第二話 フラメルの街
やっと着いた~。
現在地はフラメルの街の西門前。
フラメルの街までの所要時間は160分前後といったところだろうか、日頃から鍛えていてもこれはキツい…。
しかし、獣と遭遇しなかっただけましだった。
とりあえず時間もない。アーザスティック棟に急ぐか。
幸いにもアーザスティック棟は西門のすぐ近く、少し歩くとそれらしき建物がすぐ見えた。
高く大きめな西洋の建物で、ぱっと見旅人宿って感じだ。
また、建物内に踏み込もうとすると、そこにはガラスの扉が立ちはばかった。
『ぅお!?…』
詰め寄ると、自動で扉が開いた。
周りを通る人達は皆平然としているのに、呆然とする自分の姿があり、いかに自分が田舎者かを思い知った。
その後何とか受付までたどり着くと、眼鏡を掛け、賢そうなヒューマンが応対してくれた。
『エレン・カーソン様で間違いないでしょうか?』
『はい』
『ではこちらはリース・アルゴン様からとなります』
おお!これが新しい魔法服か~!
流石は腕利きの鍛冶屋!仕事が早くて助かる!
デザインも黒いコートで中々悪くないな。
『ありがとうございます!』
『いえいえ!』
俺は魔法服のコートを装備し、急いでこの場を後にした。
次に向かうのは、もちろんギルド本棟。
距離は…意外に近いな。
俺は一旦走るのを止め、歩くことにした。
何分かさらに東へ歩くと、いつの間にかギルド本棟まで後少しの所まで来ていた。この付近はギルドとメインストリートの一つであることから行商人や一般人、それにフラメルの冒険者で賑わっていた。これだけ賑わっていたらお店も安売りをしてそうだな、後で行ってみようかな。
ーーーーーギルド
賑わっていた通りを抜けた先はすぐギルドだった。
え!?え!?ギルドって初めて見たけどこんな立派だったんだ…
これには驚きは隠しきれない、田舎者には衝撃が強すぎる。
そのギルドの広大なスケールと大聖堂のような外観はこの街で冒険者こそ最も尊き存在であると物語っているようなものだった。
恐る恐る中に入ると大勢の受験者が集まっていた。
種族はヒューマンからデミ・ヒューマン、エルフと様々。
集合の時間まで残り数十秒程だろうか、俺の心臓はかつてないほどうるさかった。
ーーーーーーーーー
『はーい、受験者の皆さん時間になりました。それでは一次試験の内容は筆記試験となります。会場は特別試験室1~12にて行います』
『えぇぇぇぇ!?』
周囲と一緒に俺も驚きの声を上げた。
何せ筆記試験が採用されたのは今回が初だからだ。
この冒険者選抜試験は試験内容が事前に通達されないだけあって
こういう事が起きると驚きと怒りを隠せないのはしょうがない。
恐らくこの場でこの状況を予測できた人は誰一人としていなかっただろう。
しかし、変わらない事を嘆いてもしょうがない。
俺は大人しく特別試験室4に向かった。
えーと、俺はこの席だな。
座席の番号は402番。座席の番号は冒険者選抜試験に応募した先着順で決まる。クラスが12も!?とは思ったがまさか4クラス目で400人オーバーかよ!
『はーい、集まりましたか。ではルールを説明します。まず各クラスには100名ずつ受験者の皆さんがいます。各クラスごと上位30人のみ二次試験に進めることとします。尚、不正行為を働いた者には今後一切の冒険者選抜試験を受験することを禁止します。では今から問題用紙を配ります』
なるほど、冒険者の志しに相応しい試験だな。
けど、俺一般教養受けてないしな~。
正直、実戦系の問題しか解けなそうな気が…
『コーーン!』
予鈴らしきチャイムがなった。
刻々と迫る第一関門に心臓の高鳴りは止まない。
俺は無意識に深呼吸を繰り返していた。