一話 話と違う
12/05。俺、もとい中原流風の誕生日だ。高校1年の俺は自分へのプレゼントとしてこの大手ゲーム会社「ゲームスピリット」の一番人気であるVRゲーム機を買った。というのもずっと友達に買え買えいわれていて、欲しいものも特にないし、初バイトからあまり使っていなかった給料で買ってみた。しかし、バグが多いらしくそこは不安だ。早速開けてみると、ゴーグル、グローブ、ヘットギア、本体が入っていた。どうやらカセットを入れた本体からのデータをゴーグルに映して楽しむようだ。テキトーに初期設定をして、これまた友達に勧められた、自分の能力は全てランダム、クリア方法もほぼ無限といわれる戦闘RPG「スキルブリング」をはじめた。電源を入れた途端、自分の意識が遠のくが感じられた。
···。
····。
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目を覚ますとそこは、いかにもゲームの衣装のような服を着た人々がごったがえしており、活気が満ちている。また俺の服もみると変わっていた。
そこでの俺の第一声は
「は?」
だった。当然だ。VRとは聞いていたが、まさか自分がゲームの中に入るとは···。茫然としていると頭の中にナレーションが流れてきた。要約すると俺はゲームの中に入り込んだように見えるだけで意識だけがサーバーに飛んでいるそうだ。また、食事なども特殊な技術によりゲーム内で済ませれば現実でも餓死することは無いらしい。他にも色々言っていたが、それは追々説明しよう。
一通り聞き終えたが、やはり俺の中には疑問しか無かった。が、一つだけはっきりした考えがあった。
このことを教えなかった友達、次会ったら殴ろ。