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教王ガエルの罰 2

ボキィ!!


「ぐぎぃ!! あ、足がぁ!!」


 亡者達から床下の巨大水槽の中に投げ入れられた老年のガエル。足の骨を折り痛みに涙や鼻水を流し、自身の老いた手足を見て絶望の声を上げた。

 

「ひぃぃ、な、なんだぁこれは…っ!? 杖、私の杖はどこだぁ…」


  盗られぬように右腕に鎖で巻いていたはずの杖がなくあたりを見渡す。

 今ガエルが入れられている床下の巨大水槽はガエルが蓄えた魔法の血を保存する貯血用で今は一滴も血が入っていない。


「はぁ、はぁ、杖、私の杖はどこ、だぁ…」


 これまで魔法に頼りきりだったため老体の体では立つことができず、よろよろと水槽の壁まで這いずった。


「おい、私を、ここから、だせぇ…ひぃ!?」


 上を見上げ声をかけたが、水槽を見下ろしていたのは全員亡者だった。ガエルが魔法の血で絞りとり殺した者から、実験で体も精神も狂わせた孤児。さらに、杖の力を試すために災害を起こし犠牲になった全ての種族の亡者が巨大水槽を囲んでいた。


「そうだ、私はあの化け物と…あ、ぁぁぁぁぁ!! 見るなぁ!! 私を見るなぁ!!」


 シーマの亡者との闘いを思いだしたガエルがおびえて叫んだ。


「教王様が目覚めたぁ!!」


「ようし、あの大人達から吸った血を上げよう!!」


「ガエル様!! あなたの大好きな血です!! 」


 あの大人達とはガエルの手下である研究員のことだった。

 愚かな教王に向け膨大な数の亡者達は一斉に口を開き、水槽に向け血を吐き出した


「ぐへぇ!! な、何を、ぐっ!? ぐぇぇぇぇ!!」


 研究者達から吸収した大量の血が水槽に流されガエルの体が血を吸って風船のように膨らんでいく。

既にガエルの体は血を吸い上げると、破裂するまで一滴も血を出すことができない体に改造されていた。


(ぐ、ぐるじぃぃ、い、いぎがぁ…つ、つえ…杖はどこだぁ…)

 

 杖は既にジャンヌの手にあることも知らず、水槽内に気持ちの悪い血の肉風船ができた。


「ぐげぇぇぇぇ!! ぐぼぉ!! がぼぉ!!」


口や鼻が血で詰まり呼吸ができず、眼球や内臓が血のせいで潰される。

これまで魔法の血を他人からダニのように搾取してきたガエルは解体された研究員たちの血を体の許容範囲を超えるまで吸収して破裂した。


「ぐぼぉぉぉ!!」


破裂した後も水槽の中で蘇り、破裂して出してしまった血と亡者から新たに吐き出される血を体が勝手に吸収してさらに大きく膨らんでいく。


「ごぶぅ、ぐげぇ…ふ、ふら、ぃ…」


 水槽から逃げようと「フライ」を唱え飛ぼうとするが内臓が飛び出て死んだ。


(ふぁい、や、ボール…ぐぎゃぁぁ!! あ、あづぃ、あづぃ!!)

 

 窒息する苦しさから解放されようと、水槽を破壊するため攻撃魔法を使った。だが。体内からファイヤボールが生まれガエルの肉体を中から焼いた。研究員と同じく魔法が体内から発生するように改造されガエルは水槽から出る手段を完全に失った。



(魔法いだぃ、魔法いやだぁ…やべろぉ、血はいらない、もういやだぁ。赤いのはいやだぁ!!)


 魔法の血を吸収して体が家一軒ほど膨れ上がる。魔法の血があっても体内で傷つき、

何もしなくても破裂死と生き返りを繰り返した。


 赤い物にトラウマを抱えても、ガエルは水槽から出してもらえなかった。


 血と鉄の臭いで充満した水槽の中。ガエルは呼吸ができず窒息死しようが、血で脳や心臓が潰れ、血を限界まで蓄え破裂しても生前に犯した罪は決して許されない。


「血だぁ!! もっと血を教王様にささげろぉ!!」


「ガエル様は血が大好きだぁ!! 」


「水槽が溢れて体が入らなくなったら手足を切って、入れるように差し上げろぉ!!」


 犠牲者たちの亡者がひたすら水槽に血を流し、水槽の上まで頭が出てしまった巨大ガエルの体を解体された。水槽の中は血を吸って膨らんだガエルのバラバラの体で埋まり、それでもガエルの意識は保たれていた。


(ぐるじぃ…いだぃ…だれがぁ、ごろじでぐれぇ。あぁ、くさぃ…血が、赤いのが体にだまって、いだぃ…だぢでぐれぇぇぇ…血も魔法も、いらない、たすけて、たすけて…)


 魔法も血もいらない、苦しい、助けてと愚かな教王は心の中で叫ぶ事しかできなかった。


 



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