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勇者の背中に憧れて  作者: 名張 信
第一章
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第四話 冒険者の厳しさ



一階の合格発表場所に向かうと、街で見た冒険者よりはるかに強そうな警備員二人による列の整備が行われていた。

列の最後尾に警備員一人、合否報告を受け取る場所に一人。


『すみません、今何分待ちですか?』


列の最後尾にいた警備員に聞いてみた。


『50分待ちだ、これから合格発表だからさらに混む。列はもう動かない方が良いぞ』


強そうな外見、強面な顔とは裏腹に、助言までしてくれた。


『それでは只今から合格発表を始めまーす!』


甲高い声が響いた。

合格発表が始まると、最後尾に居た警備員さんの言う通り、瞬く間に行列ができた。

列の進み具合は意外に早い。

きっと何人かで共同作業しているのだろう。

そう考えていると、合否を受け取った受験者達の歓喜の声や悲哀の声が聞こえた。中には抗議を申し込む声も。

あ、だからあんな警備員いるのか。

何か納得できてしまった。

そうこうしている内に俺の番は次となった。

胸の高鳴りは期待と不安、興奮の象徴だった。


『では次、カーソンさん』


『は、はい』


渡された白い封筒を目の前にして何かを考える余裕もなく、急いで封筒を開けた。


…………《合格》


『…おし!!』


俺は吐き出したい歓喜の声を堪え、小さくガッツポーズをした。

暫定順位442/1500

最高得点分野 実戦問題 2/1500 正答数 19/20

最低得点分野 知識 1346/1500 正答数 3/20

合格した勢いでそんな順位どうでもよく思えたが、この結果は両極端すぎた。

まず実戦問題が二位、これは自分の意見を書く記述式だったがそれ程難しいとは思えなかった。

逆に知識、これはマジで難しかった。

でもこの試験、実技系問題が半分、教養系問題が半分だった。

だから乗り切れたのか?

内心、教養を受けていない俺が何故受かったのか怪しかった。

それこそ誤表記なんじゃないか?と疑うくらいに。

ともかく、俺はこの喜びを真っ先に父さんに伝えたかった。

それとリースさんにも。


『一次試験合格発表が終了しました。これより二次試験の説明を始めますので、合格者は各々一次試験の受験会場である特別室に先ほどの座席順で着席してください。二次試験の説明は5分後に開始します』


もう終わったのか。随分と早かったな。

五分後ってことはもう向かわないとまずいな。

俺はダッシュで特別室4に向かった。

他の合格者も続々と移動を始めていた。

一方で、管理員達は落ちた人達に不必要の烙印を押し、ギルド本棟にまるで部外者が入ってきたかのように追い出した。

その光景を見て、複雑な感情にあった俺は特別室4に着いた。


『おい、早く座れ!』


教卓から声を掛けたのはさっきの試験監督だった。

俺は言われるがままに席に座った。


『まずは合格おめでとう!若干名遅刻している者もいるが、先に説明を始める』


試験監督は真剣な表情をしていた。

それにしても妙だ。

この特別室には合格して浮かれている奴が一人もいない。

こういう時は一人はいるはずなのに。。

まさか、殆どが二回目の受験者とか?これが常識とか?


『しかし、苦しいのはここからだ。二次試験は完全なる蹴落とし合い。バトルロイヤルだ。チームを組むのは可能だが人数は最大で5人。そして、闘技場の部舞台に居る残り人数が5人になったところで試合終了。残った全員を合格とする』


嫌な予感はしたが、ここまでだとは想定しなかった。

つまり、残りの445人は脱落なんだろ。

その瞬間、窓際に座って居る眼鏡を掛けた少年が椅子を引いた。


『ちょっと待って下さい!その合格人数じゃ去年よりも95人も少ないじゃないですか!?』


!?、え?そんなの理不尽すぎるだろ。


『ああそうだ。しかしこれはギルドの決定事項であり、冒険者を少数精鋭にするための試験でもある。冒険者は遊びじゃない。命を賭けた殺し合いだ。半端者に務まる職じゃない』


『しかし、半端者と言うなら去年までの100人の合格者はどうなるんですか!』


『答えは簡単だよ。ほぼ全員に辞めてもらった』


『は?』


『今現在この街にいる冒険者は30人だけだ』


『え?いや、何を』


『そもそも、これは国からの命令だ!最近の冒険者は出来が悪すぎる。だからこういう政策をしろと通達が入ったんだ。役に立たないで死なすくらいなら民として働いてもらった方がよっぽど国の為になるとな』


少年は口を開けたまま唖然としていた。


『では、日時は明日。ギルド本棟の奥にある闘技場で行う。尚、ルールは明日発表する。以上、解散!』


合格発表の時もそうだが俺はやっぱり何も知らない。

もちろん、冒険者についても。

今覚えばただの憧れだけで冒険者になろうとしたのは間違いだったのかもしれない。けど、もう後にも引けない!

残された道は勝ち抜くこと一つだった。

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