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針山地獄 1 ハーピィの家族


広大な大地が針の山で埋め尽くされた針山地獄。

 

足を貫かれた罪人を踏み場にして逃げるドワーフや人族がいるが、針山を平気で歩く亡者達にすぐに追いつかれ手にある、巨大な一本針で貫いた。


「や、やめろぉ!! 俺が悪かった!! 金は返すから、や、やぁぁぁぁぁ!!!!!」


死体の上を歩いていた男に女の亡者が襲いかかる。


生前、金を騙し盗られた人族の女性の亡者が結婚詐欺師の男に一本針を腹から刺し足元にある針山へ突き落とした。


「いだぁぁ!! だ、だづげ、だずげでぇ…」


「私の体返して、金も時間も返して…」


 男に人生を踏みねじられた男は、針山で苦しむ男を踏みつけ大量の血が流れる。


 その他にも生前の憎しみや恨みから生まれた亡者は、永遠の復讐に走りこの地獄では苦痛の叫びが収まることはなかった。


 針山の上空では、魔法や翼で空を飛び針山から逃れているエルフやハーピィがいた。

 

「だ、だめ…もう、限界、お願い、たす、けて」


「きゃ!! この、放せよこのエルフ!!」


 無限に浮かんでられるわけでなく、魔法の力が限界にきたエルフやウンディーネらが徐々に落ちて他の者にしがみついた。このままでは道連れになると、エルフらを必死に離そうとするが、共倒れになり針の餌食となる。


さらに、一部に老害ハーピィが若いハーピィに群がりしがみついている所もいた。

ビィーが人間の貴族を襲撃し里の保護と支援を打ち切られた、ビィーの里のハーピィだった。


「ほれっ!! 息子よ落ちているぞ!! 早く上にあがれぇ」


「ほれ、私をしっかり持ちなさい!! 揺れるでしょうが!!」


 老害ハーピィ達は口々に言いたい放題で、つかまれている若いハーピィの表情は鬼そのものだった。


「くそぉ!! いい加減にしろぉ!! こんな訳の分からないところまで世話できるかぁ!! 俺は、妻と子供を探さないといけねんだよぉ!!」


 地獄でもおんぶと抱っこに切れた、ビィーに追放を言い渡した大人ハーピィは体にしがみつく老害ハーピィを振りほどいた。


「くぁ!! こ、このぉ!! お前たち大人を守り誰が育てたと思っているんだ!!」


「そうよぉ!! 私達が命をかけて里を守ったから、あなた達はそうやって…」


「うるせぇ!! あんたらも自分の翼で飛べよぉ!! 俺は俺の家族を探しにいく!! あんたたちも大人なんだから、自分のことは自分でしろぉ!!」


堪忍袋の緒が切れた大人ハーピィは、翼の衰えた老害ハーピィ達を見捨て飛び去った。


「ひぃ、ひぃ!! ま、まて…あ、あぁぁぁぁ」


これまで若いハーピィ達をコキ使い楽にしてきたツケで、翼を広げても針の山に落ちてしまった。針山に堕ちた老害に向け亡者達が群がり、次の瞬間には針だらけの死体ができていた。


 老害ハーピィを振りほどいた大人ハーピィは自分の家族を探しに飛び回る。


 愛おしい妻と可愛らしい娘。罪を犯した息子の存在を忘れて大切にしてきた二人を悲鳴と苦痛の針山に目を向け探す。


「くそぉ、くそぉ!! どこだ…ぐぁ!!」


 下を向き飛んでいたせいで、上から落ちてきた鉄球に気づかなかった。

 頭から血を流し落ちていくハーピィが薄れていく意識の中、上を見ると一体のハーピィがいた。


「お、おまえは..ビィー…」


「はっ!! ざまぁねぇな!! 親父!!」


地獄に堕ちたビィーが父親に向け鉄球を投げ、そのまま父親は針山の餌食になった。


「ぐぁぁぁ!! び、ビィー!! 助けてくれ、は、はりが…」


「知るかよ、そこでくたばってろ…よぉ!!」


「ぐぇ!! や、やめ...」


 追放された時助けてなかった父親に向け鉄球で殴り、動かなくなった哀れな父親の姿を見てビィーは血だらけの鉄球を持ち飛び去った。



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