少女闘技場 3 血に染まる姉 狂う妹
「ぎゃぁぁぁ!! 腕がぁ、私の腕がぁ!!」
黒いドレスを着たネロに両腕を切られたドワーフ少女の叫びが響いた。
ハンマーを持った両腕は音を立て地面に転がった、
「て、てめぇ…がぁ…」
ネロの細剣がリキの喉を貫き、闘技場で暴れていたリキは絶命した。
「ひ、っひぃ…」
「うぉぉぉぉ!! やりやがった!! あのガキっ!! リキをやりやがった!!」
リキが殺されたことで、フィールドの少女達は恐怖するが観客達はリキが殺された状況に叫んだ。
勝率の高いドワーフが先に倒され、フィールドに残されたのはエルフと人間種の少女のみ。
ネロはひらひらのドレスを着ているのにフィールドの中を駆ける。エルフからの魔法を躱し細剣の柄や拳でみぞおちや首筋を打ち気絶させた。
試合はすぐに終わり、フィールドに立っているのはネロのみ。観客達はリキを殺した称賛や掛け金をダメにさせられた怒りの声を上げるが、ネロはひたすら無表情のままフィールドの扉が開かれ出て行った
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「はぁ、はぁ…」
闘技の少女ら一人一人が入れられている小さな独房の中、ネロは一人息を荒げ震えていた。桶に入った水で手を必死こすりリキの返り血を落とすが手の皮膚はボロボロになっていた。
「アル…アル…おねいちゃん、頑張るから…無事でいて…」
言われのない罪で家族をバラバラにされ妹とこの地獄へ連れてこられてからネロは剣の腕を磨き続けた。これまで剣など持ったこともなかったのだが、幸いにも身体能力や剣の才能が開花した。
殺人はしたくないが、リキのような危険な者は殺さなければ自分とネロの身が危ない。
ネロは今もこの闘技場のどこかにいるアルの身を案じているが、未だにフィールドで再開した事はなかった。
△
「まずい、まずい…あの薬を早く使ってお見せしないと…」
ヘルの付き人で闘技場の支配人マネが汗をかきながら廊下を歩いていた。
昔ヘルに拾われたマネは誰よりもヘルの恐ろしさを知っていた。
つまらないヘマをした同期の手駒が十字架に繋がれ目の前で焼かれた。燃え盛る中ひたすら助けを求める同僚の声と肉が焼ける臭いのトラウマはマネの中で深く根付いていた。
もし、ヘルに退屈な思いをさせれば次の瞬間には自分も地獄の苦痛が待ち受けている。
なんとしてでも闘技を盛り上げなければならない。
大きな扉を開け何床ものベッドが置かれた部屋に入ると、そこは地獄絵図だった。
「ぐぎぃぃ!! ごろじでぇぇぇ!! 」
「ぐぇぇぇ!! いっひっ、ひぃはははぃぃぃ!!」
ベッドに拘束された少女達の苦痛と死の叫びが広がり、ひたすら紫色の不気味な薬品を投薬されていた。
狂化薬。ヘルが麻薬ポーションを製作していたキーリスに依頼して作らせた薬品で、肉体と闘争本能を強化する代わりに精神を壊してしまう。
薬により筋肉が発達して強化に成功した少女もいるが全員白目を向いて正気を失っている。中には薬の刺激に耐えきれず神経が壊れ絶命する少女もいた。
「おぃ!! 薬使って生き残ったやつはいるかぁ!!」
「ま、マネ様…それが、あらゆる種族の者で試しているのですが、まだ20人程度しか成功例がなく…」
「いっそうのこと、薄めて投与してはいかがでしょうか? 時間をかけて肉体になじませれば…」
部下たちの報告を受けマネは切れた。懐に手を入れ短銃で弱気な発言をした部下の一人を撃ち殺してしまった。
「はぁ? 薄めて? 時間をかけて? 何言っての? 私に殺されるか、それともこんな使い捨てのガキどもみたいにみじめに死ぬ? 」
服の下に隠してあるベルトから別の短銃を取り出し部下たちを脅す。
とにかく薬の成功体を出しヘルの満足する闘いを見せなければ自分の命がない。
「こうなったら傷物の小娘でも良いから投与しなさい、何が何でも成功体を多く作るのよ…」
マネの狂気に満ちた顔に誰も逆らうことができず、次々と少女達が運ばれる。
闘いで傷を負った少女達が運ばれると悪魔の薬を打たれた。
神経をまるでナイフで刺されたように激痛が起き、脳内から滝のように流れた脳内麻薬のせいで内臓がボロボロになり、心臓が爆発的に加速して全身が燃えるような苦痛に襲われた先には狂戦士か死の二択しかない。
人間、エルフだけでなくドワーフやウンディーネ。さらにはハーピィなどあらゆる年若い少女達が犠牲になり、その中にアルの姿があった。
「い、いや…やめて、たすけて、ネロ姉様…」
ベッドに厳重に拘束され周りの絶声に既に涙を流す。何度も、何度も姉の名を叫ぶが紫の不気味な薬がアルの体内に入り、次の瞬間
「いぎぃぃぃぃ!! ぎやぁぁぁぁ!!!!! いだぃ、あづぃ!! うぎぁぁぁぁぁ!!!!!」
獣のような叫びを上げベッドを軋ませながら暴れた。体内の激痛と熱に汗が吹き出し、白目になり口から泡を噴き出す。
(ぐるじぃ、いやだぁ、ごろじぇぇぇ!!)
激痛で心が壊れていき凶悪な薬を投与されたアル。しばらくすると正気を失ったぐちゃぐちゃな表情で「うへへ、あっははは」と気持ち悪い笑みを浮かべていた。




