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ようこそ!ここは転移者の街

 街道を歩いた、整備されているというほどではないけど、踏み固められているし馬車?かなにかの車輪の跡もついていたので確信して街道を進んだ。一時間くらい歩いた。いや、文学少女にはきついです…


 炎天下…というほど熱くはなく春のような陽気だけどキツい。インドアにはきついです。だって普段あんまり歩かないんだもん。


 などなどとグチグチ思っていたら見えた、街が。街が!防壁のようなものに門がついていて、防壁は3メートルくらいで門はTHE門という感じ。高さは3メートルから少し下がったところで幅は2.5メートルくらいだ、門というけど穴を開けて扉をつけたという感じ。


 フルプレート?の鎧の門番がふたり。どうしよう…ここは異世界転移の定番で乗り切るしかない。


 「ようこそ、ここは英雄オジサン=ツマームビーチックを送り出した街、オジサニアだ!」

門番が言い放った。え……?オジサニア…?英雄?……なるほど…地球でも人名を地名につけることはあったし、オジサン、かなり凄い人だったんだな…うん、何者だよ。まあ、異世界で活躍するのは定番ですしね…じゃない、どうしよう、説明しなければ。


 「あの…私は、田舎から来て…よくこのあたりのことがわからなくて。それで、えっと…街に入るのに何かいるのでしょうか…お金はもってなくて…あの…」


 あっあっ、あの…は、はい…テンパってきた…普段から知らない人と話す機会なんてないので!ええそうですとも!ゴツい鎧は怖いです!

 

 門番の二人の目が綾が話しはじめたらとつぜん温かい、優しさを持った目になった。


 「フム、君、田舎から来たという割には服がきれいすぎやしないかい?それに荷物はないのかい?みたところ魔導書のようなものだけしかもってないようにみえるけど…」


 我ながら怪しさ全開だと思う。現地人とのギャップがすごすぎるもの。


 「えっと…あの、その途中で荷物をあの…」


 言い終わる前に門番が言葉を重ねてきた


 「まあ良い、みたところお金もなさそうだ、とりあえず冒険者ギルドに行くといい。」

え?門番さんちょろすぎじゃないですか?え?わたしどう見ても不審者だよ?え?まあ通れるなら通りますけど。ありがとう。


通りすぎるとこで門番に囁かれた。


 「なかなか良い転移者のなりきりだったよ。ようこそオジサニアへ」


 いきなり話しかけられてビクッとした、そして街の中に入って私はそのセリフの意味を理解した。街の中はなかなかの活気だった、中世ヨーロッパ風という感じでまさに異世界だ。


 そしてとりあえずさっき門番に言われた冒険者ギルドに向かっているのだけど(道もちゃんと教えてくれた)目抜き通りに出たと思ったら雰囲気がなんというか、観光地のそれだった、そして露店ではオジサンマンジューやオジサンダンゴ、オジサン焼きが売ってた、オジサン焼きって何…マンジューあるの…  


 通りを進むと広場みたいなところに出た。円形の広場はかなりの広さがあってその中心には…乳首を摘んだ格好の男の銅像があった…ほんとにツマームビーチックなんだ…ウワ…と若干引いた。


 どうも銅像を中心にこの広場を各種ギルドの建物が囲んで広場が形作られているようだった。ギルドの種類がわかる装飾が建物建物にしてあって見ていて楽しい。その中でも一際目を引く、ただ馬鹿でかい看板に「冒険者ギルド」とだけ書かれた無骨なギルドが逆に目立っている。ここが目的の冒険者ギルドだろう。


 冒険者ギルドの扉を開けて入ると中は手前にはテーブル席が何席かあって、別に酒場と言うわけでもなく作戦会議?か何かに使われているようだった、左右の壁に大きな掲示板があって、そこに紙がたくさんはってあったので、おそらく依頼の類だと思う。


 うん、冒険者登録をしなければ。まずは受付に行く。


 「すみません…あの…冒険者登録をしたいんですけども…」


 「はい、冒険者登録ですね。わかりました。では係の者が案内しますのでお待ちください。」


 と言われたのでおとなしく待っていると突然後ろのテーブル席から大きな声が飛んできた。


 「おいおい、こんなお嬢ちゃんが冒険者かぁ?冒険者も舐められたもんだなぁ!!」


 う、うわ…マジで出た、こ、これは、ガラの悪い先輩冒険者!身長も高いしガタイも良い、スキンヘッドで革の鎧をつけている、THE先輩ガラの悪い冒険者だ。


 「ひ…な、なんですかあなた!べつにいいでしょう!」


といってガラの悪い冒険者を睨んだら、冒険者がふっとんだ。

え?ふっとんだ。それもちょっと自分から。

 

 「な、何者だおめえ!クソっ!覚えてろよ!!」そういってガラの悪い冒険者は走り去っていった。直後、拍手と歓声がギルドのなかから溢れた。

 

 「ヒュー!お嬢ちゃん!なかなかいい()()()()だったぜ!」


 「本物の転移者かと思ったわよ私、服装もこの辺りじゃみないものね、なかなか凝ってるわ」


 「やるなあ!ハハハ!なんだあの力は!なんつってな!!」


 「では記念のオジサンギルドカードレプリカをどうぞ」


 ギルドの人に言われた、どういうことだ。記念?なりきり?観光都市?おじさん?すべてがつながった気がした。このオジサンの街、オジサニアは転移者ごっこを街ぐるみでやる観光都市だったのだ。すごいなオジサン、すごい。


 たしかに異世界にしてはなかなか前衛的な服装をしている人が街中に多かった気がした。あれは異世界から来たつもりだったのか…


 でもこれは好都合だ。ある程度の怪しさはこの街では恐らく許容されるしみんな親切にしてくれるだろう。


「あの…私本当に冒険者登録をしに来たんですけど…」


そうだ、そうだった。私は本当にするのだ、とりあえず薬草拾いとかならあるだろう。


「ええ、そうですね、記念ギルドカードをどうぞ」


「だから!本当にしにきたの!冒険者登録!」


「お嬢ちゃん正気か?ものまねでやめときな」


近くのシブい冒険者に言われた。激シブ。


「オジサンに憧れるのはわかる、そして冒険者に憧れることも。でも本当の冒険者として生きていくのは、それだけじゃキツイぞ。」


 この世界の冒険者はけっこうキツいらしい。登録くらいいいじゃん。


 「登録はいいですよ、みたところ魔導書を持ってますし魔法使いですよね。」


 「何?魔法使いだったのか、すまない、余計なことしたな。」


 フム、受付のお姉さんナイスだ、そう、これはもはや魔導書のごとき電子書籍なのだ。やはり電子書籍ちゃんは強い。


「では隣の教会で登録しますね。案内します」


そう言うと別の職員が出てきて私を隣接する教会に連れて行った。隣接する教会?!いや…冒険者ギルドに酒場くっつく謎設計はよくあるけど教会がくっつく謎設計ははじめてみたぞ…まあ…行かなきゃはじまんないし、行こう。

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