第37話・信濃平定
連続投稿です。
天文17年(1548)3月28日
■信濃国 木曽郡 木曽谷 木曽福島城
包囲して約一週間がたち、遂に木曾義在・義康親子が籠る木曽福島城を陥落させた。これにより1548年武田家によって高梨氏が治める高井群・水内群を除く信濃国が統一された。
「義在・義康親子を丁重に父上、お館様の所にお連れしろ」
信之は源五郎に指示を出し父上がいるであろう林城に向けて出発した。
「信之様此度の援軍誠に感謝いたす」
話しかけてきたのは甘利虎泰、父上から言われて南信濃を攻めていたがこの木曽福島城が中々落ちず信之に援軍を頼んだのだ。
「いえいえ甘利殿、困った時はお互い様です」
「これで信濃攻略もひと段落、暫くは戦はないですかな」
「そうですね。戦続きですと国も疲弊し国力が落ちますから暫くは無いでしょう」
「そうだと良いのですが…」
天文17年(1548)4月10日
■甲斐国 山梨群 躑躅ヶ崎館
「此度の信濃攻略、皆大儀である」
「「はっ!」」
武田家当主・武田晴信は信濃攻略から帰還した諸将たちへ感謝を述べる。
「これで我ら武田も甲斐、信濃、上野の3ヶ国を領有することとなったが、暫くは得た領地も内政をしなければならん。今年いっぱいは他国へと侵略はせぬ。各々他国からの侵攻だけ気をつけて休んでくれ。信方」
「はっ!木曽福島城で捕らえた木曾義在・義康とその嫡男、宗太郎の処遇をどうするか、各々方ご意見を」
「今や我ら武田は3ヶ国を有する大大名、木曾如き切腹でよかろう」
飯富虎昌が意気込む。
「いや、某は一門に加えた方が良いと思う」
眼帯をつけた傷だらけの壮年の武将が答える。
眼帯といえば山本勘助だな。
ーーーーーー山本勘助ーー1492〜1561年
【容貌醜く、隻眼であり身に無数の傷がある。更に足が不自由で、指もそろっていなかったとされる。士官を求め今川家に士官を求めたが断られた。勘助の名声を聞いた板垣信方によって隣国の武田晴信に推挙され一気に表舞台に躍り出た】
しかし、一門にすると言っても真理姫は2年後の1550年生まれだし…、他に梅姉上(黄梅院)妹の雪(見性院)しかいないが…木曾に嫁がせるのは賛成しかねる。忠実では一門にしても結局のところ裏切ることになるのだ。
「私は山本殿の意見に反対です。かと言って飯富殿の意見にも賛成は出来ません」
「ふむ、どういうことじゃ?」
「何故でしょうか信之様…」
虎昌と勘助が信之に問いかける。
「飯富殿が言われる通り、我ら武田家は3ヶ国を有していますが急速に領地を広げたため将が足りませぬ。今後の内政にも響きます。山本殿の一門にする意見も決して悪くないのですが、姫として出せるのは梅姫、雪姫がおりまするが、負けた将に武田の姫と婚姻させるなど我ら武田が木曾を怯えたと他国から見えるでしょう。ここは先代の当主である義在殿をこの躑躅ヶ崎館に我が領地に私の小姓として宗太郎殿、そして当主である義康殿は木曾で引き続き在城して貰いましょう。ただし、城代は武田の者に監視役も兼ねて置いた方がいいでしょう」
「しかし、誰に木曽福島城を任せる?あそこは美濃から侵攻を止める重要拠点…」
「あそこを奪われたら元も子もない」
諸将たちが騒ぎ始める。
「父上、原 虎胤殿を木曽福島城の城代とし、飯田城城代を多田満頼殿にお任せすれば間違いないかと」
「お館様どういたしましょうか?」
信方が晴信に問いかける。
「美濃守(原 虎胤)、淡路守(多田満頼)引き受けてくれるか?」
「願っても無いことです。美濃からの侵攻を最前線で食い止めましょう」
虎胤は自分の胸を拳で軽く叩いて答える。
「お任せあれ、この満頼命に代えても」
満頼は深くお辞儀をする。
評定が終わり大広間から諸将たちが出て行く中、信之は虎胤、満頼を呼び止める。
「原殿、多田殿」
「これは!信之様」
「信之様!どうかなされましたか?」
虎胤と満頼が話しかけられたので驚き信之に慌てて頭を下げた。
「頭をお上げください。頭を下げなければいけないのは私です」
「いえ、信之様我らに大事なお役目を任せて頂き感謝申し上げる」
「然り、我らは信濃攻めで余り武功を取り逃がしたので信之様が我らを城代にと推挙してくださったことはありがたいのです。それにしても信之様は信濃攻めご活躍されましたな」
「とんでもございません。お二人に比べればまだまだ若輩者ですので」
「いや、武功を挙げれば一人前であることにはかわりはない。しかも、信之様は一国も落としておられる」
「あれは、我が家臣あってのこと私1人では何も出来ず討ち死にでしょう」
「この恩は決して忘れないので信之様、もし何かお困りでしたら我らがお助け致しましょう」
「ありがとうございます。ではこれにて」
2人にお辞儀をして信之は大広間を出たのであった。
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