ハーピィの悪い遊び 2 犠牲となる貴族家族
「や、やめてぐてぇぇ!!」
「な、なんで、こんなところにハーピィが? きゃぁ!!」
馬が逃げ出した馬車に向け上空に舞うハーピィ達が石や岩を次々と落とし従者たちが死んだ。
ガラスが割れ、車輪も変形したボロボロの馬車の中には人間貴族の家族一家が落下してくる石や岩におびえていた。
「おらおらぁ!! 最初に馬車から人間どもを出した奴には、ご褒美だぁ!! しつかり落とせよぉ!!」
里から追放され荒れたビィーが手下のハーピィに向け金品を見せつけた。
一人里から出たビィーが的当て遊びを他のハーピィらに教えてしまい、暇潰しと人間やエルフへの復讐で死者を増やしていた。
「ぐ、や、やめてくれえぇ!! か、金目の物は全て渡す!! だから、妻と娘にだけは…ぐぁ!!」
「と、とうさま!!」
「あなたぁ!!」
貴族の男性が外に出て交渉しするが、頭に石をぶつけられ息絶えてしまった。
「よっしやぁぁぁぁ!! 金は俺の物だぁ!!」
「くそぉ!! おい、残りの人間で遊ぶぞぉ!!」
馬車に残った妻と娘が捕まり、二人とも空高くあげられてしまう。
「いやぁぁぁぁ!! やめてぇぇぇぇ!! 娘だけは、お願い!! なんでもしますから、娘だけはぁぁぁ!!」
下にある夫の死体と泣いている娘を前に、貴族夫人である彼女は自身よりも子供の身を案じた。
この貴族一家は心優しく、地元に人々から信頼されていたのだが人間憎し若いハーピィらには関係のない事だった。
「はぁ? 今、なんでもするって言ったよな? そんじゃ、好きにさせてもらおうかぁ」
「ひぃ!? きゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ビィーが親指を下に向け、手下が手を離し母は魔法を使う暇もなくそのまま地面に激突して動かなくなる。
「あ、あ…か、かあ、さま…」
両親が目の前でハーピィらに殺され少女は心が壊れた、目が虚ろでひたすら「とうさま、かあさま」と繰り返す。
「ほぉ? ずいぶんと汚しがいのあるドレスだなぁ? なんだぁ、今日はパーティか?」
「だったら俺たちで祝ってやるよぉ、盛大になぁ!!」
今日は純白のドレスを着た少女の誕生日だった。これから、親戚や友人が集まる会場で楽しいひと時を送るはずが、荒れたハーピィらに全てを奪われ少女の命も弄ばれることになる。
「いだぃ、いだぃ!! やめでぇ、腕が、足がぁ…」
腕と足を鋭い爪で切り裂かれ身動きできないようにして、少女は地面に書かれた的の中心に置かれた。
生きている者を的にした的当て遊びが開始され、馬車にあった戦利品をかけて石や馬車の部品などを上空から叩きつけ、少女のドレスは血とゴミで穢れていく。
「あぁ、くそぉ!! なんで当たんてねんだよぉ!!」
「ばーか、力が足んねぇからズレるんだよ…見てろよ」
手下たちが少女に命中できずいら立つ中、ビィーが愛用の鉄球を持ち上空へ飛ぶ
「いやぁ…とうさま、かあさま…」
動かなくなった手足から大量の血を流し動けない少女。
上空から「潰れやがれぇ」と声がした次の瞬間「べちゃ」と何かが潰れる音と共に、少女の意識が途絶えた。
「すげぇ!! あんな重いもん持って、一発で当てたぁ!!」
「やっぱりこの遊びでビィーさんに勝てる奴なんていねぇよ!!」
人間達の死体の前で騒ぐハーピィ達。だが、この事件のせいでハーピィ種の立場が危うくなった事など彼らは知らない。
人間の貴族が襲撃された事で、ビィーを追放した里では保護と支援が無くなった。
既に人間種の助けがないとまともに生活できない老害たちは、自分らの息子娘の大人ハーピィに頼るが、大人ハーピィ達もいつまでも偉そうにしている老害ハーピィに我慢の限界を感じ里を出ていく者が増え過疎状態が増してしまった。
ビィーが人間達を弄び、人間達がハーピィに憎しみを持ち関係のないハーピィらの生活が脅かされる。この負の連鎖は世界が地獄へ覆われるまで続いた。
ビィー率いる若いハーピィらに襲撃された被害者の魂と、老害ハーピィに人生を蝕まれたたハーピィらの魂は天国へ行った。
だが、ビィー達若いハーピィと何も教えず老害の言いなりだった大人ハーピィと老害たちは地獄へ堕ちた。




