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聖女の裁き 地獄の闇に落ちるシスター達 2

「あっ…あ、あぁぁぁぁぁっっっ!! うでぇ、わたしの、うでぇぇぇ!!!!!」 


 両腕をジャンヌの持つ地獄の闇から生み出された剣で切られアガは泣き叫んだ。

 ナイフや魔法の傷もすぐに再生してきた強靭の腕は黒い煙を放ち消滅してしまう。


「あなたは…いえあなた達は私の大切な友人を傷つけ力を奪った…あなた達だけは私の手で…」


 ジャンヌは怒りを表し、背後の4つの十字架が出現した。


「やめ…わたし、のから、だ…たべるな…」


 森林の地獄で体内から赤い食肉蜘蛛に食われ胸から下を失ったギン。


「まほう、なんで、私の魔法…」


 魔法封じの間で理不尽な罠にかかり全身を槍で貫かれ穴だらけのイーロ。


「…辺獄は罪の軽い罪人と…重い罰を持つ人は物になる…地獄から逃れる方法は、神の力を持つ道具のみ…」


 地獄の本を読み、地獄の知識と引き換えに蓄えられた知性を失ったグリ。


「やめてぇ、やめてぇ。私の幸せを奪わないで、壊さないで…パパ、ママ…」


 絶幻の間で何度も幸せを壊される幻覚に襲われ心が折れたピー


「あ、あんた。たち…」


 腕を失って膝をついたアガが4人を見上げる。既に罰を受けた彼女達の目には生気はなくアガの存在には気づいていない。


「あなた達は決して天へは上ることはない。あなた達がいるべき場所は地獄もでない下の世界…闇よ」


 十字架の下に巨大な闇の穴が出現した。磔になった四人はそのまま一切光のない地獄闇へ堕ちていく。


「やべろぉ…いやだぁ…わたしを…たべるなぁ…」

「まほう、まほう……わたしのまほう…かえしてぇ」

「助けて、助けて、パパ、ママ…暗くて、怖いよぉ…こわいよぉ…」


 足元に広がる闇を見て僅かに残っていた本能が警告した。あの闇に落ちれば死以上の恐ろしい目にあると。

 魔法を使い抵抗できたはずだが、既に痛みや恐怖で心が折れ正気を失った4人の暴虐シスター達はそのまま闇の中に沈む。


「や…闇、地獄の闇…一度入れば最後、魂は消滅し、闇に溶け…二度と生き返りもできない…あ、あぁぁ…い、や、だぁ…」


 グリが地獄の闇の知識をつぶやくのを最後に4人の魂は地獄の闇と同化して消滅した。

 

「おまえ、おまえぇぇぇぇ!!!!! ころすぅ、ころすぅ!!」


 尖った歯をむき出しにしてジャンヌの首にかみついた。一番丈夫な肉体を持つドワーフの皮膚や肉を食いちぎれる程の顎を持つが、全ての歯が折れ口から大量の血を流しせき込んだ。


「げほぉ!! ごろずぅ!! ごぼぉ!! よぐも、わだじのうでぇを!! ぜっだい、ごろずぅ!!」


「仲間のことはなんとも思っていないのですか…」


 仲間が闇に堕ちた事よりも腕を切り落とされた怒りをぶつけるアガを悲しい目で見つめる。地獄で転生したジャンヌの肉体は強酸の地獄では決して溶けず、今もブオウを調理している巨大豚に食われようがギロチンのような包丁で切られようが傷一つもつかない。


 ザンッ ザンッ


「あ、がぁ…あぁぁぁぁ!!!!!」


 ジャンヌは地獄の剣を振るった。どんなに強化された肉体であろうが魂を消滅させる剣はアガの首を切り落とし、首から下の肉体は黒い煙を出しながら消滅した。


「わ、わたしのからだ…からだ、からだぁ!!」


 地獄や辺獄では罪人は死ねば次の苦しみと絶望のため五体満足で蘇るが、地獄の闇に体を消された者の肉体は二度と再生しない。首だけになり何もできなくなったアガをジャンヌが見下す。


「ころずぅ!! ころずぅ!! ころずぅ!!」


「このまま、この辺獄で略奪された人々に差し出そうとも考えましたが…せめて、人らしい感情を持ったまま死になさい」


 シーマを侮辱しこれまで多くの命を弄んできたアガ。もう魔法も使えず首だけとなり抵抗できない彼女をこれまで略奪を受けた者達に持っていけば間違いなく惨いことになるが、ジャンヌはアガに噛まれながらも頭部を両手で拾い上げた。

 

 「ころずぅ、絶対におまえだけあぁぁぁ!!!!!」


 最後まで怒りを露わにしていたアガに哀れな目を向け、ジャンヌは足元に無限に広がる地獄の闇にアガを放りなげた。


 「うがぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


 怨嗟の叫びを上げ破壊と殺戮を楽しいでいた少女の頭部が闇に溶けていく。


 幼い頃に受けた強化手術の痛みと悲しみで塗りつぶされた思い出。

 頭を開かれ体中に不気味な色の薬を投入され高熱や激しい嘔吐に苦しんだ毎日。

 人を殺して初めて褒められ、そこから殺人や破壊に夢中になった日々。


 そして、グリ達に出会いガエルの手駒になりながらも馬鹿みたいな会話や任務に感じていた充実感。全ての記憶と魂が闇に解けて消えていく。


(いやだぁ、いやだぁ…きえたくない、きえ、たく、な、い…たす、け、て…)


 地獄闇に溶ける寸前、恐怖を思い出し人間らしい心に戻った殺戮少女の最後の姿を見て、

ジャンヌは「ごめんなさい」とつぶやき。紅蓮の瞳から涙が溢れた。


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