第三話 一次試験
ついに問題用紙と解答用紙が手元に回ってきた。
『それでは120分間の筆記試験を開始します』
解答用紙は全て記述で120問。一問一分が目安だ。
落ち着け、俺ならできる。
緊張して膠着する体に無理やり言い聞かせた。
問一、旧帝国魔導師団が結成された発端を答えよ。
…これ、聞いたことあるな。
確か、危険な思想を合わせ持つ魔術師達が自然的にモンスターを発生させる最高等技術を発見したからだっけ?
父さんの言ってた事を信じるしかないな。
問二、冒険者登録にかかる初期費用の内、何%がギルドの寄付金となる?
え?いや、これ覚える必要あるん?てか分かんない。
二問目で完全に躓いた。これが選択肢なら可能性あったのに…。
こうして余裕な問題ゾーンや不安でしかない問題ゾーンを繰り返し続け、残り一分120問目まできた。
ずっと下を向く首とペンを握る右手は筋肉が叫びを上げているような気がした。
『止め!直ちにペンを置き部屋から退出してください』
ようやく終わった!
自分も含めた受験者達が続々と退出する中、試験監督は直ぐに問題用紙と回答用紙を回収した。
これだけ念入りに不正防止を行うなら、きっと不正行為の罰は厳しいと察した。
『カーソンさーん!カーソンさんはいますかー?』
『……は、はい!』
人からカーソンと呼ばれることは余りないのでぎょっとしてしまった。なんか…違和感あるな。
『あ、カーソンさんですね。あなたに面会したいという方が』
『え?誰ですか?』
『リースさんという方です、場所は二階の特別室045号室です』
『リースさんですか!?分かりました』
俺は直ぐに045号室に向かった。
リースさんは今着ている魔法服の作成者、並びにフラメルの街一番の鍛冶師だ。
父さんもよく剣や防具を作ってもらったらしい。
ーーーーー045号室
『トントン、失礼します』
ドアを静かに開けた。
『やあ、エレンくん!久しぶりだね!』
鍛冶師は普通、皆揃って厳つい体格だというのに、リースさんは相変わらずスマートな体型で、顔が整っているな。
『リースさん、最後にあったのは父が亡くなって以来ですね』
俺は高級感のある椅子に腰を下ろした。
『ああ、そうだったね。で、どうだい?今着ている魔法服は?』
『はい!もう最高ですよ!すごくオシャレですし!』
『それは良かった!魔術式を書き換えて欲しかったらいつでも言ってね』
『はい!…って、まさかそんな事を言う為だけじゃないですよね』
『うん。じゃあ、君をここに呼んだ本題を話そうか』
俺の目をはっきりと見つめて、真剣な表情で話そうとするリースさんに俺は緊張した。
『実は、天使系の亜人の存在が確認された』
『!?、天使系の亜人?そんなのどこで?』
『フラメル近隣の街、ベスカネールだ』
『ベスカネール…あそこは奴隷商売が盛んな所ですよね?』
『ああ、近々その奴隷商売に売り出されるらしい。国に献上すれば相当な対価が貰えるはずなのに』
『そんなの物好きが直ぐ買いに来るどころか、国中が騒ぎになりませんか?』
『そうだな。だから、騒ぎになる前に何とかしたい』
『それを俺にやって欲しいということですか?』
『もちろん強制じゃない。だが、もし引き受けてくれるのであれば、俺がエレンくんの専属鍛冶師になろう!』
『本当ですか!?なるほど…じゃあ、引き受けます!』
『よし!じゃあ、これが情報メモ。あ、見るのは試験が終わってからね。気を逸らしちゃうと悪いし』
『分かりました!って、まだ受かってないですけどね』
『エレンくんならきっと受かるよ』
『ありがとうございます。吉報を待ってて下さい』
『うん、そうしとくよ』
リースさんは満面の笑みで部屋を後にした。
さてと、そろそろ俺も試験結果待ちの列に並ぶとするか。
俺も貰ったメモをポケットにしまい、静かに部屋を後にした。




