表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の背中に憧れて  作者: 名張 信
第一章
1/13

第一話 熾烈な過去


幼い頃、栄誉ある四大冒険者一族の一角、アルベルト一族に捨てられた俺は一人の勇者に拾われ、生活を共にした。

だから、父親的存在の勇者の死は悔やんでも悔やみきれない出来事だった。


ーーーーーーーーーーー


『ノア・カーソンは秘境の探索地にて旧帝国魔導師団第一級部隊と交戦、死亡が確認されました。御冥福をお祈りします』


と一通の書面で送られて来た。

余りにも簡易的な知らせにあれだけ泣かされた日の事は一年たった今でも夢に出てくる。

それでも俺がダークサイドに落ちなかったのは、父さんが完璧な人格者だったことが大きいと思う。

だから俺は復讐的な感情を持たず、ただただ知ろうと思った。

冒険者から勇者になった父さんの凄さを。

単純に言うと、父さんに憧れたんだ!


だから俺の夢は《勇者の父を越えることだ》


ーーーーー明け方



『…っう……』


久し振りだな、昔の夢を見たのは。それも冒険者選抜試験の日、何かの嫌がらせのような気がするな。


『さてとっ…』


俺はちゃっちゃっか身支度を始めた。


今日俺は決意した事を果たすために旧の先駆けとして、旧帝国魔導師団の侵攻領域に最も近い冒険者の街である《フラメル》に向かうのだ。

ギルドでの冒険者選抜試験は9時から始まる。

だがその前に《フラメル》の街で借りる予定の新居に向かい、所有者登録を済まさなければならない。

つまり、絶賛遅刻するかもって時だ。


ーーーーーーーーーーー


朝食を抜き、何とか予定通りに出発できた俺は家の前で深々と一礼をした。


『父さん、行ってきます』


俺の住んでいる所は近隣の住民なんて絶対に居らず、辺りには小麦畑や森林しか見当たらないくらいの田舎。傍から見れば寂しい絵だ。


俺は頭を上げ、装備の着け忘れがないか確認した。

全身は必要最低限の父と似た軽装メイン。

修行中に二刀流が使えるようになったため、剣は2つ持ち歩いている。

一つは父さんとの修行の時からずっと使っている剣。

一つは父さんの形見である鮮緑色の剣。

これは遺言で譲り受けた分けではないが、父の戦ってきた重みを知るために自己満で装備品に選んだ。


『よし、これで負けたら(試験に)来年まで倍の修行を積もう』


俺は父さんの剣と努力を積み重ねた剣に向かって宣言し、敢えて自分にプレッシャーをかけた。

そして俺は二本の剣を後ろにクロスするように差し、出立した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