第7話・志賀城攻略評定①
■天文16年(1547)5月18日
甲斐国 山梨郡 躑躅ヶ崎館館 大広間
「これより評定を始める」
晴信の言葉により志賀城攻めの評定が始まった。この場に集まっているのは両職の甘利虎泰、板垣信方をはじめ一門衆の武田信繁と武田信廉叔父上。原昌胤、駒井高白斎、横田高松、小幡虎盛、山本勘助、多田満頼、秋山虎繁、諸角昌清などなど名将たちが勢ぞろいしていた。そして俺はというと何故か、信繁叔父上の膝の中に座って参加している。
「此度の志賀城攻めに三郎を連れて行く」
父、晴信が宣言する。
するとその言葉を聞き諸将たちはざわつく。隣の者と話したり1人で考え込んだりと様々だ。
まさかこうも簡単に城攻めに参加できるとは…
「お…お待ちください。まだ三郎は4つです兄上。当然、元服もして無いのですよ?」
信繁叔父上が気を取り直して晴信に問いかける。
まぁ叔父上が心配して言ってることはわかる。まだ元服も済ませていないのに戦に出るからな…
「二郎(信繁の幼名)元服は済ませる。
それに皆の者これを見よ。この志賀城の縄張り図と周辺の地図と引き換えに総大将は無理でも初陣させろと三郎が信房に伝えて儂に言ってきた」
晴信は立ち上がり諸将たちが並ぶ中心に三郎が描いた紙を小姓にひろげさせる。それを見て諸将たちはさらに驚く。
「これは‼︎三郎、兄上が言った言葉は本当か?」
信繁は地図を見て膝のなかに座っている三郎に問いかける。
「はい、私から信房にお願いして父上に伝えてもらいました」
「し…しかし、もしもの事があれば…」
「二郎よ、大丈夫だ心配はない。儂が総大将だ。それに信方が率いる諏訪衆や他の者もおるからな」
「そうじゃ、儂等がいるから心配せんでも良い」
そう言ったのは父、晴信の傅役だった板垣信方
俺はゲーム機で信方の説明を開く
ーーーーーー板垣信方ーー1489〜1548年
【武田信玄の傅役。武田晴信が父の信虎を追放し家臣団の筆頭格となる。諏訪氏が滅亡すると諏訪郡代(上原時代城代)となった。諏訪衆を率いて上田原の戦いで村上義清を先陣で初戦、村上勢を破るが、討死した】
晴信の言葉に信繁は半分納得がいかないような顔をして頷く。
これは志賀城攻めも何とかなるな、父上ありがとう。家臣といえば傅役の信房しか居ないな。これでは心許ない。志賀城を包囲しているときに関東管領の上杉憲政の援軍が来る、小田井原の戦いが起きる。
「三郎とて自信があるのだろう?」
晴信は突然三郎に優しい声で問いかけてくる。
「勿論です、父上。それと志賀城救援に関東管領の援軍が来るはずです。こちらの方を私にお任せください。この三郎の名にかけて上杉軍を打ち破ってみせます。それで二つお願いがあるのですが…」
「確かに上杉が救援に来るな。厄介だ。
信方と虎泰の兵をつけるゆえ、その時は頼むぞ!良いな信方、虎泰!」
「「はっ‼︎」」
「そして何としても笠原新三郎清繁が籠る志賀城を攻略する。してお願いとはなんじゃ?」
「父上の奥近習の飯富源四郎殿(山県昌景)と春日源五郎殿(高坂昌信)を私の近習にしたいのです。」
「成る程、信房1人だけではお主になんかあったら守りきれないやもしれぬからな…。よかろう、2人はお主の家臣といたせ」
「ありがとうございます、父上。」
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