の手がかりはつかむことができなかった。
「ふん..私より目立ったことをあの世で後悔なさい…ふん、やっぱり低俗な物しかないわ」
「お。お嬢様…この衣類や宝石はいかがしましょうか…?」
デュの目の前には死体からはぎとられたドレスや装飾の宝石などが無造作に置かれていた。執事は目の前にある品がどこから来ているのか既に知っており、平然と品定めするデュを見て顔が蒼く染まっていた
「そうねぇ…全部安物だからいらないわ。いつもどうりね。チッ」
デュの言葉に執事は弱々しく「かしこまりました」と伝え、強奪した遺品の処分に何度もため息をついた。
殺した少女やその家族の遺品の中からお気に入りがなかったことに舌打ちして、デュはクローゼット部屋にてメイドたちの手でドレスや装飾品を着せてもらい化粧を施される。
「あ~あ、またお父さまに新しいのをお願いしないと…」
クローゼット部屋の隣にある部屋に入った。そこは床から天井まですべて大きな鏡が埋め込まれた鏡部屋だった。
(んっふふ~~あはは!! やっぱり美しいのは私…宝石しか頭にないアンや食べるしか脳がないドロなんて屑よ…)
鏡部屋で回りながら姉妹に悪態をつきデュは「やっぱり私は美しい…」と何度もつぶやく。
気に入らない女性に嫉妬し金や権力で殺害してきた外道女。自身の美貌が一番だと思い込んだ愚か女は姉のアンと同様に地獄と化した館にて閉じ込められてた。
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「ファイヤボール!! ウィンドカッター!! くそぉ!! なんで扉がないのよぉ!!」
扉のない扉鏡部屋にてデュは全裸の状態で鏡に向け魔法を放つが、鏡には傷はなかった
「「ぶざまねぇ、それでもそれでも貴族令嬢なの?」」
「ひぃ!?」
鏡一面に少女たちが映りデュをあざ笑っていた。彼女たちはデュの嫉妬により殺害された被害者の亡者で皆、ドレスを着こみ化粧や装飾をつけ美しかった。
「な、なんなのよあんたたち!! わ、わたしをここから出しなさいよ!!」
「「あらあら、あんなに泣き叫んで…まるで迷子の子供みたい」」
「「見てよあの体、贅沢してたからまるで豚みたいに太ってるわよ」」
「「馬鹿みたいにドレスを着て、高い装飾を買って…税金の無駄使いしかできない馬鹿女わね~」」
鏡の少女たちは裸体のデュを馬鹿にして心を傷つける。みじめになるデュだが本当の地獄はこれからだった。
「あ、あんたたち…そのドレス私によこしなさいよぉ!!」
「「いいわよ、好きなだけ着れば?」」
亡者が返事した次の瞬間、鏡にいた亡者がいなくなった。そして、消えた少女の身につけていたドレスをデュが身に着けていた。
「え? な、なにが…ぐぇぇぇぇ!!」
首に巻いている宝石付きのチョーカーとドレスが締まる。
「なに、ごれ、は、はずれ、ない…」
チョーカーに手をやるが外れない。しかもドレスも体をつぶすように締まって血液の流れが止まり皮膚が青くなる。このドレスを着ていた少女はかつてデュが雇った盗賊に絞殺されていた。
「ひぎぃ、がは…」
酸欠になり泡を吹く中、締まるドレスにより骨が押しつぶされ体を破壊されながら絶命した。
「ひぃ!! な、なんなの…ゆ、ゆめ…?」
すぐに生き返ったデュは別のドレスを着ていた。化粧を厚めにつけ、体中の皮膚が真っ白だった。
「「あれ~~そんなに化粧を塗ったらお体に悪いですよ~~お嬢さま?」」
今度は生前、デュの策謀により化粧に毒を混ぜられ死亡した少女が告げた。
「え? い、いぎぃぃぃぃぃ!! あづぃ、からだが、あづぃ!!」
全身に塗られた毒入り化粧のせいで皮膚が溶けて鏡床の上を転がる。鏡に映る少女らに向け「おねがい、たすけて」と何度も泣き叫ぶが、被害者の悲しみや恨みの記憶から生まれた亡者たちはただ嗤うだけだった。
やがて毒化粧により全身が溶けてまた生き返る。
「いやだぁ、もうやめでぇ!! お金ならあげるかぁ、あがぁぁぁ!! いだぃ!! いだぃ!!」
真っ白なドレスに次々とナイフが刺さり血まみれになる。このドレスを着た少女もデュに雇われた盗賊にナイフで串刺しにされて殺された。
この鏡部屋で行われている地獄はデュの嫉妬により死亡した犠牲者たちが受けた苦痛をデュにそのまま与える。
上下左右すべての鏡には100以上の少女たちの亡者がおり、彼女たちの受けた死の苦痛による地獄が終わっても愚かな次女がこの部屋から出られるかは分からない。
ナイフで全身を刺され今度は巨大な装飾品が耳や瞼につけられ鏡床に這いつくばる。
装飾品が勝手に動きだし、デュは装飾品の後を床に這いつくばりながら後を追う。
「「あっははは!! ほらちゃんとついていかないとお耳とれちゃうわよ」」
「「あ!! 瞼とれちゃった!! 耳もぶちって取れて痛そう~~」」
「「ほらほら、次は鼻にもつけてあげなきゃ。」」
「ため、たすげでぇ…」
デュはその後も被害者たちの苦痛を受け、鏡部屋には嘲りの声と苦痛の悲鳴がいつまでも響くのであった。




