第23話・砥石崩れは起こさせない‼︎
天文17年(1547)8月10日
■信濃国 佐久郡 小諸城
「小諸城開門‼︎」
佐久郡にある小諸城の城門が内通者によって開かれる。城には数百の兵しかおらず、対する武田軍は12000の兵であり、内通者もいたこともあるが1日で陥落した。
「幸隆はいるか?」
「はっ!ここにおりまする」
真田幸隆は信之の後ろに控えていた。
長野業正の居城箕輪城に身を寄せていた武将であり、真田昌幸のお父さんであり幸村の祖父である。
ーーーーーー真田幸隆ーー1513〜1574年
【智略と功績は高く評価され、外様衆でありながらも譜代家臣の待遇を受ける。戦国三弾正の一人。攻めの弾正。昌幸の父であり、幸村の祖父でもある。真田の旗である六文銭は三途の川の船賃であり、身命を賭して戦うために恐れられた】
幸隆も幸村と同じでチートである武将なので軍師にはもってこいな武将です。
「砥石城はどうなっている?」
「砥石城はすでに内応しておりまする。ただ村上義清が葛尾城から砥石城に入られると、内応は難しいと砥石城の者が言っておりまする」
「ならば幸隆、2千を率いて義清より早く砥石城を抑えろ。すぐ私も向かう。」
「わかりました。では…」
幸隆は2千の兵を即座にまとめて砥石城に向かった。
これで小諸城、砥石城は攻略出来た。忠実で起きる砥石崩れは起きないはずだ。
信濃国に残るは三家、中信濃の小笠原長時。長時は信濃守護職という大義名分をもっている。そして北信の雄である 村上義清。どちらかを最初に潰すとすれば小笠原だろう。しかし信之はここはあえて村上義清を選択する。
小笠原と連合を組む前に倒さないと、信濃統一が遅れてしまう。信之は1000の兵を小諸城の守りとして残し幸隆が先行して行った砥石城へと向かう。
■信濃国 小県郡 砥石城
忠実ではここで村上義清が武田信玄を破った砥石崩れというのが起きる。中に籠っていた兵は500だが、兵500人のうち、半数はかつて天文16年(1547)に晴信によって攻められて乱妨取りも行われた志賀城の残党であり士気は凄くなかなか落ちなく、葛尾城から村上義清の援軍が来て横田高松などが亡くなった。
しかし今の砥石城は武田の旗が翻っていた。
城内に入ると幸隆が小走りで信之に近寄ってきた。
「信之様、無事砥石城を抑えることが出来ました」
「ご苦労、さてこのまま村上義清の葛尾城に攻めかかりたいところだが一度甲斐へと戻らなければならない」
「そうでしょうな、武田軍は連戦で疲労も溜まっているはず…」
「そういう事だ。幸隆には悪いが砥石城を任せる」
「城代という事ですかな?」
「いや、真田の所領として俺から父上にお願いしてみる。認めて貰えれば真田家再興だな」
「なんと……。信之様感謝します、真田家は信之様にこれよりも更に忠義を示しますのでどうぞよろしくお願い申し上げます」
幸隆はその場で土下座をして涙ながら言った。
「あぁ、真田には期待している。今は砥石しかくれてやれぬがいつか一国、幸隆にくれてやらねばな」
信之はそう笑いながら砥石城の奥へと向かうのだった。
■信濃国 小県郡 砥石城 広間
はぁ…やっと落ち着ける。ここのところ連戦続きでもし村上義清と戦う事になったらどうなっていた事か…。想像するだけでもゾクッとする。これで真田の心も掴んだ事だし後は準備を村上と小笠原、木曽を片付ければ良い事だ。
後は内政か…。落ち着いたところで内政をするか。甲斐に戻って父上に城をもらう約束はしていたがどの城を貰えるかだよな…。
小諸城あたりが砥石城との連携も取れやすいのだがな……
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次回は敗戦した上杉憲政のことを書きます!




