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我儘三姉妹 2 強欲女アン、宝石からの逆襲

「お、お嬢さま!! お願いです、それは母の形見ですので、返してくださぃ!!」


「はぁ? 平民ふぜいが、こんな素敵な宝石は平民にはもったいないわ。ありがたく私の物にしてあげるわ」


 メイドの少女は運悪く母の大事な形見の宝石を磨いていた所をアンに見られてしまった。同僚の執事やメイドたちに取り押さえられて、大事な宝石を奪われた少女はアンを睨んだ。


「あら、なんなのその目は? あんたいらないわ」


「きゃ、や、やめぇ!!」


 アンを睨んだだけで少女はそのまま屋敷を放り出された。命の次に大切な形見と職を失った少女はその後、誰も知る由もなかった。


 自分の部屋に戻ったアンは、宝石箱に先ほど少女から奪った形見の宝石を入れた。

 大きな宝石箱には、高価で綺麗に光る宝石が収まっていた。


 しかし、これらの宝石は職人を過労死させて作らせた物から権力や暗殺者を使い強奪した

宝石がほとんどでアンに目をつけられた者達は不幸になるか、命を落としていた。


「宝石箱がいっぱいになっちゃた…とうさまに宝石箱を買ってもらわないと」


 その後もアンは父親に頼み多くの犠牲を出し欲しい宝石を手に入れた。

 彼女の部屋に宝石と宝石箱が増えるたびに、多くの血と涙が流れた。そして、強欲女によって何もかも失った者達の怒りや憎しみは宝石に宿りアンに復讐を始めた。



 ダージンの所有する屋敷は地獄のどこかにあった。その中にアンの宝石箱だらけの部屋もあるがアンは今、小さくなり巨大な宝石箱の底にいた。


「…きゃぁ!!」


 真っ暗の宝石箱の中で転んでしまい「くそぉ!! 暗くて何も見えないじゃない!!」と悪態をつく。


 アンは自分が小さくなり巨大な宝石箱にいることなど知らなかった。


 突如宝石箱の蓋が開かれ、急な明かりにアンが目を閉じると背後に巨大な宝石が落ちてきた。


 ドスン


「ひぃ!?」


 背後に落ちてきたかつて自分のお気に入りだった宝石を見て腰を抜かした。

 それから、巨大な宝石が箱に入れられどんどんアンを追い詰めていく。


「い、いやぁ!! 助けてぇ!! だ、だれかぁ!! とうさま!! デュ!! ドロ!!」


 父親や妹たちの名を叫ぶ中、どんどん宝石が積まれていきアンはフライの魔法で飛び宝石を避けていく。


(と、とにかく上へ!! そこに逃げられれば…ひぃ!?)


 出口に向けて飛ぶが、その時どこからか声が聞こえてきた。


「かえしてぇ…それは母の形見なの…」


「やめろぉ!! 金目の物ならやるから、子供たちには…ぐぁ…」


「いやだぁ、いやだぁ…こんな石ころくれてやるから、殺さないでぇ…」


 宝石箱にから様々な悲痛な声が響いた。声は巨大宝石から聞こえ、その正体はアンにより強奪され血や涙を流した者達の叫びだった。


「う、うるさい!! なんなのよこの声はぁ!! 耳障りねぇ!! はぁ、はぁ…」


 自分に向けての恨みごとだと気づかず、上空から落ちてくる巨大宝石を回避するのに必死で左右上下に飛び続けた。


「いやだぁ、こ、こんなところで、私は死にたくない…」


 巨大宝石に圧死される恐怖で飛び続けたがエルフほど魔法の力はなくやがて飛ぶことができなくなった。

 出口までまだまだ距離があり、アンはどんどん積まれていく巨大宝石に囲まれていく。


「ひぃ、ひぃ!! 手が滑って、あ、あがれなぃ!!」


 よく磨かれた宝石は手や足をかけるところがなく、上がれず逃げ場がない。

 

 宝石に囲まれ、はるか上に見える出口に向け「助けてぇ、なんでもあげるから!!」とアンは手を伸ばし叫んだ。


 そんな彼女に向け、かつて従者だった少女が母の形見と大事にしていた巨大宝石が降ってきた。


「ぐぇ!!」


 降ってきた巨大宝石につぶされ圧死する。だが、地獄で罪人は何度も蘇るためアンは巨大宝石に押しつぶされたまま生と死をひたすら繰り返した。


「ぐぎやぁぁぁ!! いだぃ、どげでぇぇ、この石どげでぇぇぇ!!」


 宝石と宝石のわずかな隙間から見えた出口が閉ざされいくのを見て「ダメぇ!! 閉じないでぇ、たすげでぇ!!」と泣き叫んだが蓋が閉められ宝石箱の中は再び闇一色になった。


「この強欲女…」


「そんなに、宝石が好きなら」


「宝石と共に朽ちるがよい…」


 宝石箱の中でアンは宝石に押しつぶされながら、これまで傷つけてきた者達の終わることのない恨み言が響く。


(やべでぇ、くらい、いだぃ、こわぃ…誰か、誰か助けでぇ!!)


 アンは心の中で助けの声を上げるが、屋敷の中はすでに地獄の制裁が開始され救済の手は決して来なかった。


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