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エルフと禁断の麻薬花 2

「くそぉ!! どいつもこいつも役ただずどもがぁ!!」


 キーリスは自分用に作らせた屋敷で怒声を上げた。ヘルとの協力で麻薬花の花粉入りポーションは飛ぶように売れている。だが、麻薬ポーションの生産が追い付かず停滞していた。 


 しかも、中にはキーリスのやり方に耐えきれず逃げ出したエルフもおりそこからキーリスの黒い噂が流れ里から逃げる者も増えてしまった。さらに、キーリスも気づいているが安い給料と休み無しで働かせていた者の中には不満が溜まり麻薬ポーションの横領、横貫など不正も多発していた。


 人手不足と不正の横行が止まらずヘルのところから人族の奴隷を安く買い死ぬまで働かせるしかなかった。

 

 金ならいくらでもある、何も麻薬漬けになった人々はポーションを欲しているわけではない。要はケシの花粉さえ入っていればいいのだ。


「さぁ!! その花の花粉を容器に入れるだけよぉ!! あんた達無能でもそのくらいはできるでしょうがぁ!!」


 数日後、ポーション作成所に教会から買われた子供達が何列にも並び麻薬ポーションの作成をさせられていた。人間だけでなく、ドワーフやハーピィなどのあらゆる種族の子供達が不正なポーション作成に何も知らず、しかも防護服もマスクもなしで花粉をひたすらただの水が入れられたポーションの容器に詰めていく。 


 聖女であるヘルからエルフの里でポーション作りを手伝うように言われ、連れてこられた子供達はひたすら地獄の作業に命を削られていった。

 

 一切の休みもなく食事は一日一食で風呂もない。さらに、疲れて容器を落としてしまった子供は役立たずと容赦なくキーリスと彼女の下部の若いエルフ達に処分させられた。


「き、キーリス様…もうこれ以上子供を殺したら数が足りなくなります…」


「だったら、どこからでも予備を連れてきなさいよ!! あんたがあそこで死ぬまで変わる!?」


「ひぃ、ひぃ!? す、すみません…」


 若い男エルフをイラつきながら脅し、ずっと立ちっぱなしで倒れそうになっている子供達に向け魔法で脅す。時には花粉の中毒でおかしくなった子供を若い男エルフに処理させ自身の手を汚さないようにした。


「そうよ…この金の花は全部私の物よ…はははははっっっっ!!!!!!」


 子供達の命を削って作られた水と花粉だけの不正ポーションはその後も広まり、戦場や中立地帯関係なく無用な血と命が落ちることになった。だが、ジャンヌが世界を地獄で覆い、キーリスやエルフ達に麻薬ポーションのせいで未来や命を奪われた者達の魂は天国にあがった。


 だが、キーリスら麻薬ポーションを作成にかかわったエルフ達は地獄の砂漠に堕ち永遠の苦しみが待ち受けていた。



「はぁ、はぁ…暑い…もう、私の屋敷は? 金はどこなの!?」


 容赦ない灼熱の熱さと熱風に肌が荒れ大量の汗を流すキーリス。気づいたら、自身の下僕エルフ達と共に知らない砂漠におり、彼女は一人テントの中で日差しから身を守っていた。


「水、水…」


 既に下僕たちに魔法で作らせ大量に備蓄していた水を飲み干すが、それでも喉の渇きは癒えない。紅蓮の空に浮かびこの砂漠にしか浮かない太陽がこの地獄へ堕ちた者の体力も心も容赦なく削っていく。


「キーリス様!! 水を、水を見つけましたぁ!!」


 偵察に行かせていたまだ子供のエルフが浮遊魔法フライで浮かび空から声をかけた。

 

