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封印の間再び 2

 出口のない巨大迷宮遺跡。全ての魔法を封じられ抵抗する力を失った人族とエルフの死体が転がっていた。


 ハーピィの鋭い爪は返り血に染まり、はばたく翼から生まれたかまいたちに多くの首が地面のおちた。


 ドワーフは鈍足であるが、遺跡に散らばっている岩石を剛腕で投げ、直撃を受けた者の体を貫通した。


 魔法が使えぬ出口のない遺跡で人族とエルフは逃げるしかなかった。魔法主義に染まり、同族すら見下していた彼らにさらなる地獄が待ち受けていた。


「うぁぁぁ!! か、かべがぁ!! つ、つぶれるぅ!!」


「ファイヤボール!! ウィンドカッター!! あぁ!! いやだぁ、たすけでぇ、いやだぁぁぁぁ!! 」


 堕ちたシスターことイーロと同様に死の罠にかかり死と生を繰り返す。

 魔法を封じられ迫りくる壁に潰され、飛んでくる槍の雨に抵抗できず肉と骨の塊と化す。

 一方で亡者達は壁に潰されようが、槍で貫かれても罠をすり抜け逃亡する罪人たちを永遠に追いかける。


「はぁ、はぁ…み、みずぅ…ぐるじぃ…」


「ぐぞぉ、こんなところで死ねるか…ポーション、ポーション…」


「おい!! そのポーションよこせぇ!!」


 一部のエルフが隠しもっていたポーションをめぐり罪人同士の醜い争いが起きた。

 魔法が使えない同士、落ちていた石やナイフで互いを傷つけ合い魔法が使えた種族同士が原始的な闘いを続けた。


「はぁ、はぁ!! ごくっ、ごぼうぉ、んごぉくぅ!!」


 むせながらも人族の男がエルフを殺しポーションを一気に飲んだ。その命の水がヘルと組んでいたキーリスの麻薬ポーションだとは知らずに、次々とポーションを飲んだ者は中毒に侵された。


 もっと、もっとポーションをよこせぇ と狂い笑いながら数少ない麻薬ポーションを奪い合い、正気を失ったところで亡者に蹂躙された。


「ひひぃ…やめてぐれ、みず…みずをとらないでぇ…あぁ」


 つぎはぎだらけのハーピィの亡者にポーションを奪われ投げ捨てられ、青年のドワーフが彼らの目の前でポーションを踏みつぶし絶望の声が上がる。


 亡者による蹂躙、罠による苦痛の死や逃れられない餓死。そして麻薬ポーションの中毒の4重の地獄が永遠と続く。



「愚か者にはつける薬はないですか…」


 生前、魔法主義に染まった者に罵倒されていたジャンヌが深いため息をついた。

 そして、その魔法主義を広めた元凶の姿を地獄を見通すことができるジャンヌの瞳が捉えていた。


「ガエル…あなたには必ず報いを与えます…」


 魔法を使えぬ者を迫害し、自身の魔法の研究のため多くの者の命を貪った悪魔を裁くためジャンヌの手にはアガの体を消滅させた、地獄の闇で作られた剣が握られていた。

 

「あなたが知恵ものだとは知っています…だから、私も計略を尽くしましょう」


 剣を掲げると、彼女の前に次々と亡者が姿を現した。


「きょうおうさま…やめて、いたぃ…」


「ぼくは、なにもわること、してないのに…」


「いやぁ、わたしのまほう、ちをとらないでぇ…」 


「かえしてくれ、おれのかぞくをぉ…」 


 ガエルにより死亡した者の亡者がジャンヌの周りを囲んだ。ガエルに対しての怒りや憎しみの声を上げ、彼らの復讐の機会が始まろうとした。


「…ごめんなさい。私の自己満足に貴女まで巻き込んでしまって…」


 ジャンヌが一人の亡者に謝り、その亡者は堕ちたシスターらに虐殺された親友、シーマの亡者だった。


「ジャンヌ、ごめんなさい…私は、助けることが、できな、かった…」


 死ぬ時までジャンヌの身を案じ人々から第二の聖女と呼ばれた少女の亡者は、ひたすらジャンヌの名前と謝罪を繰り返し、ジャンヌの瞳から涙が溢れ出た。









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