第11話・千代女の答え
天文16年(1547) 5月18日
甲斐国 躑躅ヶ崎館 三郎私室
・望月千代女
私はやっと気持ちを落ち着かせてきた道を引き返す。三郎殿の部屋の前に着き、ゆっくりと三郎殿の部屋に入る。
すると三郎殿が座ってお茶を飲んでいた。それに見た事もない食べ物まである。串になんかついている。………美味しそう…。
「食べる?千代女さん」
三郎はすでに3本目となる串を食べ終えて置き新しく皿から取って千代女に渡す。
「あ…ありがとうございます……いただきます…」
おっと!いけない、食べたそうな顔をしていたのだろうか?恥ずかしい…
千代女は恐る恐る食べた。
「甘い……」
「それは良かった、沢山あるからどんどん食べていいよ」
「あ…りがとうございます。……これはどう言った食べ物ですか?」
「それは、水あめっていうものだよ。南蛮から手に入れた金平糖、砂糖を溶かして作った。」
まぁ、砂糖を手に入れるのは大変だったけど…
三郎殿は遠い空を眺めながらそう言った。
千代女はゆっくりと味わいながら食べていく。皿の上の水あめがなくなり千代女は物足りなさそうな顔をしながらも座り直す。
「さて食べ終わったところでさっきの話を聞かせてもらえるかな?
千代女さんには今ここで二つの選択肢がある。一つは俺を殺すこと。しかしこれは駄目な選択肢だと俺は思う。これを選択すれば望月氏、海野氏は再興は難しくなるだろう。二つの目は俺の家臣になる事だ。もちろん待遇は重臣にすることを約束する」
そう三郎に言われて千代女は頭の中で考える。
(確かに三郎殿の言う通り此処で彼を殺してしまえば再興は遠くなってしまう、それどころかあの晴信が可愛がっている三郎殿を殺したのが望月だと知られたら一族郎党1人残らず殺されるだろう。忍びの私を重臣として雇ってくれるという。……それに上手くいけば側室ぐらいには……)
「わかりました、この望月千代女ただいまから三郎殿、いや三郎様の家臣として命を共にすることを誓います。私の事は千代とお呼びください」
千代女は両手を畳について深く頭を下げる。
「ありがとう千代さん、これからよろしくね」
三郎様が太陽の様な笑顔をするのを見て私、千代女は自分の顔がとても熱くなるのがわかりました。
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