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勇者の背中に憧れて  作者: 名張 信
第一章
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第十四話 二次試験[最終]



やがて俺にも精霊らしきものが見え始めた。

しかしそれは極めて不完全な精霊で、一つ一つは小さく、綺麗に輝き、全身にまとわりつく感じだ。

それこそ、神話で語り継がれる上位精霊の周りにいる下位精霊のようだ。俺はローザが休んでいる第五ゲートの方を見ると、ローザもまた不思議な顔をしていた。


『おい!その眼は何だ!?…お前に何が起きたと言うんだ!』


眼?別に睨み付けてる分けでもないし、言いたい事が分からなかった。ただ、魔力は空なはずなのに、魔力を使う時以上の熱気を体の内から感じる。正直なところもう怒りは熱気となり消え、今ならあいつを倒せると確信した。

この精霊が実像なら俺は精霊魔力の一端を授かったってことか?

有り得ないとは思ったが有り得ないとも思えない。


『リアム、お前は言ったな。悲しみや苦しみは強さと比例する、だから弱い者は悲しみや苦しみを知らないと。じゃあお前が俺より悲しみや苦しみを味わってきたということを証明してくれよ』


俺にはさっきまでとは違い、圧倒的な余裕があった。


『ふっ、似非如きが今更何を?そんなに殺されたいのなら塵も残さずそうしてやるよ』


リアムは砂埃を舞わせ、全速力で驀地に走った。

しかし遅い!いや、正確に言えば遅く感じる。

さっきまでとは別物ように。

これで確信した。俺は精霊魔力を授かったのだと。


俺は最速で走るリアムを一瞬で追い抜き、振り向き様に首目掛けて力強い蹴りを放った。

リアムは宙に舞い、地に転がりながら20m程先の闘技場の壁に勢いよくぶつかった。

ものすごい衝撃音と伴にその瞬間、明らかに勝敗が決した。



ーーーーーーーーーーー運営陣側



『信じられない。攻撃が見えなかった…』


運営陣側、最年長かつベテラン試験監督のオリバー・オルコットの整った顔も冴えない程呆然としていた。


『この事は事務次官に通達しますか?』


『ああ、頼む。しかし、他の管理職には知られるなよ』


『それと、舞台に配属した二人の冒険者はどうしますか?』


『リウスとナァーザか。奴らには透明のローヴを着させてる。観客が熱狂している内に早々と回収してくれ』


『分かりました』


冒険者選抜試験、二次試験の試験監督の二人の表情は重かった。


『それと終了の合図を』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『只今を持ちまして冒険者選抜試験、並びに二次試験を終了とします。合格者はギルド本棟にて只今から一時間後に冒険者登録を行います。尚、医務室での治療を希望する方は後日登録をお願いします』


何故だ?何で合格者の名前を言わないんだ?

俺は運営陣の方を怪しげに見た。


『…エレン、合格したのか?』


『ハリー、お前なら戦闘不能にはなってないと思ってたよ』


『当たり前だろ…』


とは言っても、直ぐに治療しなければ不味い。

早くしないと壊死が始まる。


『エレーン!私たち合格しちゃっ感じ??』


って、少しはハリーの状態考えてやれよ。

空気を読まずにはしゃいでるローザに突っ込みそうになった。


『…とりあえずハリーが先だ。医務室の所まで運ぶぞ』


『医務室ってどこ?』


『第3ゲートの奥だ、ほら足の方持って』


俺達はハリーの傷口に触れないように慎重に運んだ。


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