名もなき少女の罪と罰 8 絶幻の間、少女は絶望を知る
名も無き少女編はこれで終わりです。
次から最後の章になります。
「いやだぁ…いたいのはいだやぁ、しぬのはいや…」
一人寂しく真っ暗な空間の中少女は力なく泣いていた。
(おとうさん…あかあさん…どこ…? )
記憶のない少女にとってこの地獄のどこかに自身を知る者がいると希望をもっていた。
しかし、出会う人々は「この悪魔めぇ」「偽りの聖女に似た女」と暴力に襲われる。
自分は何も悪いことはしていないのにどうして? と頭の中が一杯になっていた。
そして、見る者に絶望を与える絶幻の間で少女の疑問が解消される。
「え…な、なに?」
少女の周りに幻が浮かぶ。また痛いのが来るのかと身構えていると幻が何かを写した。
荒れ果てた地獄の大地で一人の女性が生まれ、地獄へ堕ちた罪人たちを裁いていた。
しかし、女は「退屈」「つまらない」と言いはじめ、地獄とは別の世界「現世」へ入ってしまった。
女は前世で酒や金の快楽におぼれ刺激を求めて戦争を起こした。
死んでいく人々や激化していく闘いに女は高笑いする。
そして、長い闘いを終わらせたある聖女を陥れ処刑した。
「だ、だれなの…こ、こんな人知らない!! 私には関係ない!!」
耳と目を閉じ叫ぶ少女。幻はまだ続く。
麻薬入りポーションの販売や少女を使った闘技場。さらに教会の少女たちを好き勝手した罪の姿が写る。
そして女は天国への階段にて二人の亡者と道連れの執念で集まった罪人の抵抗を受け最後には天国へ行けず全てを失い地獄の底へ堕ちた。
「しらない、しらない!! 私には関係ない!!」
少女は走って逃げた。知らない、関係にない。こんな女の人は知らないと叫び続けたが心の底では気づいていた。
幻の中でひどいことをしている女性は自分だと
だからこの地獄では誰も助けてくれない。そして、自分は天国へ行くこともできず永遠に絶望と苦痛から解放されない。
「いやだぁ!! いやだぁ!! たすけて!! たすけて!! 聖女様ぁぁぁぁ!!!!!」
全てを失った哀れな少女はかつて犯した罪と罰に後悔するが既に遅い。
この絶幻の間から逃げたところで次の地獄が待ち受けているだけだった。
かつて地獄から生まれた地獄の主は自らの退屈しのぎのために現世で戦争を起こした。
そして、戦争を止めた聖女を陥れて自らの欲望を満たすために国と人を破綻させた。
最後には、自分の一部であった地獄に裏切られ全てを失ったのだった。
今も名前なき少女は地獄のどこかで、己の犯した罪に対して終わりのない罰を受けていた。




