辺獄に潜む悪意 3 完成に希望を抱く罪人たち
「う、うぁぁぁ!! お、落ちる!!」
「また地震かぁ!! くそぉ!! せっかく壁も安定してきたのにぉ!!」
辺獄にて建設中の城が大きく揺れ、壁や屋根が音を立て崩れていく。
「上から降ってくるぞぉ!! 逃げろぉ!!」
「ぎやぁぁぁ!! 」
城の壁や屋根が落ちその下にいた奴隷達が潰されていく。
「くそぉ!! また壁の修復かよぉ!! これで何度目だぁ!!」
「あぁ、もう…いつになったら完成すんだよぉ…」
亡者達から城が完成すれば自由になれると言い聞かされてきた奴隷達は地震で壊れた城の一部と潰れて死んだ仲間を見て絶望に顔を歪めた。
どれほどの時間が流れたのか、奴隷の数が増えて城の形がまともになり完成近くまで来ていた。だが、完成に近づくほど地震が増えその度に死人や修復や増えて作業が停滞していく。
一歩進めば五歩下がるような現状に奴隷達の不満が高まる中、誰も知らない城の頂にある部屋にて。
「も~なんなのこの城、私が欲しかった城と全然違うじゃない!! 」
ワイングラスや果物を壁に叩きつけ不満のヘル。着ていた聖衣がめくれながらも目に付く物を壁に叩きつける。
八つ当たりされた物は生前ヘルにより教会に集められた少女らだった。
グラスが散りまるで体がバラバラにされたような痛みに。一部潰れた果物は骨や内臓を痛めたような苦痛の叫びを上げていた。
「あっもう!! 奴隷共は役立たないし!! 亡者どもは命令された事しかできないんだからぁ!! これだから、ここは嫌なのよぉ!! クソッ!! クソッ!!」
テーブルとその上にあった果物を蹴り踏みつけた後、椅子を壁に叩きつけた。
それらの物も中身は教会にいた少女であり、部屋の中にさらに少女の叫びが増えた。
「はぁ~~もう、あんた達の声も聞き飽きたわぁ~~」
少女らの声を無視して空に浮かぶ天国の風景を見て「ここも飽きたからいいか」と邪悪な笑みを浮かべ次の瞬間ヘルの姿が部屋から消えた。
△
大地震により壊れた城の壁の修復に奴隷達が動く。
力があるドワーフが大きな材料を運ぶ。魔法に長けたエルフは岩や鉄を切断、水が使えるウンディーネが道具や材料を綺麗に洗い流す。人族は各種族の手伝いに回され一番過酷な目にあっている。
そして、建設の始めはあまり目立たなかったハーピィは現在かなり重宝とされていた。
空を飛べるハーピィは城の上に材料や道具を運ぶ役割があり、他の種族たちから毎日頼られていた。腰には逃亡防止用の縄が付けられているが運搬には支障なかった。
「ふぅ、いいなハーピィってのは…腰の縄切れば空を飛べて逃げれるのになぁ」
「おいおい、こんな地獄みたいなところのどこに逃げ場があんだよ…まぁ、あいつらが働けば俺たちも楽になるし、助かるなぁ…」
人間の奴隷達がハーピィを見て自分達が楽なる、助かると話す。その声はハーピィらも聞こえており、舌打ちをした。
「くそぉ、まともに空を飛べないクズどもがぁ…」
「あの口先だけの役立たずどもがぁ、このままこの岩を落としてやろうか?」
「やめとけ、あの化け物どもが見張ってるぞ」
地上の愚痴を聞きハーピィらも愚痴を告げる。ストレスで地上に物を落としてやろうか話もあったが監視している亡者達に何されるか分からないため我慢するしかなかった。
各種族もそれぞれにお互いの陰口を叩いているが、亡者を恐れて争いまで発展していなかった。全ては城を完成させて自由を得るためと我慢していた。
その後も何度も大地震が起き、城が壊れ誰かが死に修復を幾度も繰り返しついに完成まであと一歩のところまで辿りつく。




