天国へ至る階段。ジルとの別れ
「うぅ…」
「気が付きましたか、ジル」
ガエルにより血を抜かれたジルが目を覚ました。ジルが慌てて体を起こすと、二人は天まで続く透明な階段の前にいた。
「ジャンヌ…どうだ、ガエルは!? あの男が貴女の杖を…」
「大丈夫です。杖はここに。それにガエルはもう悪さをする事はありません」
ガエルから取り戻した杖を見せ、ジルは安堵の息を吐いた。
「そうですか…しかし、ここは…いや、この世界は一体なんなのです…」
「大丈夫、ちゃんと説明しますから…立てますか、ジル?」
二人は透明な階段を昇る。ジャンヌはジルに様々なことを話した。
グオウ達の策で処刑された後、地獄の主になった事。
既にブオウやガエル。不正や横暴をしていた者には地獄の裁きを下した事など。
「そうだったのですね…」
「ジル、貴方は私を責めないのですか? 私の復讐のために世界を地獄に変えたことに…」
ジルは首を横に振った。もしかしたら自分もジャンヌと同じ立場だったら怒り狂い、悪人以外の者も裁いていたかもしれないと、ジャンヌを否定しなかった。
「ありがとう…」
ジャンヌは涙を浮かべながら、感謝の言葉を告げ二人は階段の頂点までたどりついた。
遥か上空で下を見れば亡者から逃げている罪人や、ゲハが支配していた学園などが一望できた。
「ジル、貴方がいるべき場所は地獄ではありません」
ジャンヌが告げると、紅蓮の空に無数の隙間が生まれる。隙間からは美しい花畑や湖、白い教会など天国の風景が見えた。
「ここから天国へ入ることができます。さぁ、早く…」
「ジャンヌ、貴女も一緒に行かないのですか?」
ジルが手を伸ばしジャンヌと共に天国へ向かおうと告げる。だが、ジャンヌはグオウらに盗られた魔法道具を回収しなければと、ジルの手を取らなかった。
「大丈夫です。私も後から行きますので…」
ジャンヌがうつむき告げる。ジルは何か言いたそうだったが、手を下ろし黙って天国への道を進む。
天国へ行けばあらゆる苦痛から解放される。だが、生前の苦痛の記憶は亡者となり、天国へ行けばジルはジャンヌとの記憶が失われる。
(そう、これで良いのです…ジル、私のせいで不幸にさせてすみませんでした。どうか、天国で幸せに…)
「ジャンヌ」
ジルが一度立ち止まった。彼の瞳からは涙が流れそれでも笑顔を向けて
「あなたは嘘やごまかしをすると、すぐにうつむく…気を付けてくださいね」
ジャンヌの嘘を見抜いていたジルは天国へ旅立った。
「あ、あぁ…ジル、ごめんなさい…」
ジルに嘘を見抜かれジャンヌは一人天国の前で大泣きをした。




