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オモト

さぁ、亡き人送り…いや、亡き華送りを始めよう。

紫色の液体が木の机に広がる。


花弁を引きちぎられ、無残にも擦り付けられて、自らが花であったという残骸を見ながら死んでいったのだろう。


くしゃくしゃになった花弁が、それを物語っているようだった。


縞のある葉を模すスーツの華がそっと花弁を拾い集め、流れ虎の葉を模したスーツの華が茎を集める。


涙にも、血にも見える紫の液を見つめて、そっと、赤い実の婦人は葉を合わせる。


美しかった紫はもう、擦り付けられたモノとしてしか、存在していなかった。


「火、水、土、風…葬儀はどうするか」


残ったモノらに縞が尋ねる。


「どうか…あの子を安らかに…風へ流して。」


残ったモノにこたえられ、縞が頷き、白華の頭へ残骸たちを手渡す。


「……紫よ、どうか、風へ散り、地へ降り、新しき命へ変わるよう、我らは、祈る」


白華が言い、風に乗せて残骸を遠くへと飛ばす。


残ったモノたちと、葉を模すスーツのモノらは、それらすべてが消え去るまでをずっと見守っていた。















夜。


華のモノ達が寝静まる時間。


引きちぎる音と、すりつぶす音。


悲鳴はかき消され、やがて静寂へと変わる。


白華の頭がゆっくりと歩み出てきて、ゆらり、と嗤うように揺れた。


「さぁ、我らの仕事は、終わらない。終わらせない。永遠と。」


ゆらり、ゆらりと、白華は、揺れた。

終わらない。


仕事は、終わらない。


事件がある限り、永遠に。





花言葉:葬儀

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