第35話・南信濃&特典
天文17年(1548)3月12日
■信濃国 諏訪群 勝弦峠
勝弦峠は数百の死体が転がっていた。全てが小笠原軍の兵の死体である。勝弦峠の戦いは結果、晴信率いる武田8千の兵により兵の数、質等全てにおいて圧勝で幕を閉じた。
小笠原長時は多くの将と兵を失い居城に戻っても再起不能と判断、上杉憲政と同じく越後の長尾領を目指し逃亡。事実上、大名としての信濃小笠原氏は滅亡した。晴信率いる武田軍は放棄した小笠原領を占領した。
「信濃守護か…。口ほどでも無かったな。権勢を振るった小笠原氏は昔のこと、この戦国の世は生き残れまい」
馬上から無数の死体を眺めながら武田家当主・武田晴信は呟く。
「同族ゆえ助けようとも思ったが…。自ら滅亡を選びおった。儚きことよ…」
晴信は小姓に虎泰を呼びに行かせる。
「これで残るは木曾、高梨のみ。村上は三郎(信之の幼名)が配下に加え盤石。木曾を平定すれば信濃は完全に武田の物となる。甲斐、信濃、上野。しかし念願の海には出られん。北には長尾。南には今川。攻めるならば長尾だが兵站が長くなり補給が厳しくなることは目に見えている。ならば織田のせいで弱体しているいる今川を攻めるべきか…」
「お館様、お待たせしました」
「虎泰か。虎泰、すまぬが5千を率いて南信濃の制圧に取り掛かれ」
「わかりました、では!」
虎泰は5千の兵を率いて林城から南進、敵対している城を次々と落としていった。20日には飯田城、22日には松尾城を陥落させ破竹の快進撃で南信濃を制圧していった。
天文17年(1548)4月13日
■信濃国 木曽群 木曽谷 木曽福島城
うむ、解せぬ。解せぬぞ。
先月、上田原で村上を裏切らせ憲政を越後へと追いやり高梨氏が治めている高井群、水内群を除き北信濃は制圧完了し残るは南信濃だけとなったんだけど晴信さん、父上は一気に制圧するらしい。それで木曽谷で手こずっているので援軍に来いと言われ渋々ながら上野衆4千の兵を率いて南進した。現代でいえばブラック企業ですよ。まだ幼児というのに…。正直なところ、忠実通りに木曾を一門にするのは無しですね。最終的には木曾は甲州征伐で裏切ってますから。まぁ、裏切った原因は重税が主な原因だと思うので武田も悪いと言えば悪いのだが。
仕方がない…、久しぶりにアレを使うか…。
「段蔵いるか?」
「はっ!ここに…」
信之が問いかけると、隣に現れた。
「木曾義在・義康親子を暗殺出来るか?」
「出来まするが、久しぶりですな殿」
「だな、初陣の時以来だ。暗殺かもしくは捕らえてくれ」
「捕らえるですかな?」
「木曾を私の家臣にしたいと思っているが、父上は一門にしようと考えているらしい。要衝である木曾は武田が直接抑えた方が良いからな」
「なるほど…」
「早速で悪いがお願いする」
「お任せを…」
段蔵が消えるのを確認すると懐ろからゲーム機を取り出してみる。そう言えばゲーム機をしばらく使って無かったな…。というか存在すら忘れていた。
変わったことは……ある…。
特典?なんじゃそりゃ、そんなものあった様な覚えはない。取り敢えず特典の欄を選択してみる。
【変身】
(自分自身の姿を変えることができる。しかし、一度会話したことがある者に限る)
……。
…………。
神は私に何を求めているのだろうか…。これで敵対している武将の懐ろに入れとか?無いわ〜、それは無い!というか、この特典意味無いよね…。
仕方がない一回、使ってみるか。
隣に馬を並ばせながら進軍していた信房に少し用を足したいので戦列を離れると言って脇に生い茂る草の中に入った。
信之は特典の【変身】を選択すると、自分の身体が光に包まれた。
誤字脱字等ありましたらお知らせ下さい。
※特典を【姫武将】→【変身】に変更しました。




