地獄の様子 3 改造されるジンバイとマザー
「ぐぇ、えぐぅ…」
おもちゃ箱の隅で一人の男がボロボロに倒れていた。ジャンヌ孤児院の長であったジンバイであり、かくれんぼで仲間を裏切り自分だけ助かろうとしてその報いで何度もなぶり殺された。
今は天井にあるランプのガラスに映る天国の光景を見て大人達は「連れて行って」「ここから出して」とジンバイは無視されていた。
(ぐぞぉ…なんでぇ、おれだぇ、こんなめにぇ、許せなねぇ…こいつらぁ…)
ジンバイはこれまで甘い汁を啜ってきた職員たちをにらんだ。
箱の隅にはもう一人、ジンバイの相棒でマザーと呼ばれた女性もいたがこっちは既に精神が崩壊して蹴っても殴っても反応がない。
(ぜったい、おれがあそこにいく…こいつらも、貴族のやつらよりもはやく…俺がぁ…)
魔法が使えないコンプレックスが再びよみがえり恨みを募らせていると、亡者の子供達がおもちゃ箱を覗き込んだ。
「ひ、ひぃぃぃ!!」
「や、やめえぇ!!」
「あ、遊ぶならジンバイと遊んでてくれぇ」
子供達に向かって情けなく泣き叫び命乞いを始める大人たち。
「「いんちょうせんせいにおくりものがあるのぉ!!」」
「「あと、うごかないマザーもきてぇ」」
倒れていたジンバイとマザーをつかみ子供達がおもちゃ箱から離れる。
前にかくれんぼで抜け道を使い施設の外に逃げた際には二度とおもちゃ箱から出さないと言っていたはずなのに、ジンバイの体中から恐怖で汗が噴き出ていた。
(やめろぉ、泥なら食べるから…バラバラにしないでぇくれ…)
人形遊びでバラバラにされ殺された者を思い出しジンバイが必死の祈りをする。
子供らは生前、マザーが言う事を聞かない子供をお仕置きするために作った拷問部屋にたどりつく。
拷問部屋には既に、孤児院の近くを通ってしまったエルフやドワーフ。ウンディーネとハーピィなど人族以外の者の死体が転がっていた。
今も生きて拘束されている者がいるが、巨大なナイフやのこぎりで体をバラバラにされ、絶命の声にジンバイが震えた。
(な、なんだ…ひぃ!?)
巨大テーブルの上に無造作に置かれた各種族の体のパーツを見てジンバイは気絶した。
「「あっ!! きぜつ、しちゃった!!」」
「「でもいいかぁ、このままかいぞうしよう!! 」」
「「せんせい、まほうつかえるようになって、きっとビックリするよぉ!!」」
精神は崩壊して動かないマザーと気絶したジンバイにナイフや針、糸が向けられた。
ナイフで肉や骨を切り、針と糸でドワーフの腕やエルフの顔など縫い付けられ異形の存在が造られていく。
一方でおもちゃ箱に残った大人達は未だに天国へ行きたい、連れて行ってと手を伸ばし続けた。
「あぁ、かわいい女の子がいっぱい…くそぉ、胸触りてぇ!!」
「女よりも、私はかわいい男の子よ…あぁ、私もあっちに行きたい…」
生前、子供達に虐待や性のはけ口にしていた職員たちは未だに反省してなかった。
亡者の子供達に苦しまれ絶望していたが、天国の風景を見て自身の欲がよみがえり汚い笑みを浮かべていた。
天国に行けたらと、口々に己の欲を思い浮かべるがその欲は永久にかなう事はない。
「「は~い、おまたせ!!」」
「「せんせいとマザーできたよぉ!!」」
突如、子供達の声が聞こえおもちゃ箱に大きな何かが落ちてきた。
子供達が入れたのは丸く大きな肉塊だった。
肉塊にはいろんな種族の手足や羽、尾や顔がついて醜悪だった。
一番上には二つの首がついており、ジンバイとマザーのだった。
「きゃ、きゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」
子供達から棒おばちゃんと呼ばれていた老女が叫び、他の職員たちも悲鳴を上げた。
「「は、ははは…まほう、おれ、まほうがつか、える…はははっ!!」」
「「ひっひひ!! いだぃのは、いだぃのはいだぁ!!」」
焦点の合わない目に、口から涎をたらした二つの首から不気味な声が出た。
肉の塊につけられた手を伸ばし、火の玉から風の刃など魔法を繰り出し、職員の何人かが死亡した。
「や、やめろぉ!! うぁぁぁ!!」
「い、院長こっちにこないでぇ、いやぁぁぁ!!」
改造により正気を失ったジンバイは念願の魔法が使えた喜びだけが残り、ひたすらおもちゃ箱の中で魔法を連発した。
「「すご~い、みんなころしちゃった」」
「「せんせい、すごくよろこんでる!!」」
「「そうだ、みんなでたたかわせよう!!」」
子供達は奴隷商人と職員たちを使い自分達の作品(肉塊)と戦わせようと提案し、砂場の決闘所におもちゃ箱がひっくり返された。
「な、なんだこの化け物っ!?」
「く。くるなぁぁぁ!!!!!」
先に天国行きをかけた殺し合いをしていた奴隷商たちも双頭の化け物に声を上げるが、すぐに魔法の的となる。
「「ひっひぃひひひぃ!! しねぇ!! しねぇ!! 俺を見下していた全員、しねぇぇぇ!!」」
「「あっはははは!!」」
魔法の血がない孤児院の職員と奴隷商の男達は逃げ場のない砂場で、火の手が上がり黒焦げの死体ができた。
「ひぃぃぃ!! ひがぁ!! いやだぁ、あつぃ、あついのやだぁぁぁ!!」
ロケット花火に括りつけられ爆殺された頭が火にトラウマになり、パニックで叫んだ。
すると、ジンバイにつけられたドワーフ達の腕が頭をつかむ。
「や、やぁぁぁ!! ジンバイ、たすけ。なんもするから、たすけでぇ!!」
「「なんでも? なんでもするんだなぁ?」」
ジンバイの声に必死にうなずく頭。
「「じゃぁ、その体でどこまで、引きちぎれるか、試させろ…」」
「へ? ひぎゃぁぁぁ!! い、いでぇぇぇl!!」
肉塊に付けられたドワーフの腕が彼の手足や胴体をつかみ八つ裂きにし始めた。
「やめろぉ!! やめてぐだざぃぃ!! いだぃ、いだぃよぉ!!」
「「なんでもするって言ったよなぁ? この腕でどこまで引きちぎれるか、ためさせろぉ!! 」」
化け物の虐殺を見て、子供達は喜んでいた。
「「いいんちょうせんせいすごぃ!!」」
「「せんせいとマザーがオニで、かくれんぼ!!」」
「「つかまったら、ひきさかれちゃう、ドキドキのかくれんぼ!!」」
子供達は双頭の化け物を使ったかくれんぼを提案し、大人達が生き返った後に八つ裂きの鬼ごっこが開始された。
「「ぎゃっははは!! どこだぁ!! 俺の魔法の的になりやがれぇぇ。」」
「「どこだぁ、どこだぁ!!」」
肉の塊からハーピィの羽を生やし、逃げる者を飛んで追いかける。
捕まれば八つ裂きに、逃げていても魔法の餌食になる地獄のかくれんぼ。
例えかくれんぼが終わっても、まだ次の遊びがあり。子供達の残虐な遊びには終わりがなかった。




