辺獄に潜む悪意 2 城の真の主
「「ひゃはははは!! 新しい奴隷どもだぁ!!」」
「「城はもうすぐ完成だぁ!! さぁ、死ぬまで石を運べぇ!!」」
城の形もほとんど作られ完成直前にどこからまた新しい奴隷達がボロボロの姿で運ばれてきた。
「ぐ、ぐぞぉぉぉ!! この愚か者めぇ!! わしを誰だと思っているぅぅぅ!!」
太った人族の男が亡者に向け魔法を放つが、亡者には傷一つつかず無駄に終わる。
この男はかつて貴族であり、上級貴族に賄賂を贈るため平民から税金を絞り取っていた矮小な男だった。
亡者に反抗したこの男はすぐさま亡者に囲まれなぶり殺されてしまい、二度と人間に戻ることはなかった。この男が次に生き返ったのは奴隷達が食するパンだった
(や、やめろぉぉぉ!! わしをたべるなぁぁぁ!! うぎゃぁぁぁぁ!!)
歯で噛みちぎられ、胃の中で消化される苦痛に泣き叫ぶが次の瞬間にはまたパンに蘇る。亡者に反抗した者や罪の重い者は皆、パンや物になりどんなに泣き叫ぼうがその声は亡者にしか聞こえなかった。
城の建設は重労働であり全員疲労と空腹でひたすらパンや水を大量に口にする。
奴隷達は3食満腹になるまで全員が食べられる食料は一体どこで作られているのか疑問に思い、一部の奴隷らが調べようとした。そして、彼らはパンに変えられてしまった。
(やめてぇ、お願い…ちゃんと働くから、人間にもどしてぇ…)
(あっははは、今度はエルフの姉さんに食べられるんだぁ~~あははは)
パンだけでなく岩を砕くピッケルや衣類、靴に変えられた奴隷達の心は既にボロボロだが、死んでも蘇り働く奴隷達のために食われ、使われ続け精神は壊れていた。
(や、いやぁぁ…たすけて、聖女様…)
城の最上階にて、ワインを片手に地上を見下ろす人影がいた。
ワインに変えられた奴隷少女の叫びに邪悪な笑みを浮かべた、その人物は一気にワインを飲み干した。
「う~ん、かわいい女の子の叫びを聞きながらのワインも最高…おっと」
ワインを純白の衣類にこぼし染みができるが、ヘルは気にせず次のワインに手を伸ばした。もちろん、ワインの瓶も中身も皆奴隷の少女達であった。
ジャンヌを偽りの聖女と軽蔑しヘルを崇めるように教育された少女達は辺獄に落ち、ヘルの加虐心と腹を満たすためにひたすら消費されていた。
テーブルの上にはワインやグラスの他に、高級な皿に盛られた分厚いステーキや果物が置かれ全て教会の少女らが姿を変えた物だった。
少女達はヘルに助けて、人間に戻してと叫び続けた。亡者にしか聞こえないはずの物になった人間の声はヘルには届いていたが、誰一人として人間に戻った者はいない。
(くぅ、この悪魔め…)
「あれ~~聖女に向かって悪魔ですって? 口の悪い子はお仕置きが必要ね~~」
(や、やめぇ、きゃぁぁぁぁ!!!!!)
持っていたグラスから悪態の声が聞こえ、ヘルはグラスを壁に叩きつけた。生前は正義感が強くヘルを慕っていた少女のグラスが粉々になり、体が引き裂かれた痛みに悲鳴が上がった。
(うぎゃぁぁぁぁ!!!!! いだぃ、かだがぁぁぁ!! ごめんなざぃ、だずげでぇ!!)
「大丈夫よ、もう二度と使ってあげないから。そこでず~~~~~と反省してれば? あっははははは!!!!!!」
粉々にされた仲間の悲惨な姿を見てテーブルを含んだ元少女達は何も言わなくなった。
ヘルの機嫌を損ねれば自分達も破壊される恐怖に心が折れ、黙って使われていくしかできなかった。
「ふぁぁぁぁ~~それにしても…この城なんだか気に入らないわねぇ…亡者共もあんまり役に立たないし…もっと奴隷共をコキ使いなさいよ」
新たにワインを飲み、奴隷達が命をすり減らし建てた城に文句をこぼす。
奴隷達に城を完成させれば自由になると言い聞かせ、完成手前まで来ていたが主である彼女は気に入らなかった。
「もう、ここも飽きたわねぇ…あの女に見つかる前にさっさと上に行こうかな」
ヘルは空に写る天国の光景を見て、邪悪な笑みを浮かべていた。
「いいわねぇ、かわいい子もいっぱいいるし。草木も爆破すればすごく燃えるわね。あっははははは!! 」
天国に向け欲望と破壊願望を抱き、邪悪な聖女は高笑いしながら少女達に手を伸ばした。




