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針山地獄 2 亡者の狩り

 生前、罪を犯した者を串刺しにする針山地獄。鎧を貫く刃が地面を覆い、空を飛ばぬ者は串刺しになり悲鳴を上げる。


 空を飛ぶ者でも無限に飛べる訳ではなく、魔法の力や体力が限界に来てやがて針山の上に落ちる。


 唯一助かる方法は、あまりにも残酷だった。


「ひぃ!! こ、この重いのを下ろしてぇ!! ぐぁ!!」


「こ、このぉ!! ハーピィがぁ!! がぁぁぁぁ!!」


 罪人の体を重ねてあぐらをかく一体のハーピィ。刃を罪人の体でクッションにして休憩しているのは、父親に鉄球を投げ復讐を終えたビィーだった。

 

 中には、これまで的当てゲームで使い父親の殺害に使った鉄球置きに使われ串刺しになっている人族もいた。


「何もできねぇ人どもが、こうやって俺の役にたてるだけありがたく思えよ。ふぁ~」


 ビィーが吐き捨てるように言い、あくびをかいた。


 あたりでは針で足を貫かれ血だらけの罪人がビィーに向け「助けて」「なんでもする」と手を向けるが、ビィーは彼らを嗤い


「おらぁ、だったら、ここまで来てみろよ。ほれ、ほれ」


 その言葉を聞いて罪人たちが傷つき血を流しながらもビィーの元に近づく。


「そうそう、もう少し、もう少し…そらぁよ!!」


 必死になって近づいてきた罪人たちに向け翼を動かし、かまいたちで首を切り落とした。


「ぐっはははは!! 馬鹿じゃねぇの!! 誰が助けてやるかよ!! てめぇら、人ごとぎがぁ!! あっはははは!!」


 高笑いするビィー。人族を襲撃し里から追放された恨みから、人族は的当てゲームの的でしかない。


「ビィー、ビィーさん…」


「お、お願いします…お、俺たちも休ませてくださぃ…」


 ビィーの手下だったハーピィらが疲れた様子で食料探しから戻ってきた。

 この針山地獄で食料が手に入るはずもなく、ビィーは役立たずと翼を動かしかまいたちでこれまで自分を慕ってきた手下のハーピィらの首を跳ねて殺した。


「ひぃ、ひぃ!!」


「あぁ? なんだぁ、お前らもこうなりたいのか?」


 殺された手下の死体の上に足を置くビィーを見て、手下たちは逃げ去った。

 既に、同族にも手をかけてしまったビィーは外道に堕ちていた。


 今では針山で苦しむ罪人をいたぶる遊びを楽しみ、どれだけ首を落としたか数を数えて過ごす。だが、そんな彼にも罰が下る時が来た。


「よくも、私のとうさまとかあさまを…」


「10、じゅうい…あぁ、何だてめぇら?」


 亡者達がビィーを囲い、その中にビィーが惨殺した貴族の家族もいた。


「知るかよ、てめぇらの首を落として新記録だぁ!!」


 再び翼を動かし、かまいたちを起こす。見えない刃が亡者達を襲うが無駄に終わる。


「…はぁ? なんで、首が落ちねぇんだよ…?」


 ビィーが不思議そうに何度も、何度首を跳ねるが、亡者達はビィーに向け恨みを吐き続けた。


「私の妻と娘を殺したなぁ…」


「私はどうなってもいいのに、なんで娘を殺したのよ…」


 亡者達は一斉にビィーに襲いかかり、死体の上にかけていた鉄球を持ちビィーは上空へ逃げた。


「くそぉ!! なんなんだよてめぇら!! なんで、お前らだけ歩けるんだよぉ!!」


 針山を平気で歩く亡者にビィーは恐怖で叫び、鉄球を投げつけた。

 激しい音をたて、的当てゲームで殺された貴族の娘にぶつかるが傷一つなく、上空にいるビィーをにらんだ。


「とうさまと、かあさまを殺した、殺した…」


「はぁ、それがどうしたぁ!! 飛べねぇおまえらゴミが悪いんだろうが!! 一生そこで這いつくばって…ろ…?」


 ビィーの目の前で亡者達が集まり始めた。ビィーが先ほど殺した罪人の人族やハーピィらを取り込み、貴族の娘を中心にビィーの被害者らが融合し巨大な翼を持つ白いハーピィへと姿を変えた。


「「よくも、よくも家族を殺したな…許さない、許さない…」」

 

 何重もの合わさった声で、ビィーが投げた鉄球を握り潰して粉々にしてしまった。

 愛用の武器を破壊されたビィーは恐怖ですぐに逃げてさった。


「く、くそぉ!! くそぉ!! なんなんだよぉ、あの化け物はぁ!?」


 空から一方的になぶり狩を愉しんでいたビィーが今度は狩られる立場になりさらに上に飛ぶ。

 だが、次の瞬間。目の前に白い化け物ハーピィが立ちふさがった。


「ひぃ!? な、な、んで…うぁぁぁぁ!!」


 化け物ハーピィはその後もビィーが見えないほど高速で動き、気づいたら目の前に回られていた。振り切ろうと何度も全速で飛ぶが、まるでいつでも殺せると言わんばかりに先回りされた。


 亡者ハーピィはこれまでなぶり殺された恨みを晴らすべく、ビィーに恐怖を与えるのが目的だった。

 

 「「ビィーさん、なんで、俺たちを殺したの?」」


 「「俺たち、あんなに尽くしたのに…」」


 「「このハーピィの裏切りもの…」」


 亡者に取り込まれた手下ハーピィらがひたすら「裏切り者」「殺してやる」と繰り返し、ビィーの精神は疲弊していた。いつもでも殺される恐怖の中、聞かされる恨みの言葉を吐き続け殺せる空の鬼ごっこはビィーの息が切れるまで続いた。


「はぁ、はぁ…」


「「どうしたの? 逃げないの? 仲間がいないと威張れない弱虫ハーピィ」」


「「よわむし、よわむし~~」」


 亡者と取り込まれた手下たちの嘲る声が響き、心も体も疲弊し徐庶に落ちていくビィーは顔を赤くして叫んだ。


「く、くそぉ!! わらうなぁ!! お前ら人どもは飛べねぇのが悪いんだろうが!! 使えねぇ手下どもも弱いから、俺が使ってやってんだぁ!! ありがたくおもえよぉ!!」


 馬鹿にされた怒りで人族は飛べないから。手下ハーピィらは弱いから悪いと騒ぎ立てたビィー。

 

 そして、化け物ハーピィは。


「「それじゃ、あなたも同じ目に合わせてあげる」」


 と告げ。次の瞬間、ビィーの体はバラバラになり落下した。


「はぁ? へぇ…あ、あぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 手足や翼をバラバラにされて痛みと絶望にビィーは針山へ落ちていく。

 助けて と声をあげる前にビィー全身は針に串刺しにされてしまった。



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