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地獄の様子 2 玩具の奴隷商たち

ジャンヌの名前を冠した「ジャンヌ孤児院」では奴隷商の男達が残酷な玩具と化していた。

 壁に固定された男達に向け、巨大な子供達の亡者がナイフを使った的当てで遊んでいた。


「「いっくよぉぉ!!」」


 巨人サイズのナイフがクルクルと回転しながら「やめろぉ」「助けてくれ」と叫ぶ男達の体に突き刺さる。子供達の投げたナイフは外すことはなく、一人、また一人と絶命するがすぐに生き返り、またナイフが刺さり死亡を繰り返す。


「く、くそぉ!! このぉ!!」


 男の一人が隠し持っていたナイフで固定していた紐を切り逃げ出した。

 子供達は「あ~逃げた」「捕まえろぉ」と言い男を追いかける。


「くそぉ!! くそぉ!! こんなところにいてたまるか!! 俺は絶対、あっちに行くんだ!!」


 男の言うあっちとは天国のことで、孤児院の中にあるガラスやコップなどに天国の光景が写っていた。


「はぁ、はぁ…ぎやぁぁぁ!!」


 男の背後からナイフが飛んできて、両足を切断してしまった。


「ぐぇ、あ、足…俺の足がぁ…ぐぇ!!」


 足を失った男を亡者の子供がつかみ連れていく。


「やめろぉ、俺はあっちに行くんだぁ。そっちになんて行きたねぇぇ!! やめろぉ!!」


施設中に映る天国に向け手を伸ばすが男の希望はかなわず、男はまた壁に固定されナイフの的になった。

 

 壁に固定された男達の他に、外の砂場で戦う男達がいた。


 この砂場は奴隷商の男達と蟻やカマキリなど昆虫と戦わせる「たたかいごっこ」が行われていたが、今は盗賊のかしらと手下の男が戦っていた。


「くそぉ!! さっさとしねぇ!! 俺があそこにいくんだぁ!!」


「このぉぉぉ!! 俺があそこへ行くんだぁ!!」


 棍棒や刃物を手に同僚同士が闘い、彼らが言うあそことはもちろん天国だった。

 亡者の子供達から闘いで最後に残った者にあそこへ行けると、空に映る天国の風景を指差され殺し合いが開始された。


 奴隷商のかしらは何度も爆殺され、火薬へのトラウマがあったが天国へ行ける希望にすがる事で何とか戦うことができた。


 逃げ場のない砂場の闘技場には既に何人もの死体が転がり、今戦っている二人しか残っていなかった。上には子供達が大人達の醜い殺し合いを愉しみ時折笑い声が聞こえた。


「おらぁ!!」


「げぇ!? か、…しら…あんた…」


 かしらが砂を投げ、男の目を潰して腹に刃を刺して殺した。

 

「「あ~おわった!! すなでめをつぶすなんて、ひきょうだったけど」」


 子供達は口々にかしらの卑劣さをなじりながら嗤い、何かを準備し始めた。


「お、おい!! 俺が勝ったぞ!! 俺をさっさとおここからだせぇ!!」


 同僚を殺した罪悪感よりも地獄から解放される喜びでいっぱいで叫んだ。

 だが、子供達の手にある物を見て顔が絶望に歪んだ。


「な、なんだよ、それ…? お、おい、俺をあそこにつれて…ぐぇ!!」


 亡者に捕まれ大きな筒に拘束された。筒は折り紙が張られ見た目はカラフルであるが、筒から臭う火薬と既に火の付いた導火線を見て男は失禁して泣き叫んだ。


「お、おい!! 話が違うぞぉ!! 俺は、あそこに行けるからって、だから仲間を殺したんだぞぉ!! は、離せぇ!! 爆発はやだぁ、やめてぇぇぇ!! 」


 ロケット花火に繋がれたかしらは泣きじゃくり亡者に抗議した。

 すると、亡者の一人が空に映る天国の風景を指差して。


「「うん。だから、あそこにいけるよっていったよ」」


「「だって、てんごくにいけるなんて」」


「「いってないもん、ね~~」」


 亡者の子供達が意地悪な笑みを浮かべた次の瞬間。ロケット花火が音を立てて天高く飛んだ。もちろん、こんな方法では天国へ行けるわけもなく上空で爆発して頭は死んだ。


「「ようぃし、つぎのたたかいだぁ」」


「「つぎはだれがかつかなぁ?」」


 ロケット花火に爆殺された彼は孤児院で蘇るが、次の闘いでは生き返った部下たちから恨みですぐに虐殺された。

 

 例え子供達が的当てや闘いごっこに飽きても次の遊びが始まり、男達が孤児院から出る方法はなかった。


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