「水、ですって…?」


「はい!! このまま北の方へ進んだところに水と植物が生えたオアシスがありました。これがその水です!!」


 キーリスの悪行を知らない子供エルフが汗だらけの満面の笑みを浮かべキーリスの前に着地して腰に吊るしている水が入った容器を見せた。


「はっ、ごくっこくっ…ぷぁ。よくやったわ…さっそく案内しなさい」


「はいっ!!」


 容器を奪いより水を全て飲み干しキーリスはさっそく、オアシスへ連れていくよう命令して自身もフライで飛んだ。ほんの数分飛んだ後、水と植物に溢れたオアシスが見えた。


「どうやら、蜃気楼でも幻ではないみたいね…」


 自信の下僕エルフ達が湖につかり、木々に生えた果物を口にして毒もないと安心した。

 砂漠の中で希望を見つけたキーリスだが、次の瞬間絶望へ叩き落される。


「キーリス様!! 見てください、里にあったあの花もここに一杯生えているんですよぉ!!」


 先ほど案内した子供エルフの手には見慣れた花があった。麻薬ポーションに入れていたケシの花だった。


「あ、あ…あんた…それ…?」


「これ確かポーションに混ぜたら効果がすごいって聞いて…でも、ポーションがないから先ほど飲まれた水に入れたんです…ひぃ!?」


「このクズがぁっっっ!!」


「げほぉ!! きーり、す様? な、なんで…?」


 殴られた子供エルフが頬を赤くして涙目になる。このエルフはまだ幼くキーリスの黒い噂や赤い花の正体を知らなかった。既に、オアシスの花粉が含まれた水を口にしていた若いエルフ達は花の花粉にやられて狂い笑いをあげていた。


「うはっはっは!! 水だぁ、水だぁぁぁぁ!!!!!!」


「あぁぁぁ!! これは私の水よぉ!! あんたたちあっち行きなさいよぉ!!」


「うぜぇぇぇ、全員しねぇぇぇ!!」


 せっかく手に入れた水を独占するため魔法が飛び交う。既に理性を失った下僕どもを見てキーリスの体が震えていた。


「解毒、はやく解毒を…」


 すぐにフライで飛び上がりテントに戻ると解毒作業に入った。体内の血液に交じった花粉を取り除くには血を一度出し濾過してから体内に戻すしかない。


「ぐぅ、ひぐうぅぅぅ…くそ、くそぉ…」


 無知な子供のせいで自身も麻薬に侵されてしまったが、それは彼女が情報操作をしてだましてしまった結果だった。腕に針を刺し、瓶の中にエルフの命ともいえる魔法の血がどんどんたまっていく。


「こんな、とこ、ろで…」


 血を大量に失い青ざめる。その姿は奇しくも花を手に入れるために自身が粛清した長達と同じだった。


「はぁ、はぁ…けど、ポーション…ポーションは…あ、あぁぁ…」


 意識が朦朧としてポーションを飲もうとして震えた。テントの中には全て同じラベルのポーションがありどれが普通のポーションなのか分からなくなってしまった。


「くそぉ、くそぉ…どれなの、どれが…ぎゃぁ!?」


 散らばったポーションの器を抱えていたら、突然テントが燃え始めた。外から大量のファイヤボールが降り注ぎ何もかも燃えていく。


「いやぁ、だめぇ、やめてぇ…いやぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 火の手が広まり高温でボーションの器と解毒途中だった血の入った容器が解けて絶望の悲鳴が上がった。大量の血を失ったキーリスはもう魔法を使えない。必死に血をかき集めようとするが溶けた容器が皮膚を焼き、血は麻薬ポーションと混じって蒸発していく。


「あぁ、あつい…だ、だめ…」


 やけどを負い熱さに負けてテントの外に出る。すると、オアシスで水の奪い合いをしていたエルフ達がキーリスを囲った。


「燃やせ、燃やせ!! 悪い魔女を燃やしちゃぇ!!」


「あの女のせいで俺の友達は死んだんだぁ!!」


「悪魔の赤い花に埋めてしまぇ!!」


 既に脳がやられ理性が崩壊してこれまでの鬱憤が爆発した下僕たちがキーリスを殺しにかかった。


「あ、ぁぁぁ…や、やめなさい…やめて、やめ…ぎゃぁぁぁぁ!!!!!」


 血を失い同族から魔女と呼ばれ燃やされるキーリス。まさに、重役たちを処刑した時と同じで目にあっていたがキーリスの地獄は始まったばかりだった。



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