プロローグ① 死んだ日の夢、今の私
夢を見る
俺が死んだあの日の夢を
目に映るのは頭から血を流す妻の姿
大きく膨らんだ腹を守るように倒れている
瞼は閉じられており、眠っているようにも死んでいるようにも見える
妻の元へ行きたいが、体に力が入らない
這おうと腕に力を入れるが、ほとんど進まない
腹から温かい液体が流れ出ていくのが分かる
手足が冷たくなっていく
なんでこんなことになったのだろう
幸せにすると誓った相手が倒れているのに何もできない、声すら出ない
目の前が薄暗くなっていく
もうすぐ子供が産まれるのだ、こんなところで死ぬわけにはいかない
妻を、そして子を守らなければいけない
そんな想いに反し、意識は薄れていく
もう二度とこんな目に合わせるわけにはいかない
絶対に守る、たとえどんな姿になってでも
何を犠牲にしても
...絶対に
そのまま闇の中に呑まれる
私はそこで目を覚ました。
全身汗だくで、浅い呼吸を繰り返す。
息苦しい、うまく息ができない。
心臓がドグンドグンと脈打っている、今にも破裂しそうだ。
頭痛もひどい、頭の中で虫が這い回っているようだ。
うまく起き上がれない。
ベッド横に置いてある水と薬に手を伸ばすが、そのままベッドから転げ落ちる。
落ちた衝撃で息が詰まる
なんとか立ち上がり、薬と水を手に取る。
錠剤を口に放り込み無理矢理水で流し込む。
吐き出しそうになるのを堪える。
なんとか薬は飲んだが、直ぐに効果があるわけではない
そのままベッドに倒れ混み、体を丸めて息を整える。
夢の光景がフラッシュバックする、あの日の自分の不甲斐なさに涙が溢れる。
しばらくそうしていると、段々呼吸が落ち着いてきた。
心臓もリズム良く鼓動を刻み、頭もスッキリしてきた。
汗で寝巻きと髪が張り付いて気持ち悪い。
時計を見ると、4:21と表示されている。
起きるには早いが二度寝する気にはならない。
とりあえず汗を拭き着替えようと立ち上がる。
ふと、姿見に移った自身の姿が目に映る。
そこに映るのは15才ほどの少女の姿。
華奢な身体つきをしている。
鏡の中の私は自嘲気味な笑みを浮かべた。
とてもじゃないが誰かを守れる姿には見えなかった。




