ハーピィの悪い遊び 1
大きな翼を持ち風をも操るハーピィ種。山や大樹など高い場所へ住み、ひっそりと暮らす彼らの生活は狩りや家の建築など質素な物だった。
長老ら大人達は自分らの翼や爪目当ててでくる狩人から身を守るため質素な生活には慣れていた。しかし、若くまだ遊び盛りの者は刺激を求めてとても危険な遊びをしていた。
「おらぁ、次は鉄球落とすぞ!!」
若いハーピィらの中で一番体格の良い少年「ビィー」が高いところから足に引っ掛けていた鉄球を離し、地面に描かれている的のど真ん中に地面に大きな穴ができた。
「またビィーが一番かよ!! あぁ!! 俺も鉄球が持てたら!!」
「俺らじゃ鉄球持って飛べねぇからな…はぁ、もう俺金ねぇよぉ…」
地面の的に向け空高くから物を落とし競い合う「的当て」より重い物を持ち、的の中心に向け落とし得点を競い、若い者の中で一番力があるビィーが勝ちかけ金を受け取る。
「へへぇ、まいどありぃ!! ほら、次いくらかけるかぁ?」
「すご~~い!! ビィーったら、今度なんか奢ってよぉ!!」
「ビィー!! ほら、次のゲームを…げぇ!! やばぁ!!」
ビィーに群がる女たちが大人のハーピィ達が近づいてきたのを見て我さきに逃げていく。
「こら!! お前たち!! 家の手伝いもせずにこんなところで…」
「人間やエルフに見つかると大変だぞ!! 里に戻れ、戻れ!!」
大人達が若いハーピィらを連れて帰るがビィーだけは一足先に逃げていた。
ビィーは大人達が嫌いで、いつも家のため里のためとうるさく面倒だった。
「何が人間だ、エルフなんて魔法が当たらなければ弱いのにさ…お?」
鉄球持っていたビィーは木々の間を歩く一団を見つけた。
耳は尖っていない彼らは人間であり、森の中でも歩けるように軽鎧を着ていた。
「情報にあったハーピィの里はここらへんか…」
「気をつけろ、彼らとは、今回…ではなく、…を」
人間どもの声はあまり聞こえなかったが、先ほどの大人エルフの声を思い出したビィー。
こいつらのせいで自分達は窮屈な思いをしているんだ、と舌打ちして。
「人間ども、俺はお前らなんかに捕まんねぇよ…」
遥か上空まで飛んだビィーは、持っていた鉄球を人間の集団に向け勢いよく投下してしまった。
数時間後。
「ビィー、お前は里から永久追放だ」
「はぁ!?」
片づけられた人間の死体の前で、老いたハーピィらの前でビィーは追及処分を受けた。
ビィーは自分達を狙ってきた人間を倒しただけだ、と叫ぶが実際は違った。
「あの人間たちは襲ってはならん者じゃった…」
ビィーが襲撃した人間の集団はハーピィらと和平を結ぶべくどこからか派遣されてきた者だった。険しく危険な獣のいる森を入るために武装し、遺物の中にはハーピィらを全面的に守る事を約束された親書もあった。
長の周りにいた大人達が次々とお前の勝手な行動のせいで里と人間の関係が悪くなった。
だから最近の若い者は…と、ビィーだけでなく若いハーピィはダメと口々にして空気が悪くなる。
(んっだよ!! 俺は里のために…あんたら大人が人間は危険って言ってたじゃねぇかよぉ!!)
ビィーは言い返そうとしたが、もうこの老害どもに何を言っても無駄と感じすぐに里を出た。
途中、的当てにつきあっていた若いハーピィらと出会うが、狭い里の中で既にビィーが殺人を犯した事を知り視線を合わせずに無言だった。
(どいつもこいつも…はぁ、いいさ。そうやって死ぬまで何も教えない大人や老害どもの言いなりになってろ!!)
的当てゲームでちやほやしていた仲間や女ハーピィらに毒ついて、ビィーは里を去ってしまった。
大人達が若いハーピィらに対し人間の何が危険で、どう対処すればいいのかちゃんと教えなかったため起きた事件。人間側からのハーピィらを保護し支援する約束は締結されたが、この事件をきっかけに若いハーピィは大人達に疑念を抱くようになり里から若いハーピィらが自由を求め、次々と去ってしまった。
老害や何も教えない大人達の言いなりになりたくない。里を追放されたビィーの心の言葉が現実となり、里には年をとり衰えたハーピィしかいなくなり、人間の保護なしでは生きていかれない家畜状態となった。




