少女闘技場 4 姉妹の最悪の再会
「うっひゃぁぁぁぁ!!」
「あっははは、しねぇ、しねぇ!!」
闘技場のフィールドは狂い笑いする少女達の声で支配されていた。一人のエルフが闘いを盛り上げるために作った狂化薬で理性を失った少女達が殺し合う。
「××!! やめてぇ、私よぉ!! きゃぁぁぁ!!」
「あっはは!! 誰だったけぇ!? しらな~い!!」
薬で頭をやられた人間の少女が、共に闘技場に売られた親友の顔を鈍器で潰した。
幼い頃から一緒だった親友の声すら心壊れた者に届かない。薬物にやられた彼女達はひたすら肥大化した闘争本能に支配され目に写る者が敵に見えた。
観客達も様子がおかしい少女達の姿に最初は恐怖していたが、命を削り着ている衣装が破れ傷つく少女らの姿に見とれ恐怖は欲望に変わっていた。
多額の金を賭け、少女が傷つき倒れるごとに一喜一憂する貴族。
衣装がはだけかつて白く綺麗だった体が傷ついて興奮する変態。
フィールドに血を流し倒れて命乞いをする少女が止めを刺され死ぬ瞬間に、快感に顔を赤く染める者。
フィールドと観客席を見下ろせる特等席からヘルは満足げに見下ろしていた。
「中々いいじゃない。観客共も金を落として、小娘どもの無様な声が聞けて…」
「あ、ありがとう、ございます…」
マネは何とかなったと息を漏らす。狂化薬で闘いが激しくなり死亡する少女が増えたのは問題だが、自身の命が守られるなら軽いものだとこの女も外道だった。
「あっ、あの子。リキを殺した…なんだったけ?」
「ネロです。ある名家の者でしたが、あの堕ちた聖女に加担したことで爵位をはく奪された…」
ネロの家はかつてジャンヌと親しくしていた貴族の一つで魔女狩りの際に裁かれてしまった。既に姉妹の両親は処刑されているが、ネロは両親が生きていると信じて闘い続けた。
「実は、あのネロには双子の妹がおりまして。その妹は…」
「へぇ、それは面白そうねぇ…」
マネの話を聞いてヘルが邪悪な笑みを浮かべた。
「あっ、ハーピィが飛ぶ前に死んじゃった。薬で考えることなんてできないはずなのに…上に飛ばれると厄介って感じたのかな? 動物みたいに」
ヘルの見下ろす先には、薬を投与されていないハーピィの少女が狂戦士たちに恐怖して
上に飛ぶ前に翼をもがれ、体を八つ裂きにされて殺された。
薬を投与していない少女達が一方的に殺される中、ネロは向かってくる狂戦士少女に苦戦していた。
「きゃっははは!! しねぇ、しねぇぇぇ!!」
「くぅ!?」
細剣で腕や足を切り刺しても、薬のせいで痛みも感じなくなった少女らに追い詰められていた。気絶させようと強めに打つがそれでも立ち上がり、ネロは仕方なく急所を狙い支配者たちの見世物道具と化した彼女達を殺していく。
(いやぁ、もういやぁぁぁ…)
感情を押し殺し観客達に悲しい顔を見せないように必死に耐えるネロ。全てはどこかにいるアルに合うためとヒビの入った細剣を握りしめて戦う。
「リキをやったあの子しぶといなぁ…まぁ、負けてもはした金しか損しかしねぇけど」
「ネロちゃ~ん!! こっちむいて~~」
傭兵のリキを殺したことで嫌でもネロは観客達に注目されていた。見世物にされ着たくもない動きにくい黒ドレスをまとう彼女の顔は羞恥と屈辱に目の端に涙がたまっていた。
ネロへの応援やひやかしの声は、ネロが次々と狂化少女達を殺すごとに増えていく。
やがて、フィールド上にネロだけが残り試合が終わる。
「はぁ、はぁ…」
向かってくる少女達を殺し心も体も限界だった。返り血で顔や手が汚れ、今すぐにでも洗い流したかったが、フィールドの入り口が開き新たに少女達が入ってきた。
「なっ!?」
何も聞かされていないネロは連戦を強いられた。
ネロが殺したリキは本人がもっと闘いたいからと、自ら連戦を申し出たのだが人間の少女であるネロにはそこまで戦う体力などない。
観客達はネロに負ける方に既にかけ、早くネロの傷つき倒れる姿を見たがっていた。
(こいつら…っ!? え…?)
入場してくる少女達の中に白いドレスに自分と同じ顔の少女を見つけた。
「アル…アルッ!!」
試合開始の合図と共に、ネロはアルの元へ駆け寄る。再会するまで多くの少女を傷つけ殺してきた苦しみにひたすら耐え、やっと再会できた喜びに満ちたネロ。
「あっははは、えぃ!!」
だが、アルの表情には生気がなく何のためらいもなく傍にいたエルフ少女の背後から細剣を刺し殺害した。




